2022年09月11日

お接待

歩いて四国遍路をしていると、
突然「お遍路さん」と声をかけられることがあります。
慣れないうちは・・・お遍路さんって・・・ああ、俺のことか・・・このレベルですが、
すぐに慣れてきます。
「お遍路さん、これお接待です」いただくものは様々です。
スポーツドリンク、ミカン、タオル、ウェットティッシュ、お饅頭、
小袋、バナナもありました、今治では小さい女の子が5円玉を2個くれました。
室戸ではこわもてのおじさんが、ラーメン代を黙って払ってくれていて、
食べ終わって勘定をしようとすると「さっきの男の人からもらっています、
お接待ですよ」と言われました。
場所によると、歩き遍路の通る道でテントを張って、
お茶だけでなく果物やパンなどをお接待してくれるグループもあります。
高知の竹林寺から禅師峰寺に向かう池の所でも、
お爺さんが軽トラックで毎日待っていて、歩き遍路が来ると飲み物のお接待をしていました。
足を止めて飲み物を頂くと、長い話が始まります。
何度か先を急ぎますので・・・まるで聞こえていないように話は続きます。
これはお接待ではなく・・・おせっかいだぁ、と思っています。
車に乗っていってというお接待も何度かありましたが、
「歩きにこだわっていますので」と、せっかくの好意を何度か断りました。
お接待を受けた時は、ありがとうございますのお礼と一緒に納め札を渡すのが礼儀です。
物だけでなく、無料で泊めてくれるところもあります。
こうしたお接待は歩き遍路限定で、車やバスでの遍路ならまず出会うことはないと思います。
このお接待という習慣がいつごろからあるのか、それは分かりませんが、
同行二人、自分ともう一人、
一緒に歩いてあるであろう弘法大師への施しであることは間違いないと思います。
貧しさが日常だった昔は、長男以外の男は丁稚奉公に出され、女は身売りが普通でした。
今でこそ遍路と呼ばれますが、昔は口減らしに四国を歩く人間を遍土と呼び、
さげすまれて乞食と変わらない物貰いを続けて一生を終えた人も多かったと言います。
現在でも時々、そうした物貰いをしている人を札所の門前で見かけることもありますし、
女性の独り歩きに近づいて無心をする人もいるようです。
ともあれ、施しのいい部分だけが残って四国の文化になっているお接待、
人の心の暖かさを感じる習慣です。

Posted by いとう茂 at 14:38│Comments(0)
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