2014年03月26日

殺生

殺生の意味を調べると

1 生き物を殺すこと。仏教では最も重い罪の一つとされる。「無益な―」「みだりに―してはいけない」

2 むごいこと。また、そのさま。残酷。「―な仕打ち」「そんな―なことは言うな」

3 「殺生戒」の略。

ポカポカと春らしい陽気になってきました。
桜や泰山木の蕾も膨らみ命の胎動を感じる季節がやってきました。
春宵一刻、百花繚乱そんな言葉が聞かれるのももうすぐです。

暖かくなると動き出すのは植物だけでなく人間も同じです。
子どもの頃を思い出すと冬の間は釣りにも行かず、昆虫も
ほとんどいませんので遊びといえば友達と野球をしたり
グランドを走り回ったりしていました。
じっと寒風に耐えて春を待つ裸木のように咲こうとする
エネルギーを蓄えていた時期だったのかも知れません。

それが少しずつ暖かくなると遊び場がグランドから
湖や山に変わっていきました。

誰々が鯉を釣ったとか鮒をビクいっぱい釣ったという話は
学校ですぐに広まります。
冬の間、活性が低かった魚も活動を始め産卵に向けて
餌をあさる時期になり、放課後はランドセルを放って
竿とビクをもって湖岸へ一目散の日が始まります。

これからはモロコの時期がやってきます。
釣具店で買った赤虫をケースに移してお茶の葉と水を入れて
飼っていると赤虫が大きくなります、これを餌にしてモロコを
釣るわけですが本命のモロコよりボテやハイジャコの方が多く
釣れます、本命以外は不要ですので捨てますが、中には
針を飲み込んだりして死んでしまうのもあります、これも殺生。

春になると裏の石垣から青大将が出てきます、膳所城の石垣ですから
高くて長い石垣が続き、畑に出てくるヘビも多くいました、
これもみんなで追いかけまわし殺すことはありませんでしたが
玩具にしていました、これも殺生。

夏には地虫採りです、夕方神社に行って小さな穴に木の枝を入れて
地虫がつかむとゆっくり引きずり出します、毎日、毎日、何十匹も
捕まえても減ることはありませんでした、捕まえた地虫は家の庭の木に登らせたり、
蚊帳に登らせたりしていましたが、中にはうまく羽化が出来ず背中だけ出て
動けなくなるのもいました、これも殺生。

お盆になると釣りも地虫取りも禁止です。
「地獄の釜の蓋が開くので殺生したらあかん」と親から言われ
お盆が済むまでは殺生禁止ですが、この時期は虫かごにカブトがいます。
スイカのへたをやるのですが小さい籠の中で
ケンカして死ぬカブトも何匹かいました、これも殺生。

振り返れば子どもの頃は殺生の連続でした。
殺生で学んだことは命のはかなさというのでしょうか、
子どもより弱い生き物がいるを知ったことでした。

大人になってこうした殺生はさすがに無くなりましたが、違う形の殺生を
しているように思います、食べ物の好き嫌い、食べ物を残す、
ぞんざいな人の扱い、横柄な口のきき方・・・・・。

どこかの会の役員を選ぶときに、相手の意向も聞かずに
勝手に名前を挙げて本人には事後報告、人を見下した態度が
なかったか、適材適所の観点からの人選だったか。

命を粗末に扱うだけが殺生ではなく、人格やその人の気持ちを
尊重しない扱いも殺生といえるでしょう。

周りに気ばかり遣うと自分が無くなってしまうことは分かりますが、
自分が気持ちよくいたいから、不快になりたくないからという
自己防衛だけで周りからの声や気持ちを拒否していないか。

笑っているのは自分だけではないのか、周囲も笑っているか、
せめて、そのことだけは注意して生きられる大人にならないと・・・・・。



Posted by いとう茂 at 12:28│Comments(0)
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