おふくろが90歳なりました

いとう茂

2021年11月08日 15:36


昨日はおふくろの誕生日でした、伊藤の血筋は男はそれほど
長生きしないのに、女は長生きの血筋らしい・・・
祖母とおふくろは血はつながってないけれど・・・・。
5・6年前から認知症が出始め、最近は誰が来たのかもあまり
よく分からないようですし、電話を切ると誰からだったのかも忘れています。
それでも店に来るお客さんと話をしているから不思議です。
7・8年前から嫁と姑の立場が逆転して嫁が主導権を握っています。
それまではおふくろの長期政権でしたが、
これも自然な成り行きかと・・・・ただの傍観者です。

平日は毎朝、前の整形外科まで電気をあてに行きます。
9時から診察ですが、8時過ぎになると行こうとします、
「お母さんまだやで、診察は9時からやから」「・・・・・」
それも日課でカレンダーには過ぎた日には斜線が入っています。
こうしないと今日が何日の何曜日か分からないようで、嫁の配慮で、
土日にも医者に行こうとするのを止めるためです。

一昨日も「明日はお母さんの誕生日やからお寿司かウナギに
しょうと思ったけど、お母さんがお寿司が食べたいと言わはったから
お寿司にするわ」横で聞いていたおふくろが
「私はそんなこと言ってない、お寿司は食べたいとは思わへん」。
元気なころならひと悶着ですが・・・・・
「はい、はい、ウナギにしょうな」・・・・これでお終いでした。

90歳と言っても足腰は元気でコロコロを押して整形外科が終わると
近くの饅頭屋へ・・・・毎日何か買ってきます。
寝込んでヘルパーさんや家族の世話がいるわけでもなし、
築60年ほどの昔ながらの敷居も段差もある家で転ばずに生活しています。
言い出したら聞かない強情さも最近は影を潜めてきました。
3年ほど前の1月3日に、起きてきていきなりこれから
伏見稲荷に行ってくる・・・・初もうででごった返すところに
JRに乗って一人で行くと言い出して、弟がついていくことで一件落着。
その前は、ひ孫の顔を見に行くと言い出して、愛知県まで普通電車で行き、
水たまりで滑って尻もちをついて「痛い、痛い」と帰ってきました。
翌日、医者に行くと・・・圧迫骨折、絶対安静・・・・
そんなこと他人事のように、痛い、痛いと言いながら動き回る毎日でした。

そんなおふくろも、テレビを見ながら居眠りをする時間も増え、
改めて眺めると・・・「年とったなぁ」。
これからの一日一日はサバイバルレースのようなものかもしれませんが、
認知症のおかげで記憶が遠のき、いやなことや辛いことも
長く持っていなくてもいいのが幸いかもしれません。
ゆっくり、そぉーと家族に別れを告げて逝くまで、
感謝の念を持って見届けられたらと願います。