2024年02月29日

お遍路は忘れたころにやって来る④

ずいぶん長話をしていました、助言も多く感想も多くなりました。
歩く計画を何度も書き直して、これがベストだと決めて歩いたから言葉が多くなったように思います。
「岩本寺での泊りはどこがいいですかね」
「2度泊まりましたが最初は民宿で、2度目は宿坊でしたが、どちらも素泊まりになりました」
「食事はスーパーですか」
「1度目はスーパーで調達して、2度目は有名なウナギ屋さんでした」
「ウナギですか、味はどうでした」
「今ほどウナギが高価でなかったので入ったのですが、たれの味が濃くて歩いた後でしたので胃には厳しかったですわ、他にも食べるところはあると思いますからネットで調べてくださいよ」
「わかりました、歩いた後ですのであっさりおいしいものがいいですね」
「そうですね」
「7日目になりますので、歩けるだけ歩けばいいですか」
「基本はそうですが、帰る場所は決めておかないと、次回の出発点ですから、なるべくロスなく歩けるようにしてくださいよ」
「そうですね、歩きを考えていると次は次はと先の事ばかりになりますから、帰るところを考えないとあきませんね」
「私も岩本寺に泊まって翌日は大津に帰りましたが、20キロほど歩いて土佐佐賀駅までにしました。これですと午前中に終わりますから高知駅から3時の高速バスで帰れます。昼はひろめ市場に行きましたよ、ビールとクジラ、ウツボの空揚げだったと思います。
土佐佐賀ですと、次回に行くときに宿毛に行くバスが停車するのでそこにしたのです」
「高速バスが止まるのですか」
「京都発か大阪発かは忘れましたが、土佐佐賀で止まりますよ、今もあるかが問題ですがね」
「とりあえず、調べてみますわ、来てよかったですわ、ありがとうございました」
「いえいえ、いつでもどうぞ、お遍路の事なら話はできますから、気をつけて行ってきてくださいよ」
  
Posted by いとう茂 at 11:15Comments(0)

2024年02月28日

重い軽いの繰り返し

この前の家族会は、重い話と軽い話の繰り返しでした。
近況報告の順番は始まる前にくじ引きで決めるのですが、偶然そうした順番になりました。
軽い話は相談者の声も弾んでいますし、これができた、あれもできたと活動的な内容ですが、重い話は家族とも当事者は口をききませんし、誰もいない時でないと部屋から出られません。
親というものはありがたいもので、そんな状態でもわずかな変化も見逃すまいと、日々の様子を書き留めています。
えこーの方も市の支援機関にお願いして定期的に訪問もしてもらい、当事者が人に慣れるというよりは、家に他人が出入りして空気をかきまわす状況を作っています。
面談も家の方にお邪魔して行い、人の声や笑いが当事者に届くようにしています。
もう一組の重い話は、抑圧された当事者が父親に暴力をふるうことがある、というもので気持ちを発散できないのとうまく言葉で伝えられないもどかしさから、暴力的になるのですが父親に対しては、それでも遠慮があり抑えきれない時に暴力になります。
自分の気持ちをコントロールできない、当事者が抱えている障害の症状の一つだと思っていますが、外出先で見ず知らずの人に暴力行為が出ないようにしなければいけません。
父親は子どもに高圧的で、母親は子どもに従順すぎる、そして母親は父親が怖くて子どもの話ができない。
このケースは、えこーと民間の支援団体とで父親と話す機会を作って、父親に理解してもらおうと考えていますが、どこまで伝わり家庭内がうまくいくかは未知数で、回数を重ねなければいけないと思っています。
ひきこもりと言っても、それぞれ状況が違いますので、アプローチするにしても相談者とどれだけ信頼関係が構築できるかです。
家族会のたびにえこーの宿題が増えていきます。
  
Posted by いとう茂 at 22:08Comments(0)

2024年02月27日

お遍路は忘れたころにやって来る③

「抵抗があるなら歩いてもいいと思いますよ、5日目ですから37番の岩本時には6日目には着きたいと考えたので、足を休めるために私は船を利用しました」
「青龍寺から岩本寺までは60キロくらいありましたね」
「1泊2日の歩きですからそのくらいですね、その次の金剛福寺までは90キロありますから、ほぼ3日を考えておかないといけません、今回1週間歩いてどこで帰るかを決めておかないと、その次の予定が立ちませんよ」
「お勧めは何かありますか」
「船に乗るかどうかは別にして、5日目は須崎を越えて安和か土佐久礼まで行っとく方がいいと思います。どちらにも泊まるところはありますわ、2回このあたりを歩きましたが、船で移動して須崎から安和が1回目で、2回目は土佐久礼まで歩きました。距離にすると5・6キロの差ですが、やはり土佐久礼まで歩いたほうが楽でした」
「奈半利から歩き続けてですから、船で体を休めるのも考えてみますわ」
「歩きにこだわるのなら無理にとは言いませんよ、余裕をもって岩本寺に着いて宿坊に泊まってもいいし、民宿でもいいと思います。
6日目は難所がありますよ、大坂遍路道かそえみみず遍路道かの選択です。両方とも歩きましたが大坂の方は最後の登りがつらかったし、そえみみずは最初の長い長い階段が苦でした。どちらも七子峠に出るので、残りの距離は変わりませんわ」
「伊藤さんが歩いたのは20年近く前ですよね、よく覚えていますね」
「意識朦朧の時もありましたが、その時はどこを歩いているのか記憶が飛んでいますが、下を向いてハーハー言いながら歩いていた時の記憶は、結構残っていますね」
「車やバスだと記憶は残りませんか」
「そんなこともないのですが、車ならナビがありますから広い道を選んで大回りはありますが、それほど時間は変わりませんし、空気が違うように思います。それと札所の番号と札所の名前は憶えないですね。歩きは計画を何度も書き直しますから自然と頭に入りますわ」
  
