2022年12月17日

二組の家族の幸せのかたち

私が知っている二組の家族の話です、一組目はお金持ちの家族で、
父親はそれなりに大きい会社の経営者です。
従業員も300名を超える会社で、この父親が3代目になります。
子どもは娘が二人で、二人とも結婚していますが
上の娘の婿は父親の会社で働いています。
結婚するまでは畑違いの仕事をしていましたが、
結婚を機に義父の会社に入社して15年ほど経過し、
現在は管理職になっています。
住居も義父の家の近くに構え、スープの冷めない距離で暮らしています。
娘にすれば実家が目と鼻の先で、親のすねをかじり続けても
親は痛くもかゆくもない状態ですので、母子でランチだ、
買い物だと何不自由ない生活をしています。
義父は小学生の男の子の孫が可愛くて仕方なく、
休みになると高級車でドライブをしています。
この前は、少し早いクリスマスプレゼントということで、
孫に新品のゴルフのフルセットを買いました。
これから打ちっぱなしで練習が始まるようです。

もう一組の家族は、非正規の工場勤務の父親と
パートで働いている母親それに子どもが3人で、高校生の兄と中学生の姉妹です。
両親の収入は分かりませんが、
子どもにゴルフのフルセットを買う余裕はないでしょう。
乗っているのはくたびれた小型の普通車です。
この前、ばったりこの父親に出会い立ち話をしました。
「ご無沙汰してます、お元気そうで何よりです」
「伊藤さんも相変わらず忙しくされてるんですか」
「貧乏暇なしですわ」
「忙しい方がいいですよ、コロナの方は大丈夫ですか」
「ワクチンも5回目が終わりましたよ」
「そうですか、私はこれから4回目になります」
「コロナもいつまで続くんでしょうかね、
また感染者が増えてきましたしね」
「そうですね、感染はしたくないけど、
うちはコロナで父親の面目が保ててますよ」
「どういうことですか」
「毎年この時期になると、私の忘年会でお金が出ていきますので、
家計が苦しくなって嫁さんと喧嘩ばかりだったんですが、
ここ3年ほどは忘年会がなくて出費がゼロで、家計に余裕があります。
忘年会も1回行けば二次会を入れて1万円は使いますからね」
「そうですね、二次会で済まないともっと出ていきますわ」
「忘年会が亡くなってお金が浮いたので、
子どもらに何が食べたいって聞いたら王将の餃子と唐揚げ、
帰りにサイゼリアでスイーツが食べたいって言いますので、
嫁さんに運転してもらって私も生を三杯飲んできましたよ、
子どもたちも動けないほど食べてご満悦でした、
それで1万円ちょっと父親の面目が保てましたわ」
幸せのかたちは人それぞれ、
他人がとやかく言うものではないのかも知れません。

Posted by いとう茂 at 23:23│Comments(0)
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