それぞれの生きづらさ②

いとう茂

2023年04月27日 10:40


ひきこもりから脱しかけているケースです。
就労をしなくてはと考えているのですが、そこから前に進めません。
病気があり病院にも通っていますし、えこー以外の支援機関ともつながっています。
他の支援機関もえこーもB型の作業所から就労訓練、就労移行、
その先に一般就労の道を勧めていますが、
本人はいきなり一般就労を希望しています。
これについて、個人的には父親の影響が大きいと考えています。
日常的に父親から就労、自立と言われ続けて、
本人もそうしないといけないと考えているようです。
人と話をすることが苦手だということは自覚しています。
それでも、商品開発の企画がしたいと言います。
本人の中では企画を製品化するのは、研究部の仕事になっていますが、
研究部に仕事を回す前に開発部で、
商品化をするために企画の説明が必要になり、そこでの議論が出てきますし、
研究部に回した時点でも説明が必要です。
このことが抜け落ちていて、自分は企画ならできると信じ込んでいます。
スタートラインから一歩出れば就労と考えているようですが、
就労までには多くのハードルがあります。
職業適性検査なども受けて、
B型の作業所に通所しようと考えるまでは待つしかありません。
通所しても1か所で長続きはしないと思いますので、
何か所も変わるのことになると思いますが、変わって続けばいいのですが、
もうB型作業所には行かないということも考えられます。
本人の頭の中で完結しているストーリーですが、
現実とのギャップに気づいていません。
これがこの人の生きづらさであり病気です。
周りから見ればいくつも作業所を変わらず、少しは辛抱しろと見られますが、
作業所の仕事よりも人間関係が原因になるかも知れません。
こうなると作業所を転々とするしかなく、その間も父親からは就労と言われ続けて、
再びひきこもってしまう心配も出てきます。
父親もじっと見守ることができない、
本人も親離れができずにいつも父親の顔色を窺っている。
この現状を本人と父親のどちらかが気づいてくれるのを待つしかありません。
そのためにはもう少し同じところをぐるぐる回って、困る時間が続くと思います。
困っている姿を見るのはえこーも辛いのですが、
自分達で気づかないと自立への道は厳しいと考えています。