蝉
夏休み前から鳴きだした蝉の季節ももうすぐ終わります。
秋の気配を告げるツクツクボウシが鳴きだすと夏休みも
終りに近くなります。
蝉の命は短いから採ったらあかん、子どもの頃には
よく言われました。
木に卵を産み付け孵化した幼虫は地下に潜って長い時間を
かけて成虫になります。
6・7年地下にいるという話をよく聞かされましたが長いものでは
10年以上かけて地上に出てくる蝉もいるそうです。
そう考えると蝉の寿命が短いというわけではありません。
人間でいえば下積み生活が長いというところでしょうか。
地上に出てオスは鳴き続けて伴侶を見つけて子孫を残す、
そんな蝉たちの死がいが目立つようになりました。
木の上で鳴いているときはどこにいるのかわからないことも
多いのですが、庭や道路に仰向けに落ちている蝉を見ると
身の丈に合わない鳴き声は子孫を残す精いっぱいの
手段だったのかとも思います。
地中に5年いたとして、約250週間、地上で2週間として
125分の1です、地上で鳴き続ける時間が生きるためでなく、
子孫を残すために生きている、せめて地上にいる間を
華やかな時と考えてやりたい、特攻隊員のことを綴った
「華のときは悲しみのとき」ではありませんが、散る前に
光を放つ時間が2週間、人間でいうなら人生80年として
8か月あるかどうかという時間でしょう。
蝉にならえば、1年に3日程度いいことがあれば良しと
すべきなのかと思います。
お盆休みが始まります、来月はシルバーウィークで
連休もあります、忘れてしまっているのかゴールデンウィーク、
お正月休みもありました、休みだから光るのではありませんが、
自由な時間には違いありません、大型連休以外の土日を
入れれば1年の3分の1は休みです、蝉のように大きな声で
鳴き続けることはできませんが、自分らしく光ることはできます。
名残りの蝉しぐれ、善き伴侶は見つかったのでしょうか、
蝉と違い私たちにはいくつも目的があります、そのために
生きているのですが、たった一つだけ目的を選べと言われて、
すぐに答えが出せる人は少ない気がします。
どこに出かけても人ごみの中です、今年のお盆はじっくり
生きている目的を考えるのもご先祖様への供養になるかも
知れません。