Posted by いとう茂 at 15:24Comments(0)

2024年02月26日

お遍路は忘れたころにやって来る②

歩き遍路は荷物を極力減らして歩きたいと考えるものです。身軽な方がスピードが出ますし疲労も軽減できるからです。
「荷物を高知駅ではなくて、くろしお鉄道の野市駅近くの黒潮ホテルに預けてはどうですか、宿泊ができればですが・・・。電車の駅から10分もかかりませんし、一電車遅らせば奈半利からお参りセットだけを持って歩けますよ。それに、神峰寺から28番の大日寺までは1日では歩けませんので、黒潮ホテル連泊なら2日目も身軽ですよ、大日寺を過ぎて29番の国分寺か、30番の善楽寺までお参りが終われば、南の方に歩けば電車の駅があります」
「それじゃ、うまくいけば2日は身軽ですね」
「そういうことになりますね、3日目は乗った電車の駅まで戻って歩き出しても、それほど距離のロスはないと思いますよ」
「ありがとうございます、来てよかったですわ」
「30番まで2日目に歩けなくても電車で黒潮ホテルに戻れますから大丈夫です、2回泊まりましたが遍路パックがあって少し安かったのを覚えています」
「黒潮ホテルですね」
「でも問題は3日目以降ですね、私は奈半利のずっと手前の吉良という町に泊まったので、神峰寺に着いたのは昼を回っていたと思います。お参り後にくろしお鉄道の唐浜から電車で黒潮ホテルに行って、荷物を置いて唐浜から歩き、もう一日身軽に歩いて大日寺から引き返して黒潮ホテル泊でした、次の日は帰る日だったので竹林寺を終わってタクシーで高知駅でした」
「詳しいスケジュールは立てていないので分かりませんが、嫁が高知のひろめ市場に行きたいと言っていますので、高知駅前の宿泊を考えています」
「それなら少し早いかも知れませんが、善楽寺を終わったら土佐電の文殊通駅から高知移動の方が出費も少ないですし、翌日も土佐電で戻れますし、降りたところは竹林寺への遍路道ですよ」
「これで決まりですね」
「4日目は31番の竹林寺から36番の青龍寺までかな、ただ私のお気に入りの国民宿舎土佐が廃業していて、36番が終わったら宇佐の旅館しかありません。値段が分かりませんので調べてくださいよ」
「分かりましたネットで調べますわ」
「5日目のお勧めは宇佐の加工場から須崎市営の船が出ていますので、これに乗られたらどうでしょう。弘法大師も当時は海上で移動してかも知れませんし、出発は遅いのですが浦の内まで10キロほどで時間的には歩くのと変わりませんわ」
「それが宇佐にあるのですか」
「泊まられたところで聞けば教えてくれると思います。宇佐大橋を渡って右へ少し行ったところを右に入ります」
「歩き遍路に船は違反と違いますか」
  
Posted by いとう茂 at 18:40Comments(0)

2024年02月25日

お遍路は忘れたころにやって来る①

昨年から歩き遍路を始めた夫婦のご主人が久しぶりに顔を見せてくれました。
「ご無沙汰しています、お元気でしたか」
「おかげさんで夫婦共々元気です」
「歩いてはりますか」
「はい少し間が開きましたが、27番の神峰寺からになります、前回は室戸を過ぎたあたりで足を痛めまして、休み休みで歩いて26番の金剛頂寺まではお参りがすんだのですが、27番は無理だと判断して奈半利から帰ってきました」
「そうですか、でも室戸が終わってよかったですね。ずっと左手に太平洋を見て2日ちょっとは飽きてきますからね」
「歩いても歩いても室戸岬に着きませんので、気持ちが折れそうでしたわ」
「歩いた人にしか分からない感想ですね、23番の薬王寺から24番の最御崎寺までは車だと1時間余り、それを歩くと2日以上ですからね」
「ほんまですわ」
「次回はいつになりますか」
「今、考えているのは4月の末のゴールデンウィークが始まるまでには、こちらに帰ってきたいので4月の中頃から1週間ほどで行程を考えています」
「1週間か、いいですね。高速バスの利用ですか」
「そのつもりです」
「コロナでどうなっているか分かりませんが、私が行っていた頃は京都から夜行の高速バスで高知まで、高知には朝の6時に到着でしたわ」
「今もたぶんあると思います、それで高知から奈半利までJRとくろしお鉄道で戻って27番を目指すのですが、高知駅に余分な荷物を置いていこうか考えているんですが、どうでしょう」
「高知駅に荷物を置くと30番の善楽寺が終わった後にとりに行くことになりますね、奈半利から善楽寺までは3日程度かかりますよ、着替えもいりますから余分な荷物が増えませんか」
「そうなんです、伊藤さんいい知恵はありますか」
  
Posted by いとう茂 at 17:48Comments(0)