2023年12月29日

命③

親父が亡くなって29年目に入っています。
そして親父の年齢を超えた自分がいます。
この前、庭の山茶花の花を見ていて、横にあった茶色い虎石が目に入りました。
もう60年近く昔になると思いますが、親父にスクーターに乗せてもらって、立木観音の近くの瀬田川に、石拾いに行ったことを思い出しました。
ほとんど趣味がなかった親父ですので、誰かに石のことを教えられたのだと思います。
たぶん、河原に落ちている石の中には、高価な石があるとでも言われたのでしょう。
石拾いは1度や2度ではなかったように記憶しています。
石の良し悪しも分からず、ハチマキ模様の虎石や真っ黒な石を、二人で探して川沿いを歩きました。
当時は車もありませんでしたので、持って帰れる量が決まっています。
せいぜい2・3個、スクーターの足元に置いて運転していたようです。
庭には今でもその時に拾った石が転がっています。
私が拾った小さい虎石、カニの甲羅の形をした石も拾いました。
その頃は、私の宝物の石でした、表面に漢数字の「一」の字がくっきり浮き出て、床を拭くワックスでピカピカに磨いていました。
物言わぬ石は半世紀以上、雨風にさらされても変わることはありませんが、親父は亡くなり私は古希が目前に迫っています。
はっきりと命が下り坂を、さらに下に向かっているのを感じます。
気まぐれで拾った石は、庭でどんな生き様をしてきたのか、尋ねてみたい気がします。

Posted by いとう茂 at 14:31│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。