2022年03月08日

物を言わぬもの

この前、道端で10年近く会ってない知り合いに、ばったり出会い思わぬ
長話になりました。
私と同年代で、40年以上勤めた会社を退職したが、家にいても時間を
持て余すので、1週間に2回だけアルバイトで商品の仕分けを
しているということでした。
仕分けの仕事は簡単なもので、大津市を3分割、草津市と、栗東市、
この5つに分けて商品を置くだけで、3回もすればすぐに覚えられるということで、
重さも腰に負担がかかることもなく健康維持に役立っているという話でした。
収入は期待できませんが、年金もありますし夫婦だけの生活なら、
孫の小遣いにも回せてお釣りがあるということで、喜んで仕事に
行っているようでした。
「いい仕事が見つかってよかったなぁ」
「うん、気楽だしね・・・・」
ここで言葉が切れてしまいましたのでどうしたのかと尋ねると、
「言わぬが花ですよ、アルバイトは私を入れて15名くらい、
若い人がほとんどだが、私のように定年組もいますよ。」
「話し相手がいてよかったなぁ」
「いやー、それがね、30代の男なんだけど、いつもリーダーに注意されている
人間がいるんですわ、ズボラと言うかガサツと言うか、
障害があるとは思えないんですけど、言ったことが通じていない・・・
もしかすると聞いていないのかと思いますよ。同じことを何度言われても
直らないんです、その分こちらが尻ふきになるんですわ」
「それは困った人間ですね、あんたのことだからガツンと言っているんでしょ」
「いえいえ、言って直るなら言いますけど、直らない人間に何を言っても、
糠に釘ですし、言われる方も嫌でしょうから黙ってますよ」

昔は結構口うるさい印象があった知り合いですが、今は黙っているのか・・・・、
達観したのかな・・・・いやいや物言わぬものが一番怖い、そのうち大爆発・・・。
そんなことを考えながら右と左に分かれました。
言わぬが花か・・・。
物を言わない、そのことの是非は別にして、人間の体でも歯が痛い、
頭が痛い、そんなサインはわかりやすいけど、沈黙の臓器と言われる肝臓や
心臓のサインは分かりにくいものです。
寡黙になって爆発する時期を待っている、そして、とことん悪くなってサインに
気づいた時には手遅れ、そうした話はよく耳にします。
言われるうちが花、サインがないのは見放されている、
そのことに気がつく30代の男ならいいのですが、そんな人も社会の構成員の一人です。
人の振り見て我が振り直せ・・・・です。

Posted by いとう茂 at 11:29│Comments(0)
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