2012年06月30日
昔、昔、あるところに⑦
5年4組の校則委員会は、武腰君の協力で、
無事に終了したようです。
委員会の中で、校則の改正や変更を求める場合は、
全校集会では、変更を求めるクラスからの説明だけで、
同じクラスの応援弁士が応援演説をしないことについて
話し合われ、塚田グループの杉下校則検討委員もシブシブ
賛成をしたそうです。
このグループはいつも、変更案を出すときに
応援演説を行ってきました。
ですから、本心では賛成したくなかったかもしれません。
ただ、よそのクラスからの応援演説は問題ありませんので、
どれだけ前向きな校則変更の案が出されるかで、
今までよりも多くのクラスの賛同が得られるか決まります。
これは5年4組だけでなく4年生以上の全クラスで
話し合われており、どのクラスも同じ結論になったようです。
また、2学期にある生徒会長選挙の時も、
候補者と同じクラスからの応援演説はしないことに
なりました。今までは、ダラダラ長い演説が
続いていたのですが、これで時間の短縮になります。
これまでは、同じクラスから各1名の正副会長候補しか
出せなかったのを2名以上出す案は引き続き
検討するとのことです。
それに、地域の人を呼んで公開のホームルームの
開催も考えています。
これもいくつか問題があります。
おじいちゃんやおばあちゃんが、同じ町内に
住んでいる生徒の発言がないと、不満に思って
学校やその生徒の親に苦情を言ったり、端役だとその生徒の
親に言いつけたりすることも考えられますし、
生徒というか子ども嫌いな大人もいます。
それでも、地域に開かれた学校のために、5年4組でも
参観日に親だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんにも
学校に来てくれるようそれぞれの生徒が家で頼んでいます。
この企画は4組のみんなにとって大きな宿題です。
ただ、毎回、同じ司会では不公平ですし、地域からも
愛想を尽かされます。
だからと言って誰でも司会が務まるわけでもありません。
それなりの能力が要求されます。
4組の中にあるいくつかのグループの中で、リーダーと同じくらい
の力を持つ生徒があと何人か必要なことだけは
みんな理解をしていると思いますし、
そうした個人の能力の向上のためにも公開ホームルームは
みんなの願いであるのです。
まだまだ5年生です、失敗を恐れている年ではありません。
たぶん、武腰裕一君や高端建造君、藤岡重義君それに
塚田君あたりから声が出ると思います。
井川繁和君も思いはあるのですが、何せ気弱で引っ込み思案
ですので、モジモジ、イライラ・・・・。
武腰君と言えば、彼は仲間たちと、毎日ホームルームを
考えています。
いつでもクラスや授業のこと学校、先生のことを話せる
時間を作るよう提出案を練っています。
ただ、担任の木田先生や校長、教頭先生が必要に応じて教室に
来てくれるか少し不安ですが、もうすぐ、教室にエアコンが
入ります、そうすれば夏休みが短くなる可能性もあります。
休みが短くなれば授業時間が増えますので、そこからも
毎日ホームルームの時間が出てくるとも考えています。
さらに、今までの生徒会長の候補者はクラスの推薦で決めて
いましたが、推薦がなくても立候補できる制度は
来年以降に考えることになりました。
この制度が採用されますと、今まで、
生徒会の正副会長候補は5年生と決まっていましたが、
4年生や3年生でも立候補できることになります。
4年生でも6年生くらいの体格の生徒もいれば、
6年生でも4年生くらいの身長しかない生徒もいます。
事実、昨年、生徒会長になった青木君は顔つきこそ
6年生以上ですが、体つきは4年生くらいです。
体格だけで生徒会長が決まるわけでもありませんが
6年生の青木君と川を挟んで住んでいる、
4年生の桐山君と比べると20センチ
以上、桐山君の方がノッポです。
話が脱線しました。
校則委員会では、これから変更してほしい校則や
付け加えてほしい校則の検討に入ります。
津川君も武腰君もクラスみんなの意見を聞いて
素案の作成にかかるということです。
