2014年04月17日

議会サロンの雑誌より

議会のサロンにはいろいろな雑誌が置かれています。
もちろん週刊誌や漫画の類はありませんが、法務、
地域、福祉、議会情報など、そのほかに新聞も日経から政党紙まで
スポーツ新聞以外、すべてと言っていいほど揃っています。

毎日各紙を斜め読みして情報を得ているわけですが、
その他に滋賀県、大津市、各議会や自治体の記事は毎朝
各会派に配られます。
記事の選定からコピーまで手際よく短時間で控室に届きます。

中には出版元から送りつけられる雑誌もあります。
今日紹介するのは、まさにその手の種類で普段見かけない
雑誌だと、ふと目をやると表紙に「胆識をもって決断せよ」と
大きく書かれていました。

「胆識」あまり聞きなれない言葉ですが、どこかで目にしたと
思いながら調べてみました。

胆識とは決断力、実行力を有した見識のこと。
それは自身の信念に基づいて判断したときに是であったならば、
如何なる困難があろうとも遂行し続ける強さである。
成功の是非は問わない。
失敗するとしても、やるべきだと判断したならば実行するのが胆識。
ただし、見識を有することが前提なので無謀であることとは異なる

知識・見識・胆識
知識というものは、薄っぺらな大脳皮質の作用だけで得られます。
学校へ行って講義を聞いているだけでも、
あるいは参考書を読むだけでも得ることが出来ます。
しかし、これは人間の信念とか行動力にはなりません。
知識というものにもっと根本的なもの、
もっと権威のあるものが加わらないと、知識というものも役に立たない。
それは何かといえば見識です。事に当たってこれを解決しようとする時に、
こうしよう、こうでなければならぬという判断は、
人格、体験、あるいはそこから得た悟りなどが内容となって出てきます。これが見識です。
そして決断力、実行力を持った見識が胆識となる。   安岡正篤

そういえば以前安岡さんの本で目にしていました。前置きが長くなりました、
この雑誌のすべてに胆識のことが書かれていると思ったら、
残念ながら発行人の書いた1ページだけでした。
タイトルだけ見て内容を見ないで買ってしまうとがっかりする方も・・・・ありそう。

「指導者は人気取りに走るな、決断せよ」

一国の指導者というのは人気取りではいけない。
正しいと判断すれば周囲が反対しようとも決断すべき時がある。
歴史を振り返れば、日露戦争後の日本。
強国ロシアに勝ったと国民は熱狂し、多額の賠償金を取れると期待した。
ロシアとの講和会議に向かう日本全権の小村寿太郎を民衆は歓喜の中で見送る。

しかし、小村はロシアから賠償金を一円も取らずに講和条約を結び、帰国。
怒り狂った民衆は帰国した小村に罵声を浴びせ、
その後に大臣鑑定や交番などを焼き討ちし、
東京は一時無政府状態に陥る。
世に言う「日比谷焼打事件」である。

実際のところ、すでに日本には強国ロシアと戦い続ける余力などなく、
逆にロシアは戦争が長引けば日本を圧倒するだけの国力を保持していた。
しかし日本国民はマスコミによる連戦連勝の報道によって連勝気運が過熱しており、
そんなことなど知るよしもなかった。

この小村の決断は後世の歴史家からは英断とされている。
日露戦争が長引けば、日本が戦況的に不利になり、
最終的に日本が敗戦国となった可能性は高い。
あの時点でギリギリ日本が戦勝国になれたのは小村の英断のおかげだったというわけだ。

ちなみに小村は「私の仕事は後世の人間が判断すること」と言い、
日記なども一切付けなかった。
講和条約が結ばれた深夜、一人ホテルの自室で大泣きしているのを目撃されている。
よほど悔しかったのだろう。

また帰国した小村を。当時首脳だった桂太郎と海軍大臣の山本権兵衛が新橋駅で出迎え、
小村を両脇ではさむように歩き、もし民衆から爆弾などを浴びせられたときには
共に死ぬ覚悟であったという。
しかし罵声を浴びせら続けられた小村はついにその場に泣き崩れ、
伊藤博文と山縣有朋が両脇を抱えて首相官邸へと連れて行った。

明治期の指導者たちは決断するという見識と実行する胆力、つまり胆識があった。
自らの名誉や命よりも国家の命運を第一に考えたのだ。

小村以外にも胆識のある指導者は日本史上にいる。
近代日本の礎を築き、最期は不平士族によって惨殺された大久保利通。
数万人の反対デモに取り囲まれる中、日米新安保条約の締結を決断した岸信介。

我々経営者も過去の偉人から学ばなければいけない。
真に正しい決断とはなんなのか。
経営者も周囲の反対を押し切ってでも、決断しなければいけない時があるのだ。


Posted by いとう茂 at 12:59│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。