2019年11月07日
昔々あるところに
議員になりたての頃、2012年ですが一人会派で
活動をしていました。
その前の年からブログを始めて今年で丸8年が経過しました。
ここまでにアップしたブログの数は2900ほどになります。
自分でもよく続いているなぁ、と半分呆れて半分驚いています。
2900の中でアクセス数が多かったものがいくつかありますが、
今日の「昔々あるところに」は7回のシリーズで、大津市議会の
縮図なんですかと、聞かれたこともあります。
自分ではそうしたことを意図しているわけではなかったのですが、
読み方によっては、登場人物と実際の議員をリンクさせて
想像を膨らませていた人もいました。
実は、もっと続けたかったのですが、想像を膨らませることで、
あれは誰のこと、とか給食委員長は誰々やろ、そんな話が
続出しましたので、誤解があっても困りますので中断しました。
7回を一度にアップですから、それなりに長文になっています。
お時間のある方は、ご笑読を・・・・・・・・。
「昔、昔あるところに」
昔、昔あるところに武腰という5人の家族がいました。
お母さんの名前は、武腰尚代、お父さんの名前は武腰昭雄、長男は武腰裕一、長女は武腰朋美、気のいいおじいさん武腰七衛門の5人家族です。
一家団欒の夕食の時に、お母さんが外食の提案をしました。
回転寿司、焼き肉、パスタ、中華…。
大いに盛り上がりました。
ハチの巣をつついた様な状態の中で、お母さんが言いました。
「焼肉はどう?」
息子も娘も大賛成です。
「お母さん、中華にも中華風焼き肉もあるけどホンマの焼き肉?」
息子は念を押しました。
「そうやで、ホンマの焼き肉」
きっぱりお母さんは答えました。
これで決まりです。武腰家では全員参加で決めたことは勝手に変えることはできないルールになっています。
変えるなら全員の同意が必要になるのです。
本当は、中華もバリエーションが広いので、捨てがたいものがあったのですが・・・・。
焼肉のあの匂いにみんなの心が決まりました。
普段は無口なお父さんも笑顔です。
気のいいおじいさんは、食べられるのなら何でもいいのでもちろん反対はしません。
財布のひもをしっかり握っているお母さんの提案ですから、息子も娘も焼き肉を信じて疑いません。
娘が待ちきれずに
「お母さん、いつ行くの」
お母さんはにこやかに
「今度の日曜に連れて行ったげるさかい、楽しみにしとき」
それを聞いた息子も娘もルンルンです。
お父さん的には回転寿司で熱燗もいいかと思っていましたが子どもたちが喜ぶのなら、塩タンとミノに生ビールで得心しています。
おじいさんは胃袋に入るものなら文句はありません。
事件が起きたのは金曜日の夜でした。
お母さんが中華レストランのパンフレットをみんなの前で出したのです。
口火を切ったのは息子でした。
「この前、全員で焼き肉と決めたのに約束違反と違うん」
「中華風の焼き肉もあるでっていうたら、ホンマの焼き肉やて、言うたんお母さんやで、僕はちゃんと確認したんやで」
すると、お母さんは
「焼肉はどう?といったけど、焼き肉とは言い切ってないし、誤解を与えるようなことになったけれど、みんなが中華でいいと言ってくれるなら中華になるんやけど・・・・。」
娘もそれを聞いて黙っていません。
「そんなん、だましとるんちゃうの、うちの家のルールはどないすんの」
「今日学校で、日曜日は焼肉やっていうたら、みんな羨ましがってたのに、みんなにどう言うたらええのよ」
顔を赤らめて目もうるんでいます。
よほど悔しかったのでしょう。
それを見たお父さんも、かわいい娘のために一言・・・・。
「なめたらいかんぜよ」
ドスのきいた、鬼龍院花子の夏目雅子のような声でした。
不穏な空気を察したつもりか、おせっかいからか、おじいさんがお母さんの肩を持つ発言をしました。
「お母さんは中華がええかと思ったんやなぁ、わしは特別こだわりはないぞ」
まぁ、間の悪い・・・・。
「悪いのはお母さんやで、じじいは引っ込んどけ、どっちの味方や?」
3人の目がそう語っています。
お母さんは何を食べても、トイレで出してしまえば同じと考えているのかも知れませんし、焼き肉より中華の方がヘルシーだと考えたのかも知れません。
そのあたりが、無頓着というか場当たり的というか、天真爛漫というか考えが浅いというか・・・・。
折に触れて注意はしているのですが・・・・もしかすると天然。
さてさて結末はどうなりますことやら・・・。
いくら財布のひもを握っているとはいえ、お母さんの身勝手さは目に余る気がします。
個人的には、お母さんがパンフレットを破りごめんなさいと謝って、焼き肉に行くしかないと思います。
でないと、今後の家族関係に決定的なヒビが入らないとも限りませんし、何より、みんな、いえ、おじいさん以外はお母さんの言うことを聞かなくなる恐れが大きいと思います。
皆さんはどう思いますか。
武腰家の金曜日の夕食は険悪な空気が漂っていました。
みんな一言も話さずに夕食を済ませると、さっさと自分たちの部屋に消えてしまいました。
土曜の朝、お母さんがみんなの前で身勝手な行動を謝り、新たな提案をしました。
「外食の件は昨日の雰囲気では、明日出かけてもあまり楽しくないでしょうからチョット時間をくれる、じっくり考えるから」
昨日の今日で、長男はまだおさまらないみたいで「時間をくれるっていつまで、さっさと決めてもらわないと」
お母さんは「来週の木曜日にはプランを出しますよ」