気弱な井川君も地域に開かれた学校のために
いろんなことを考えていますが、言葉になるか…
ちょっと不安ですが、彼にも期待したいと思います。
クラスの生徒のほとんどが、
5年4組から学校を変えていこうと意気込んでいますので、
きっといい案が出ると思いますし、ほかのクラスも4組には
注目しています。
いろいろあったようですが、それでも、特別
大きな出来事もなく一日がすんでいきました。
こんな日ばかりだといいのですが。
飽きっぽい生徒が多い5年4組、きっと、
新しい事件が起きるに決まっています。
次の主役は誰でしょう、そういえば髪いえ、影の薄い
学級委員長の白田君、給食委員長の古田君、
武腰君の家族もいます、それとも新しい所では・・・・・。
奥田君、草木君、谷山君、山川君、横井君、岸田さん、白石さん、
塚田君、高端君、濱田君、佐川健二君、清川さん、
あまり学校に来ない泉川君、陽気な仲田さんもいます。
藤岡君、藤岡君は二人いました。
藤岡重義君と藤岡鉄雄君です。
多士済々の4組ですし、ほかのクラスにも有名人はいます。
この前の学年テストで2番の野呂君、3番の笠岡君、
いつも強気で歯切れのいい悠木君・・・・・・。
覚えるだけでも大変ですわ。
無事に終了したようです。
委員会の中で、校則の改正や変更を求める場合は、
全校集会では、変更を求めるクラスからの説明だけで、
同じクラスの応援弁士が応援演説をしないことについて
話し合われ、塚田グループの杉下校則検討委員もシブシブ
賛成をしたそうです。
このグループはいつも、変更案を出すときに
応援演説を行ってきました。
ですから、本心では賛成したくなかったかもしれません。
ただ、よそのクラスからの応援演説は問題ありませんので、
どれだけ前向きな校則変更の案が出されるかで、
今までよりも多くのクラスの賛同が得られるか決まります。
これは5年4組だけでなく4年生以上の全クラスで
話し合われており、どのクラスも同じ結論になったようです。
また、2学期にある生徒会長選挙の時も、
候補者と同じクラスからの応援演説はしないことに
なりました。今までは、ダラダラ長い演説が
続いていたのですが、これで時間の短縮になります。
これまでは、同じクラスから各1名の正副会長候補しか
出せなかったのを2名以上出す案は引き続き
検討するとのことです。
それに、地域の人を呼んで公開のホームルームの
開催も考えています。
これもいくつか問題があります。
おじいちゃんやおばあちゃんが、同じ町内に
住んでいる生徒の発言がないと、不満に思って
学校やその生徒の親に苦情を言ったり、端役だとその生徒の
親に言いつけたりすることも考えられますし、
生徒というか子ども嫌いな大人もいます。
それでも、地域に開かれた学校のために、5年4組でも
参観日に親だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんにも
学校に来てくれるようそれぞれの生徒が家で頼んでいます。
この企画は4組のみんなにとって大きな宿題です。
ただ、毎回、同じ司会では不公平ですし、地域からも
愛想を尽かされます。
だからと言って誰でも司会が務まるわけでもありません。
それなりの能力が要求されます。
4組の中にあるいくつかのグループの中で、リーダーと同じくらい
の力を持つ生徒があと何人か必要なことだけは
みんな理解をしていると思いますし、
そうした個人の能力の向上のためにも公開ホームルームは
みんなの願いであるのです。
まだまだ5年生です、失敗を恐れている年ではありません。
たぶん、武腰裕一君や高端建造君、藤岡重義君それに
塚田君あたりから声が出ると思います。
井川繁和君も思いはあるのですが、何せ気弱で引っ込み思案
ですので、モジモジ、イライラ・・・・。
武腰君と言えば、彼は仲間たちと、毎日ホームルームを
考えています。
いつでもクラスや授業のこと学校、先生のことを話せる
時間を作るよう提出案を練っています。
ただ、担任の木田先生や校長、教頭先生が必要に応じて教室に
来てくれるか少し不安ですが、もうすぐ、教室にエアコンが
