2022年01月03日

雑感③

毎朝、障害者の共同作業所に通所する人、数人に会います。
「おはようございます」
「おはようございます」
型通りの挨拶ですが、向こうからも言葉が返ってくるのがほとんどです。
見ていると他の通行人で、この人たちと挨拶を交わす人はいません。
東京パラリンピックが終わってのアンケートでは、障害者への
理解が進んだという結果が多かったように記憶していますが・・・
「どんなことを理解して、そう答えたのかしら」・・・疑問です。
日常生活の中で障害者と挨拶もしない人が、何を理解したんだろう。

前を通って通所する人たちは自力で行動ができていますから、
軽度の知的障害だと思いますが、その中の二人の青年についての感想です。
一人は小柄な青年、毎朝急ぎ足で歩いてきます、
耳にはイヤホンをつけていますからお気に入りの音楽でも聴きながら
歩いているのでしょう。
「おはようございます」「おはようございます」の朝と、
「おはようございます」「・・・・・・」の朝があります。
最初の頃は音楽に熱中していてこちらの言葉が届いていない、
と考えていましたが、もしかすると内面的なものかと最近は考えています。
よく見ていると挨拶が返ってこない朝の顔は、少し険しいような気がします。
気分が高揚している時は挨拶が返ってきますが、
気分が沈んでいる時は歩くだけで精一杯なのかもしれません。
言葉が返ってくるのにも周期があるように感じます。
言葉が返ってくる朝は、ああ、よかった元気で作業してきてや、
と安堵しますし、言葉が返ってこない時は早く元気になれよ、
と願う気持ちが出てきます。

もう一人は対照的に大柄な青年で、歩き方もゆっくりです。
この青年もイヤホンをつけています、こちらから挨拶すると必ず返してくれます。
しかし、1年以上ずっとそれだけでした、それが、暮れのクリスマス寒波の朝は
身を切られるような寒さでしたので、おはようございますの次に
「寒いですねぇ」の言葉がついて返ってきました。
「寒いよう、風邪ひかんようにね」の言葉をこちらも付け足しましたが、
本来は先にこちらが言葉を付け足すべきでした。
まだまだ障害者ということを意識している自分と対面です。
でもこれでこの青年と交わす言葉が増えます。
青年にしても最初の頃は、いきなり知らない人間から挨拶されて
戸惑ったかもしれません。
1年以上たって、ようやく挨拶以外の言葉を交わせた、
これで心を開いてくれたとは考えていませんが、距離は縮まったと実感しています。
正月明けに出会うときには、どんな言葉をかけようか今から考えています。

テレビでパラリンピックを観戦して、
障害者への理解が深まるなら、国体のあとに開催される障害者の
全国大会も大々的に放映すればいい・・・ちょっと皮肉です。

Posted by いとう茂 at 10:50│Comments(0)
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