2017年05月16日

その人を笑えますか㉘



「サヨナドリとタカ」

高いカシの木にサヨナドリが止まって、いつもの様に歌を歌っていました。
一羽のタカが、それを見つけました。
タカはちょうど食べ物がなくてお腹を空かせていたので、
サヨナドリに襲いかかり押さえつけました。
このままでは殺されてしまうと思ったサヨナドリは、タカに言いました。
「タカさん、放して下さい。わたしのようにちっぽけな鳥を一羽食べたって、
あなたのお腹がいっぱいになるはずはないでしょう。
食べるのならわたしよりも、もっと大きな鳥を捕まえて下さい」
タカは答えました。
「何を言うか。こうやってちゃんと捕まえた獲物をみすみす放り出して、
まだ見つかりもしない獲物を探しに行くほど、おれはバカじゃないぞ」

人間でも同じ事です。
大きなもうけをしようと欲張って、今持っている物をすぐに
放り出すのは、おろか者がする事です。
大切なものは両手でしっかり掴む、離したくなければそれが
一番だと思います、大切なつもりでも、どちらかの手で掴んでいると、
ついつい離れてしまいます。
人はそれを片手間というのでしょうか。

「ウサギとイヌ」

年寄りのウサギを狩りになれたイヌが、
小さい木のしげみから駆り出して追いかけました。
しかし、かけてもかけても、ウサギには追いつきませんでした。
それを、ヤギがバカにして言いました。
「あんなに年を取った奴の方が、お前より早かったね」
すると、イヌは言いました。
「遊び半分で追いかけるのと、命が危なくなって走るのとでは、
走り方が違うからね」

人間でも同じ事です。
実力のない者でも本気で頑張れば、実力のある者に勝つ事が出来るのです。
虚仮の一念とか石に立つ矢。
虚仮に等しい人間ですが、まだまだ思いが届かないのは努力不足、
そう思うことにします。

「カラスとヘビ」

エサがなくて困っていたカラスが、日なたに眠っているヘビを見つけました。
しめたとばかり、カラスはヘビに飛びついてさらっていきました。
ところがヘビはカラスに巻きついて、カラスにガブリと噛みました。
死にぎわに、カラスは言いました。
「まったく運の悪い事だ。自分を殺すようなごちそうを見つけたとは」

欲しい物が見つかった時、人間はあせってそれに手を出しますが、
それが本当に必要なのか、本当にそれで良いのか、よく考えてから行動しましょう。
焦らずにじっくり考えて買ったものでも、いわゆるハズレがあります。
直感で買ったものでも、ずーっと満足するものもあります。
要するに、人間万事塞翁が馬なのかと思います。
後悔と満足を繰り返して生きる、無事是名馬・・・・・・・。

「小ガラスとハト」

ハト小屋で、おいしいエサをたくさん食べているハトを見た小ガラスが、
「ぼくもあのごちそうを、食べたいな」
と、思って、黒い羽を白く塗ってハト小屋に入っていきました。
小ガラスが黙っている間は、ハトたちは羽の色だけ見て
ハトだと思ったので仲間に入れてくれました。
ところがある時、小ガラスはうっかりして、
「カァ」
と、鳴いてしまったのです。
「あれっ、変な声でなく奴だ」
ハトたちは、この小ガラスを追い出してしまいました。
小ガラスはハトたちのごちそうが食べられなくなったので、
小ガラスの仲間の所へ帰ってきました。
しかし小ガラスは、
「おや、変な白い鳥だ。追い返せ」
と、突き出してしまいました。
こうして小ガラスは欲ばった為に、ハトのエサも小ガラスのエサも
もらえない事になったのです。

このお話しは、自分の持っている物だけでなく、他人の物まで
手に入れようと欲張ると、最後には自分の物も失ってしまう事が
あると教えています。
起きて半畳、寝て一畳、天下取っても二合半。
悠々自適、分相応、知足、夜郎自大、晴耕雨読・・・・・
いくつもの諺が当てはまりそうです。
昔は人のもの欲しさに戦争が起きていました、そして、
現代はどうでしょう。
自分の力が世界一、カエルのお腹のふくらしあいでしょうか・・・・・。

Posted by いとう茂 at 18:57│Comments(0)
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