入ります、そうすれば夏休みが短くなる可能性もあります。
休みが短くなれば授業時間が増えますので、そこからも
毎日ホームルームの時間が出てくるとも考えています。
さらに、今までの生徒会長の候補者はクラスの推薦で決めて
いましたが、推薦がなくても立候補できる制度は
来年以降に考えることになりました。
この制度が採用されますと、今まで、
生徒会の正副会長候補は5年生と決まっていましたが、
4年生や3年生でも立候補できることになります。
4年生でも6年生くらいの体格の生徒もいれば、
6年生でも4年生くらいの身長しかない生徒もいます。
事実、昨年、生徒会長になった青木君は顔つきこそ
6年生以上ですが、体つきは4年生くらいです。
体格だけで生徒会長が決まるわけでもありませんが
6年生の青木君と川を挟んで住んでいる、
4年生の桐山君と比べると20センチ
以上、桐山君の方がノッポです。
話が脱線しました。
校則委員会では、これから変更してほしい校則や
付け加えてほしい校則の検討に入ります。
津川君も武腰君もクラスみんなの意見を聞いて
素案の作成にかかるということです。
気弱な井川君も地域に開かれた学校のために
いろんなことを考えていますが、言葉になるか…
ちょっと不安ですが、彼にも期待したいと思います。
クラスの生徒のほとんどが、
5年4組から学校を変えていこうと意気込んでいますので、
きっといい案が出ると思いますし、ほかのクラスも4組には
注目しています。
いろいろあったようですが、それでも、特別
大きな出来事もなく一日がすんでいきました。
こんな日ばかりだといいのですが。
飽きっぽい生徒が多い5年4組、きっと、
新しい事件が起きるに決まっています。
次の主役は誰でしょう、そういえば髪いえ、影の薄い
学級委員長の白田君、給食委員長の古田君、
武腰君の家族もいます、それとも新しい所では・・・・・。
奥田君、草木君、谷山君、山川君、横井君、岸田さん、白石さん、
塚田君、高端君、濱田君、佐川健二君、清川さん、
あまり学校に来ない泉川君、陽気な仲田さんもいます。
藤岡君、藤岡君は二人いました。
藤岡重義君と藤岡鉄雄君です。
多士済々の4組ですし、ほかのクラスにも有名人はいます。
この前の学年テストで2番の野呂君、3番の笠岡君、
いつも強気で歯切れのいい悠木君・・・・・・。
覚えるだけでも大変ですわ。
Posted by いとう茂 at
12:45
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2012年06月29日
少子化について
日本の将来を憂いて、少子化に対する
施策がいろいろと打ち出されています。
大津市でも、私立保育園に対して、
受け入れ10人以上を条件に、保育士の雇用に対し
補助金の支出が6月議会で承認されました。
これは、保育士の雇用でも施設の充実でもいいとのことで、
透明性はどうかなと思うものでしたが、
待機児童の解消になればいいと思いますが、
1年だけの補助金制度です。
問題は1年ということで継続してこそ待機児童の解消
につながる気がするのですが、来年の2月議会で
補助金の減額補正がないことと、次年度も継続して
事業が続くことを願っています。
子どもを産む最大の要因は、個人的には
未来への希望だと思います。
生まれたものはいつかその命を終えます。
親世代が生きていて、希望があるから子どもを産むのでは
ないでしょうか。
希望とは、安心して子どもが育つ環境の有無で、
もちろん、保育施設や制度の充実は不可欠ですが、
将来が子どもにとって輝くものになるのか、
豊かな未来への展望が開けているかどうかが
判断基準になるのではないでしょう。
戦争は今すぐにないにしても、経済的な不安、
親世代にその不安がある限り、自分たちより
長く生きるであろう子どもを産む覚悟はなかなか
難しいものがあると思います。
いくら制度を充実していても、生まれた子どもが
独り立ちして生きる時間は補助金や制度で守られている
時間よりずっと長いのです。
寝心地の良い布団の購入もいいのですが、
