2022年09月30日

万歩計

1週間で50キロを目標に歩いています。
携帯にも万歩計がついていますが、
別に四国遍路の万歩計がいつもポケットに入っています。
どこの札所の間を歩いているか、次の札所まで残りは何キロか、
そんなことが分かるのと、今日は何歩で距離は何キロかが分かります。
ほぼ1年に1度の電池交換が必要で、歩幅の設定もできます。
1週間で50キロだと四国を一周するのに25週、約半年かかります。
電池交換をする際に歩幅がどれだけまで設定できるのか確認すると・・・
180cm・・・そんな人間がいるのかと思いながら180cmにしてみると、
これまでの歩幅の3倍ですから100歩歩くと180mになります。
これはいけるかも、実際の遍路では1日に30キロから40キロ歩きますので、
1日に10キロ歩いても万歩計は30キロになります。
これだと実際に遍路をしている気分で歩いていられます。
たとえば、徳島県の日和佐にある23番の薬王寺から高知県の室戸岬にある
24番最御崎寺までは80キロ余り、1週間に50キロなら10日ほどかかりますが、
歩幅を変えたことで3日足らずで到着できます。
現地を実際に歩いてもその位ですので臨場感が違います。
だからと言って普段よりも長く歩くことはありませんが、
自分が歩いた景色を思い出しながら歩くことができます。
万歩計なら四国一周が40日余り、
実際に歩いた時も45日でしたから大差がありません。
これからは秋遍路のシーズンです、徳島県はまだ純白の白衣が
高知県、愛媛県と歩くにつれてくすんだ白に変色し、
香川県の88番大窪寺を打ち終えて新しい白衣と比べると、違いは一目瞭然、
汗とホコリだけでなく心の垢もしみついているようです。
対照的に車遍路の白衣は徳島から香川まで回っても純白のままです。
白衣だけでなく金剛杖も歩き遍路の杖は、
88番まで回ると5センチから10センチ短くなります。
色も檜の美しい色が茶色く変色しています。
えこーに相談に来ている家族には時々話すのですが、
ひきこもり、不登校の当事者と家族と一緒に四国遍路をするのが今の私の夢です。
一つ一つ札所も回って小さい達成感の積み重ね、
そして88の札所を回れた自信と達成感、そんなものを共有できたらと願っています。
  
Posted by いとう茂 at 11:07Comments(0)

2022年09月29日

新・昔、昔あるところに②

銅板とパレット編
日本での銅の歴史は、弥生時代からと言われ、
古墳からは銅鐸や銅鏡が見つかっています、
日本各地で自然の銅石が見つかり比較的簡単に精錬できたことから、
古くから武器としても活用されてきました。
和同開珎も銅が原材料ですし、
奈良の大仏の建造で銅の加工技術も一段と進歩したと言われています。
アルミが1キロ100円ほどに比べて銅はその10倍ほどで
回収業者に引き取られています。
明治時代には栃木県の足尾銅山の鉱毒事件で、
流域の土壌が汚染され人や農作物に大きな被害が出ています。
当時、国会議員だった田中正造が国を相手に闘い、
環境問題について訴え続けた話は有名ですし、
城山三郎の辛酸という小説にもなっています。
前置きはこのくらいにして、工場で銅板は人や機械の手を経て製品になります。
10枚の銅板を紙にくるむのは機械の仕事です。
「おい、丁寧に巻けよ。むき出しになると錆びてしまうからな、
緑青は猛毒だぞ」
「はい、はい、丁寧に巻かせてもらいますよ、
錆びつかせたらこちらも社員から大目玉ですから」」
「その調子、その調子、きれいに巻けてるぞ、うん、うん」
「あのーもう少し右に寄ってもらえませんか、紙が足りなくなりそうなので」
「何~っ、お前は俺様に指図をするのか、
紙なんてお前の他にもいっぱいあるんだ、巻くのが嫌ならほかの紙に代われ!」
「すみません、そのままでいいです。頑張ってみます」
「丁寧に巻くんだぞ、丁寧に」
銅板はどれもみな傲慢です、巻き方が悪いと巻き直しを命じられますし、
途中で切られて使い物にならなくなる紙もたくさんあります。
「やれやれ、銅板にはいつも怒鳴られてばかりだよ」
「あいつら、自分は偉いと思い込んでいるからね、
世の中には銅板よりも偉い金や銀、それにプラチナもあるし、
錫もあいつらより珍重されているし、
もっと硬いチタン合金だってあるのにホントに傲慢な奴らだよ」
紙に巻かれた銅板は工場から出荷されますが、
パレットに乗せられてフォークリフトで運ばれます。
「やいパレット、お前の表面はいつもザラザラだな、
そのザラザラで紙を破いたら承知しないからな、
お前の代わりなんかいくらでもあるんだぞ」
「・・・・・」
毎日、毎日、銅板は偉そうにしていました。
そんなある日の深夜に工場で火災が起こりました。
銅板たちは大騒ぎをしています。
「おいパレット、早く工場の外に出せ!このままじゃ溶けてしまう」
パレットは自分では動けません、「ごめんなさい、
フォークリフトがないと動けないんです」
「何っ!動けないだと、俺様が溶けたら大損害だぞ」
「そんなことを言われても、動けないものは動けません」
そうこうしているうちに工場に火が回って、銅板は全部溶けてしまいました。
パレットは工場の外にいたので全部無事でした。
人間の禍福はあざなえる縄の如しのことわざは、人間だけでなく物にも通用するようです。
  
