物言わぬもの・動かぬもの

いとう茂

2016年04月06日 22:32

我が家の小さい犬は人が来るとキャンキャン、お腹がへるとキャンキャン、
私が家に帰り小さい犬を置いて部屋を出るとキャンキャン、他にもいろいろと
反応してキャンキャン鳴きます、でも言葉を話せませんのでこちらが考えて
対応を考えなくてはいけません。
いつも何かを要求しているわけでもありませんし、小さい犬は癒しとか安らぎ、
気持ちを和ませてくれます。

話はできませんが意思表示はできます、部屋の中をチョコチョコと走り回る
こともできます、世の中には物言わぬもの・動かぬものでも役に立つ、
頼りにしていることがあります、小さい犬の恩恵は精神的なものですが、
たとえば、カレンダー・横断歩道・トイレの便器・浴槽・・・・・・町中の電柱、
マンホールの蓋、他にもあるでしょうが、これらは精神的なものではなく、
日常生活に不可欠なもので人間が作った道具と言うやつです。

雨が降ろうが風が吹こうが、あるべきところでじっと動かずに、ほとんどが
たった一つの目的を果たし続けています。
そうして、そのことを私たちは当たり前として気にもとめなくなっています、
不具合があれば大騒ぎ、カレンダーにメモし忘れた自分の落ち度を
棚に上げて「このカレンダー書きにくいわ」、それはないでしょう。

マンホールの蓋にお辞儀をする人はいないでしょうが、物言わぬもの・動かぬものに
時には感謝をしてもいいのかと思います。
人間関係で言うなら、黙ってするべき仕事をしている事務員や職員、
社長は給料を払っているから当然のことと感じているかもしれません、その人が
急病で休んだときに、書類や伝票がどこに入っているか分からずに仕事全体が
止まることもあるでしょう。

会社の前で毎朝出迎えてくれ、不審者が入らないかじっと立っている警備員、
そこにいるのが当然なのでしょうが、定期的に入札で警備会社が変わります。
たいていの場合は、警備会社は変っても働く警備員は変らないことが多いのですが、
その分、その人の給料は下がるのが常です。
する仕事の内容はじっと立っているだけで、今までと同じでも給料は下がる。
それが企業の経費削減の常識と言ってしまえばそれまでですが、釈然としないものが
残ります。

物言うもの・動くものの方が価値があるのか、そんなことをあれこれ考えていた一日でした。