昼間、充実した時間が送れる仕組みを
整備しないと少子化問題の解決には
ならない気がするのは私だけではないと思います。
施策がいろいろと打ち出されています。
大津市でも、私立保育園に対して、
受け入れ10人以上を条件に、保育士の雇用に対し
補助金の支出が6月議会で承認されました。
これは、保育士の雇用でも施設の充実でもいいとのことで、
透明性はどうかなと思うものでしたが、
待機児童の解消になればいいと思いますが、
1年だけの補助金制度です。
問題は1年ということで継続してこそ待機児童の解消
につながる気がするのですが、来年の2月議会で
補助金の減額補正がないことと、次年度も継続して
事業が続くことを願っています。
子どもを産む最大の要因は、個人的には
未来への希望だと思います。
生まれたものはいつかその命を終えます。
親世代が生きていて、希望があるから子どもを産むのでは
ないでしょうか。
希望とは、安心して子どもが育つ環境の有無で、
もちろん、保育施設や制度の充実は不可欠ですが、
将来が子どもにとって輝くものになるのか、
豊かな未来への展望が開けているかどうかが
判断基準になるのではないでしょう。
戦争は今すぐにないにしても、経済的な不安、
親世代にその不安がある限り、自分たちより
長く生きるであろう子どもを産む覚悟はなかなか
難しいものがあると思います。
いくら制度を充実していても、生まれた子どもが
独り立ちして生きる時間は補助金や制度で守られている
時間よりずっと長いのです。
寝心地の良い布団の購入もいいのですが、
昼間、充実した時間が送れる仕組みを
整備しないと少子化問題の解決には
ならない気がするのは私だけではないと思います。
Posted by いとう茂 at
13:59
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2012年06月28日
昔、昔、あるところに⑥
いよいよ明日、校則委員会が開催されます。
津川君は武腰君が妨害しないか心配でたまりません。
クラスでも武腰君と目を合わすこともなく、大好きな
肉弾も窓から見ているだけでした。
武腰君や古田君は肉弾に興じています。
事件はここで起きるのですが、津川君は気が付きません。
気の弱い井川繁和君が、武腰君に近寄って行きました。
「武腰君、ちょっと話があるんやけど・・・・。」
「なんや、井川お前も入れや」
「僕はええよ、それより、ちょっと」
二人は体育館の前で話し始めました。
「ソフトやったらもうちょっと貸しててくれよ、
なかなか次のステージに行けへんのや」
「ソフトの話と違うよ、津川君のことや」
「津川のこと?あいつ、この前カツを交換してくれへんかったんや、
明日の校則委員会潰したるねん」
武腰君はまだ怒っているようです。
「そのことやけど・・・・。」
「なんや、文句あるんか、お前も潰したろか」
「潰すんやったら潰したらええよ、その前に話聞いてほしいねん」
いつも小さな声でしか話さない井川君が
武腰君の目を見据えて話し出しました。
「な、なんや井川、いつもと違うやんけ」
「黙って聞いてくれる」
「お、お、ええけど・・・」
武腰君の歯切れが悪くなりました。
どうやら井川君に押されているようです。
「この前社会の時間に聖徳太子の17条の憲法のこと
習ったやんか、あの中の和を以て貴しとなすて覚えてる」
「何言いだすおもたらそんなことか、それがどうしたんや」
「家でお父ちゃんに和を以て貴しとなすについて聞いたんや、
みんなと仲良くすることが大事やて先生いわはったけど、
それでおおたんのか、て聞いたら、お父ちゃんがな、
和(やわらぐ)を以て貴しとなすという解釈もあるて
教えてくれはったんや」
「どういう意味やねん、わかりやすう言うてくれや」
「僕も、あんまりわからへんかったんでメモしてきたんや。
ええか、聞いてや」
井川君は父親に教えてもらったメモを読み出しました。
「人間というのはグループや派閥を作りやすい。
そうなると自分たちの考えが最高だと思い、ほかの人の
考えや行動を否定し、対立をしてしまう、