Posted by いとう茂 at 13:52Comments(0)

2022年09月28日

台所の主

小さい犬がすっかり台所の主になりました。
施設に入っているお袋に代わって、
お袋の椅子でいびきをかいて寝ることもしばしばです。
10歳を超えて老犬の部類に入り、以前のようにちょっとした物音でも
起きていた頃とは違い、知らん顔で寝ていることが多いのですが、
朝だけは廊下を歩く私の足音に反応して、こちらを見てワンワン吠えています。
これは小さい犬に目当てがあるからです。
毎朝、私が朝食の時にはドッグフードを3本与えていますので、
それが目的で起きてワンワンです。
3本を8つに切って時間稼ぎをしています。
「これで最後やぞ」残りが1つになった時には、
両手を広げて一つを見せてから与えています。
それを食べ終わったら両手の裏表を見せて「もうないの、ないやろ」、
と言うとお腹がふくれている時は、
食卓の向こうの座布団の上で寝そべっていますが、まだ欲しい時は私の横を離れません。
ドッグフードの次は、納豆とご飯です。
納豆をスプーン1杯ほどとご飯を一口くらい、これにしょうゆを1・2滴たらして与えます。
納豆の容器があっちに行ったりこっちに行ったりしていますが、いつの間にか空になっています。
雨で散歩に行けない日はこれでも足りません、
私の横に来て前足で膝をカリカリ「まだ欲しいのか」・・・うんとは言いませんが、離れません。
最後は白ご飯だけを容器に入れて与えます。
これも容器が左右に動いていますが、気がつくと空になり座布団でごろり・・・惰眠の時間です。
ドッグフードを与える時には首輪を外してやり、首筋を撫でるのが常ですが、
開放感からか目でありがとう楽になったわ、と言っている・・・
はずがないのにそう思うのは飼い主の欲目です。
スーパーに買い物に行っても、必ずドッグフードの売り場をウロウロする癖がつきました。
こちらは2リッターで税込み200円までのスポーツドリンクなのに、
小さい犬のドッグフードは、あれこれ買うとすぐにスポーツドリンク7・8本分くらいになってしまいます。
それでも買ったドッグフードを美味しそうに食べると・・・犬バカの目じりが下がってしまいます。
  
Posted by いとう茂 at 15:59Comments(0)

