腐ったミカン

いとう茂

2023年02月04日 11:09



知り合いの会社の警備員さんのことは以前にアップしました。
新しい仕事に就いてからは1度だけで会いましたが、連絡がないのは元気にやっている証拠だと思っています。
その警備員さんから聞いた話を思い出しました。
この警備員さんは日勤でしたが、夜勤に仲の良い警備員さんがいたそうです。
ただ勤務が入れ替わりのために二人で飲みに行ったりということはなく、引継ぎの時に長めに話をする程度だったそうです。
日勤が9時間拘束で夜勤は15時間拘束、仕事の時間はともに8時間ですので、休憩が日勤は1時間、夜勤は7時間あります。
7時間の中には仮眠の時間も含まれていたそうですが、仮眠室はありません。
夜勤の警備員さんは休憩時間は何をしていても自由なはずだから、仮眠時間は家に帰って眠りたいと警備会社に言ったら、それはダメだと言われたそうです。
夜勤で会社には行ったら時間が来るまでは外出も禁止、コンビニやスーパーに買い物にも行けません。
緊急事態が発生したらその対応もすることになりますが、火災や不審者の侵入はなく、緊急事態と呼べるものはなかったと言います。
しかし、忘れ物をしたと社員が来たり、勤務時間外に出勤して仕事をする社員は大勢いたと言います。
そのたびに鍵の貸し出しなどの対応を休憩時間でもしなくてはいけません、中には仮眠時間でも平気で窓ガラスを叩いて起こす社員もいたということです。
たまりかねて夜勤の警備員さんが、勤務している会社に忘れ物をしたら取りに来るのは何時まで、時間外に出てくる社員についてはあらかじめ報告してほしいと、お願いしたと言います。
そうしたら会社から警備会社にそのことを報告されて、他の夜勤は何も言わずに働いているのに、注意するようにと指示があったと言います。
時間を重ならせての3交代の警備よりも、日勤9時間、夜勤15時間の方が警備会社にすれば支払うお金が少なくて済みます。
こうした実態はどこの警備会社でもあると警備員さんは話していました。
結局、夜勤の警備員さんは、「ここにいたら腐ったミカンになる、腐る前に自分が出る」と仕事をやめたそうです。
働き方改革、それが浸透しない業界もあるようです。
15時間拘束なら労働時間が8時間ではなく13時間ということも考えられます。
そもそも、通勤時間は含まずに15時間なら、仕事が終わって家に帰ったら寝るだけ、起きたらまた夜勤の仕事、そうなりかねません。
警備の業界のすべてが腐ったミカンだとは言いません、しかし腐った部分で金を儲けている会社があるのも事実です。