そうではなく、互いに和らいで話し合うことで、
合意を形成し、真理を導き出すのが
正しい道である。大切な決定は独断で行わず、
多くの人と議論して公平な結論を出すために
和をもって貴しという言葉が17条の憲法の第1条にある。」
武腰君は目を閉じてじっと聞いていました。
「わしらのグループだけで物事を決めたらあかんということやな、
それと、クジラのカツの大きい小さいでいちいち、
文句を言うて周囲を困らせたらあかんて言いたいのやろ」
井川君は頷きかけましたが、武腰君の機嫌を損ねると
大変なので、静かに言いました。
「まだ続きがあるねん、
議論をしっかりしないで、力で押さえつけたら、
余計に批判が大きくなる、人間は誰も完全ではありえない、
それ故にどんなに優れた人でも、他人の意見には
謙虚に耳を傾けなければならない、
そのためにはそれぞれの人が私利私欲を捨てて議論に臨む
心掛けが必要だ、つまり、公共の利益が目的であり
最重要なことである。
これで全部」
「井川、お前のお父さん偉いんやなぁ、
うちのお父さんも物知りやけど、お前のお父さん、見直したわ、
お前はどこのグループにもはいらんとマイペースで
みんなと仲ようしてるのはお父さんの影響があったんやな、
初めて分かったわ」
「そんなんやないよ、武腰君、僕は口下手で、人付き合いが苦手やろ
それに引っ込み思案で気弱やし一人でいることが多いねん」
「性分やしな、でも、お前のそんなとこ嫌いやないで」
「ありがとう、あのー武腰君ソフトの裏ワザ、今度教えたげるわ」
「すまんのー、ちょっとも先に進めへんねん、頼むわ、
津川もおんなじグループやしな、それに、あいつの
ニコッとした顔、ちょっととぼけてて憎めんとこあるしな、
ホンマ、徳な奴やで津川は・・・・
今度の校則委員会はちゃんとしたるわ、
お前にも、ええこと聞いたし、お前に借りができたな」
「そんなんええよ」
「せやけど井川、まだ、わしら甘い方やで、塚田のグループ、
時々、何言うとるんかわからん時があるやろ、なんか共産党みたいなこと
言い出したりしよるし、時間があったら、さっきの話
あいつらにもしといたってくれや」
「ええよ」
井川繁和君の機転でクラスがまとまりそうです。
「武腰君もええ風紀委員長になるやろ、
これで一安心や」
一人になった井川君は胸をなでおろしました。
津川君は武腰君が妨害しないか心配でたまりません。
クラスでも武腰君と目を合わすこともなく、大好きな
肉弾も窓から見ているだけでした。
武腰君や古田君は肉弾に興じています。
事件はここで起きるのですが、津川君は気が付きません。
気の弱い井川繁和君が、武腰君に近寄って行きました。
「武腰君、ちょっと話があるんやけど・・・・。」
「なんや、井川お前も入れや」
「僕はええよ、それより、ちょっと」
二人は体育館の前で話し始めました。
「ソフトやったらもうちょっと貸しててくれよ、
なかなか次のステージに行けへんのや」
「ソフトの話と違うよ、津川君のことや」
「津川のこと?あいつ、この前カツを交換してくれへんかったんや、
明日の校則委員会潰したるねん」
武腰君はまだ怒っているようです。
「そのことやけど・・・・。」
「なんや、文句あるんか、お前も潰したろか」
「潰すんやったら潰したらええよ、その前に話聞いてほしいねん」
いつも小さな声でしか話さない井川君が
武腰君の目を見据えて話し出しました。
「な、なんや井川、いつもと違うやんけ」
「黙って聞いてくれる」
「お、お、ええけど・・・」
武腰君の歯切れが悪くなりました。
どうやら井川君に押されているようです。
「この前社会の時間に聖徳太子の17条の憲法のこと
習ったやんか、あの中の和を以て貴しとなすて覚えてる」
「何言いだすおもたらそんなことか、それがどうしたんや」
「家でお父ちゃんに和を以て貴しとなすについて聞いたんや、
みんなと仲良くすることが大事やて先生いわはったけど、
それでおおたんのか、て聞いたら、お父ちゃんがな、
和(やわらぐ)を以て貴しとなすという解釈もあるて
教えてくれはったんや」
「どういう意味やねん、わかりやすう言うてくれや」