2022年09月26日

28回目のえこステ(ひきこもり、不登校家族の会)が終わりました

えこステの28回目を日曜日に開催し、無事に終了しました。
今回から新しくメンバーが1組増えましたが、
違和感なくとけこんで溜まっているものを吐き出して帰ってくれました。
1回目から参加している家族もありますが、
参加している回数に関係なく打ち解けて本音で語り合える、
これがえこステの自慢です。
今回は東近江市と近江八幡市から来ているメンバーは欠席で、
少し寂しかったのですが、
吐き出さなくても元気に動き回れるということでもあります。
メンバーがえこステで元気になってくれるのがスタッフ一同の願いですので、
便りのないのは元気な証拠です。
今回はイベントがないので13時から17時まで、十分に時間がありました。
久しぶりに来たメンバーが最後は独演会でした。
会の運営は近況報告は一家族10分以内というルールがあるだけで、
他には縛りを設けていません。
一家族10分以内と言っても、えこーのスタッフの質問や助言を入れると、
その倍以上はかかります。
新しいメンバーも最初は緊張気味でしたが、
他のメンバーの近況方向を聞いて最後に近況報告をしてもらいましたので、
緊張もせずに話をしてくれました。
人間は、問題解決が出来なくても胸につかえていたものを
誰かに聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなるところがあるように思います。
ひきこもり、不登校と言っても、全て程度も状態も違いますし、
そこに至った経緯も違います。
起きてから寝るまで子どもと一緒の親もいれば、
一番やりたいことをまずしている子どももいます。
この子どもはえこーの面談で、今したいことは何?
と聞いた時に4つくらいしたいことがあり、
それでどれからしたらいいか迷って悩んでいるということでした。
いくつもしたいことがあるから、そのことでかえって動き出せないと感じたので、
えこーのスタッフが一番したいことは何かじっくり考えて、
と助言したところ現在やっていることを選びました。
それが出来たら2番目にしたいことは・・・になります。
もうすぐ1番したかったことが終わりますので、終わったらえこーで面談の予定です。
1段ずつ階段を上ればいい、それも自分のペースでいいのです。
時間がかかるかもしれませんが、
家族にもせかさずに見守ってほしいとお願いしてあります。
やり終えたという達成感が自己肯定感につながりますし、自信にもなります。
その積み重ねを増やしていくことをえこーは考えています。
10月は外来魚駆除の釣り大会です、こちらのイベントにも参加してくれそうです。
魚を釣ることも自信につながる一歩だとえこーでは考えています。
  
Posted by いとう茂 at 15:30Comments(0)

2022年09月25日

新・昔、昔あるところに①

幸せハリネズミと不幸せハリネズミ編

昔、昔、あるところにハリネズミの夫婦が2組隣り合わせで住んでいました。
一組の夫婦の家からはいつもクスクス、ゲラゲラと笑い声が聞こえてきます。
そしてもう一組の夫婦の家からはいつも大きな怒鳴り声や言い争う声が
聞こえてきます。
二組の家を覗いてみると、笑い声が聞こえる家からはクスクスだけでなく、
「ありがとう」「ごめんね」という声もよく聞こえていますが、
もう一組の家は「あっちに行け」「引っ付かないでよ」と大声でやりあっています。
よく見ると一組はお腹を引っ付けて抱き合うようにして寝ています。
それでも時々、背中の針が相手をチクリ「痛っ」「ごめんね」「大丈夫」。
もう一組は背中合わせで、いつも自分の針と相手の針がぶつかっています。
自分の針が相手の針の間に入って、相手の背中をチクリと刺します。
「痛っ!」「もっと離れろよ」「何よ、あんたこそ向こうに行ってよ」。
仲のいいハリネズミの夫婦は自分が持っている針のことを知っていて、
刺すとどれくらい痛いかもわかっているようですが、
喧嘩ばかりしているハリネズミの方は、
自分の持っている針に気がついていないようで、
相手がそこにいるのが悪いと考えてしまうようです。
私たち人間も自分が持っている尖った言葉を知っている人と、
知らない人がいるように思います。
知っているから尖った言葉を言わない、知らないから尖った言葉を言ってしまう。
思いやりとか優しさ以前の問題かもしれません、
相手に何かをしてあげようという施しの気持ちと、
相手に何かをしてもらおうという求める気持ち、このどちらが自分は強いのか、
そして「ありがとう」と言う感謝と「ごめんなさい」と言う謙虚さがあるか、
自分の心の奥を覗いて確かめてみる。
幸せと不幸せの分岐点はそのあたりにあるのかも知れません。
  
Posted by いとう茂 at 11:32Comments(0)