最後のエサやり

いとう茂

2023年08月07日 17:40


久しぶりにカラスにエサをやっている場所を通ると、
いつもの年配の女性がエサをやっていました。
以前は私を見ると逃げようとしたのですが、
顔を覚えてくれたのか向こうから会釈をしてもらいました。
「暑いのに大変ですね、でもカラスは大喜びだ」
「この子たちとも4年ほどの付き合いです、でももうお別れなんです」
「えっ、何かあったのですか」
「息子夫婦が神奈川の川崎にいるんですけど、
お盆が過ぎたらそちらに行くことにしましたので、今日が最後のエサやりです」
「そうなんですか」
「前から川崎に来いと言われていたのですが、
友だちもこちらにたくさんいますし、川崎みたいな大きな街は性に合いませんので、
ずっと断っていたんですが、
7月に足首を捻挫しまして息子の嫁が2週間ほど世話に来てくれたんです。
その時に嫁が一緒に暮らそうと親切に言ってくれるものですから、
行くことに決めたんです」
「いいお嫁さんでよかったですね」
家政婦代わりかもしれませんけどね、ははは」
そこから話が弾んで場所を喫茶店に移して、
2時間ほどこの女性と話をしました。
川崎にいるのが次男で、長男は大阪にいるのですが嫁と合わなくて、
大坂には行ったことがないという話や、
カラスにエサやりを始めたいきさつも話してくれました。
長男の嫁は気性が荒くて欲が深く、
長男が尻に敷かれているという話を紹介しますと、
家は長男たちの物ですが土地は借りているということで、
これまでに何度も立ち退きの話があったようです。
住んでいるのは大阪駅まで徒歩で10分足らずの、
便利な場所で土地の持ち主も売却したかったようですが、
頑として聞き入れずに今日まで来たようです。
一時は、大津に家を建てて暮らしていたのですが、
嫁が近所の付き合いが嫌で逃げるようにして大阪に帰ったそうで、
大津の家は空き家のままだということでした。
自分たちが出ていかないように誰かに貸したら
出ていかないと困るからだろうと、女性は話していました。
長男の嫁の悪口はまだまだ続きますが、今日はこのあたりで。