「僕も、あんまりわからへんかったんでメモしてきたんや。
ええか、聞いてや」
井川君は父親に教えてもらったメモを読み出しました。
「人間というのはグループや派閥を作りやすい。
そうなると自分たちの考えが最高だと思い、ほかの人の
考えや行動を否定し、対立をしてしまう、
そうではなく、互いに和らいで話し合うことで、
合意を形成し、真理を導き出すのが
正しい道である。大切な決定は独断で行わず、
多くの人と議論して公平な結論を出すために
和をもって貴しという言葉が17条の憲法の第1条にある。」
武腰君は目を閉じてじっと聞いていました。
「わしらのグループだけで物事を決めたらあかんということやな、
それと、クジラのカツの大きい小さいでいちいち、
文句を言うて周囲を困らせたらあかんて言いたいのやろ」
井川君は頷きかけましたが、武腰君の機嫌を損ねると
大変なので、静かに言いました。
「まだ続きがあるねん、
議論をしっかりしないで、力で押さえつけたら、
余計に批判が大きくなる、人間は誰も完全ではありえない、
それ故にどんなに優れた人でも、他人の意見には
謙虚に耳を傾けなければならない、
そのためにはそれぞれの人が私利私欲を捨てて議論に臨む
心掛けが必要だ、つまり、公共の利益が目的であり
最重要なことである。
これで全部」
「井川、お前のお父さん偉いんやなぁ、
うちのお父さんも物知りやけど、お前のお父さん、見直したわ、
お前はどこのグループにもはいらんとマイペースで
みんなと仲ようしてるのはお父さんの影響があったんやな、
初めて分かったわ」
「そんなんやないよ、武腰君、僕は口下手で、人付き合いが苦手やろ
それに引っ込み思案で気弱やし一人でいることが多いねん」
「性分やしな、でも、お前のそんなとこ嫌いやないで」
「ありがとう、あのー武腰君ソフトの裏ワザ、今度教えたげるわ」
「すまんのー、ちょっとも先に進めへんねん、頼むわ、
津川もおんなじグループやしな、それに、あいつの
ニコッとした顔、ちょっととぼけてて憎めんとこあるしな、
ホンマ、徳な奴やで津川は・・・・
今度の校則委員会はちゃんとしたるわ、
お前にも、ええこと聞いたし、お前に借りができたな」
「そんなんええよ」
「せやけど井川、まだ、わしら甘い方やで、塚田のグループ、
時々、何言うとるんかわからん時があるやろ、なんか共産党みたいなこと
言い出したりしよるし、時間があったら、さっきの話
あいつらにもしといたってくれや」
「ええよ」
井川繁和君の機転でクラスがまとまりそうです。
「武腰君もええ風紀委員長になるやろ、
これで一安心や」
一人になった井川君は胸をなでおろしました。
Posted by いとう茂 at
11:07
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2012年06月27日
物差し②
己に如かざるものを友とするなかれ。
論語ですが、類は友を呼ぶの反語だと思っています。
自分より優れた人と付き合えという意味です。
益者三友 損者三友とも言われています。
孔子が言ったことはよくわかるのですが、
人間、ある年齢を過ぎると、いつでもどこでも
誰とでも友達にはなれないことに気が付くと思います。
それは、無意識のうちにこの人とは友達になれるか
選別している自分がいますし、
友だちにするか選別する人がいるからです。
自分で選別しますが、自分も相手に選別されているのです。
選別されがいのある人間になるには根っこを太くするしか
ありません。
昨日今日の知識では、積み重ねてきた時間から
すぐに化けの皮がはがれます。
積み重ね、一歩、一歩の・・・・。
あなたは、まだ間に合いますか。
選ぶ友も、選ばれる友も
あなたの姿を映す鏡です。
あなたの友があなたの姿です。
そのことをどれだけ自分事だと感じられるかで
小百合様とも健さんとも仲良くなれる。
ただ、ただ、そのことを励みとして・・・・・。
論語ですが、類は友を呼ぶの反語だと思っています。
自分より優れた人と付き合えという意味です。
益者三友 損者三友とも言われています。
孔子が言ったことはよくわかるのですが、
