誰かに出す手紙④
去る者は日々に疎し 、そんな言葉があります。
地域ではあなたのことを話す人も減り、過去の人になっているかも
知れませんが、長年親しく家族のような関係にあった者にとっては
必ず話題に上ります。
思い返せば、あなたは代表を務めていたのに、表に出ることは少なく
縁の下の力持ち、そんな存在であったことに今更ながら気づかされ
同じ事をしろと言われても・・・・・・・。
あなたが亡くなってあなたのパートは私が務めるようになりました。
25年以上一緒に活動をしてきたメンバーは5人、
いつの間にか2名になり、いつもないものねだりで「あと1,2名
何とかならんかなぁ」と嘆いています。
長い説明なしで、こうしてこうしょう、それだけで分かりあえた仲間が
一人、また一人と減っていき、年齢から行けば次は私の番になります。
黙々とひとりで準備をしていたのですね、みんなが来るとすぐに活動が
始められるように。
虎は死して皮を残し人は死して名を残すと言います、大きな名は
残らないかもしれませんが、真似のできない名は残っています。
物事を決めるときの口癖は「どうする?」でした。
私に意見を求めているようでもあり、決断を人に任せている、
そんな風にも取れました。
時として決断力のない人間やなぁ、と感じたこともありましたが
周りに配慮してのことだったんだと思います。
忘れませんという言葉を耳にしますが、人は忘れることで生きていける、
そんな部分も持ち合わせているように思います。
私の中からも少しずつあなたが消えていく、聞きたいこと確かめたいことも
ありますが、もう叶いません。
消えていくのならなるべく早く
消えてやるのが亡くなった人間が残された人間にできる思いやり。
そんなことを生前から考えていたのですか。