2013年05月08日

げんき通信

1987年から年賀状代わりに自分の思いを綴った
げんき通信を出しています。
議員になり時候の挨拶の制限があるために
発行時期がずれてしまいました。

負けて勝つ

 NHKで放映していた、終戦後に渡辺健扮する吉田茂が
米国相手に交渉をするドラマのタイトルが確か「負けて勝つ」だったと思います。
内容はあまり覚えていないのですが、タイトルだけが頭に残っています。
蛇足ですが、私の名前は吉田茂からもらったと
親父から聞かされていましたので、吉田茂には親近感があります。

勝ちには①勝ちの勝ちと②負けの勝ちがあり、
負けにも③負けの負けと④勝ちの負けがあると思います。
少し横にそれますが、角界の格言に「負けて覚える相撲かな」
というのがあります。また、「勝ちに不思議の勝ちあり、
負けに不思議の負けなし」野村克也氏がよく口にしていた言葉ですが
出典はどうやら剣術関係のようですが、
言わんとしている根底にあるものは同じような気がします。
負けた原因を究明すると勝つ方法が見えてくるということでしょうか。

話を戻しますと、相撲に勝って勝負に負けるという諺があります。
憎まれるのが①の勝ちの勝ちではないでしょうか、
相手を寄せ付けず力任せに強引に勝つイメージです。
多くの方もそうだと思いますが、大相撲で浮かぶのが現役時代の北の湖です。
北の湖ファンにはたまらない魅力でしょうが、
一般の人にすれば憎らしいことこの上なしでしょう。

③の負けの負けは論外として②の負けて勝つが
判官びいきの日本人には一番受け入れられる気がします。
イメージでは亡くなりましたが、先代の大関貴乃花です。
取り口はいつも正攻法でしたが、体が小さいので攻められることも多く、
我慢して我慢して自分の有利な体勢に持ち込んで勝ちにつなげていった記憶があります。

その逆が、勝ちの負けです。
机上の空論に近い正論を述べ、誰も反論できない雰囲気に持っていく。
しかも、その口調は威圧的で断言的なことが多い、
だから、反論しない人のほとんどが、この人の味方ではなく、
むしろ敵に近い場合が多いと思います。
ですから、この人が力で通そうと思ってもほとんどが否定されてしまいます。
正しいことが通らない見本のような人ですが、
そういう人に共通するのは、理で物事を処理するところだと思います。

世の中、人と人とが係りあって社会を形成しています。
理にかなうことは、もちろん大切な要素ですが、
情に欠けるとせっかくの意見も黙殺される気がします。
ともすると私たちは正しさを武器に、自分の意見や思いを正当化し、
勝つことを目指しがちですが、相手がある以上、
受け入れてもらえなければただの一人よがりにすぎません。
大相撲によらず世の中の多くのことは
勝ちの勝ちより負けの勝ちの方がうまくいく気がします。
それでも、ついつい勝ちの勝ちを目指すことが多いものです。
不細工に負けて不細工に勝つか、かっこよく負けて不細工に勝つか、
形はそれぞれですが、どちらにせよ、
周囲に受け入れてもらえる勝ち方ができたらと願うこの頃です。

Posted by いとう茂 at 15:58│Comments(0)
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