人間、ある年齢を過ぎると、いつでもどこでも
誰とでも友達にはなれないことに気が付くと思います。
それは、無意識のうちにこの人とは友達になれるか
選別している自分がいますし、
友だちにするか選別する人がいるからです。
自分で選別しますが、自分も相手に選別されているのです。
選別されがいのある人間になるには根っこを太くするしか
ありません。
昨日今日の知識では、積み重ねてきた時間から
すぐに化けの皮がはがれます。
積み重ね、一歩、一歩の・・・・。
あなたは、まだ間に合いますか。
選ぶ友も、選ばれる友も
あなたの姿を映す鏡です。
あなたの友があなたの姿です。
そのことをどれだけ自分事だと感じられるかで
小百合様とも健さんとも仲良くなれる。
ただ、ただ、そのことを励みとして・・・・・。
Posted by いとう茂 at
13:02
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2012年06月26日
物差し
人間はいろんな物差しを持っている気がします。
長さの違う物差し、メモリの粗さが違う物差し、
長くても短くても同じメモリの物差しを持つ人もあれば、
長い物差しと短い物差しのメモリが違う
物差しを持つ人もあります。
言い方を変えるとブレる人とブレない人、
相手によって態度の変わる人は、二本の物差しの
メモリの粗さが違う人でしょう。
人となりが見える時に、物を頼むときがあります。
「掃除しといてくれ」と「掃除しといてくれへんか、ごめんな」では
言われた方の心持は違います。
命令口調で「これをしてはいかん」
そう言われた言葉でも、単なるメンツや自分たちの体面維持か
組織全体の方向性のために言われたかで
受け取り手の心に響く印象は違ってきます。
物も言いようと言われますが、それとは別に
言葉に温みが感じられるかどうかだと思います。
言葉の温かみは、即ちその人の温かみでもあります。
自分が雇う社員であれ、同僚であれ、後輩であれ、
物を頼む以上より早く正確にということを希望しているはずです。
頼む人の気持ちに温みを感じたら頼まれた人は、
積極的に動くものではないでしょうか。
言葉に温みが出せるかは気配りではなく、
心のありようだと思います。
何本ものメモリの粗さの違う物差しを
使い分けできない人間にとって、長短いろいろあっても、
物差しのメモリはいつの時も同じであって欲しいと願います。
山頭火ではありませんが、一椀あれば事足れりです。
長さの違う物差し、メモリの粗さが違う物差し、
長くても短くても同じメモリの物差しを持つ人もあれば、
長い物差しと短い物差しのメモリが違う
物差しを持つ人もあります。
言い方を変えるとブレる人とブレない人、
相手によって態度の変わる人は、二本の物差しの
メモリの粗さが違う人でしょう。
人となりが見える時に、物を頼むときがあります。
「掃除しといてくれ」と「掃除しといてくれへんか、ごめんな」では
言われた方の心持は違います。
命令口調で「これをしてはいかん」
そう言われた言葉でも、単なるメンツや自分たちの体面維持か
組織全体の方向性のために言われたかで
受け取り手の心に響く印象は違ってきます。
物も言いようと言われますが、それとは別に
言葉に温みが感じられるかどうかだと思います。
言葉の温かみは、即ちその人の温かみでもあります。
自分が雇う社員であれ、同僚であれ、後輩であれ、
物を頼む以上より早く正確にということを希望しているはずです。
頼む人の気持ちに温みを感じたら頼まれた人は、
積極的に動くものではないでしょうか。
言葉に温みが出せるかは気配りではなく、
心のありようだと思います。
何本ものメモリの粗さの違う物差しを
使い分けできない人間にとって、長短いろいろあっても、
物差しのメモリはいつの時も同じであって欲しいと願います。
山頭火ではありませんが、一椀あれば事足れりです。
Posted by いとう茂 at
09:32
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