お父さんが念を押しました。
「お母さんの提案を全員で検討して決める、今度は、お母さんも決まってからブレたらあかんで、裕一も朋美も意見があったら言うたらええけど決まったらそれに従うんやぞ」
裕一が「それはええけど、決まらへんかったらどうするの」
「決まらへんかったら中止やな」
お父さんが雄弁です。
「わしは何でもええよ」
おじいさんがそう言うと、朋美が一言
「いつものことやんか」
みんなが待ち望んでいた日曜日は、いつもと同じ日常の日曜日でした。
非日常の焼き肉を期待していた家族にとって少し後味が悪い日でしたが、一つ屋根の下で暮らす絆は固いとお父さんをはじめ全員が感じていました。
別にお母さんを悪者にしょうとは誰も思ってはいないのです。
ただ、日曜日の焼き肉が中止になったのはお母さんがぶれたからに他なりません。
その、お母さんも家族のために良かれと思って中華レストランのパンフレットを見せたのでしょう。
そのことは家族も理解しているようです。
月曜日の夕食の時に長女の朋美が聞きました。
「お母さん、決まった」
するとお母さんは「ごめんね朋美、裕一もお父さんもおじいちゃんもごめんね、悪意があったんと違うんよ、お母さんはみんなが喜ぶ顔が見たかっただけやねん」
裕一も、朋美もおじいちゃんもしんみりしています。
「お母ちゃん、俺言い過ぎたみたい、ごめんな」
朋美もうなずいています。
その時でした。お父さんが
「お母さん、意識して人を傷つけることを言うのは、言う方も覚悟して言うから、言った人の心にも傷が残るけど、無意識に発した言葉や思慮の浅い行動で人を傷つけることもあるんやで、お父さんは、知らないでやったことも、罪深いことやと思うで、お母さんを責める気はないけど、お母さんはこの前、みんなに謝ったけど、心の中に、トゲが残っていたんか、気持ちがこもってへん気がしたんや。
今朝のは、いつものお母さんやったで、あー、反省してんにゃなぁと思うたわ。
この前、こんな雰囲気やったら出かけても楽しくないやろうと言うてたけど、楽しくない雰囲気を作ったのはお母さんなんやで、そのことも心しとかんと、あかんのと違うかな。これは、何もお母さんだけと違うで、お父さんもそうやし、みんなもそうや、これからも長い間この家でみんなで暮らしていかんとあかんのんや、見えへん所、聞こえへん所にも気を付けていこうな。
うちのルールは全員で決めるということや、決めたことには全員で責任を負うということでもあるんや、わかるやろ」
いつもは無口なお父さんですが、決める時は決めます。
「お父さんありがとう、やっぱりお父さんは大黒柱やわ」
「裕一も、朋美もお母さん任せにばっかりせんと、お前らも何が食べたいのか言うたらええんやで」
「お母さん、俺、中華でもよかったんや、ただ、みんなで決めたということを尊重したかったんや、意地と違うで、これを崩したら何でもアリになってしまうやろそれが厭やったんや」
今まで黙っていたおじいさんが言いました。
「何でもええけど、そろそろ食事せえへんか」
「たまにはええこというやん、やったらできるやん」
「朋美にはかなわんなぁ、ハハハハハ」
武腰家に普段の笑いが戻りました。
「お母さんせかんでいいよ、その代わり、いいとこ探してね」
朋美が笑顔で言いました。
お父さんも「そうや、せかへんから、じっくり考えてや」
こんな家族と暮らせることに感謝せんとあかんと感じ、普通の日常もいいなと思う裕一でした。
武腰家の長女の朋美が、おじいさんの七衛門に尋ねました。
「おじいちゃん、根回しって言葉の意味知ってる」
「朋美は難しい言葉知ってるな、あのな、根回しというのは、ねまわしとちごうて、こんまわして言うんや、根気ていう言葉知ってるやろ、あのこんや。」
「そんで、どういう意味なん」
「子供は知らんでええ、小学生のくせに朋美はませてるな」
「おじいちゃん、ホンマは知らんのやろ」
「ワシを馬鹿にしたらあかん、昔は寺子屋で子供に勉強教えてたんやぞ」
「ふーん、おじいちゃん江戸時代の生まれか、見かけ通りやね」
「朋美、それどういう意味や」
「鏡見てきぃな」
「・・・・・・・・」
朋美は納得がいきません。
お母さんの尚代に聞きに行きました。
「おかあちゃん根回してどういう意味なん」
「朋美、難しい言葉知ってるんやな」
「根回し言うたら、ほれ、これや」
「なんや、携帯のストラップやんか、それが根回しなん」
「そうやで、お母ちゃんのこれヨン様やで、お父ちゃんと違うて、えらいカッコええやろ」
「どうでもええけど、ヨン様てもう古いで、せやけど、さすがお母ちゃんやわ、おじいちゃんに聞いたら、こんまわし、ていわはるんやで」
「おじいちゃんの言うことはあんまり信用せんほうがええでこの前も、頭が痛い風邪かないうて、角の薬局に行ってくるわていわはるし、頭痛やったらジキニンがええでていうたら、薬局でジキニンて言わんとカクニンて言うたらしくて、薬局からジキニンでええか確認の電話があったんやで」
「ふーん」
その日の夕食の時でした、朋美が父の昭夫に突然
「お父さん携帯電話見せて」と言いました。
急な振りで、お父さんは別の意味で慌てましたが、そこはそれ、やんわり
「なんで」と返しました。
朋美は「携帯の根回しを見せてほしいねん」
得意げに言いました。
「あー朋美、根付けのことか」
急にお父さんは安心した様子です。
普段、ボーッとして感受性が鈍いお母さんの目がキラッ。
そうとも知らずにお父さんは、雄弁に話し始めました。
「朋美、これはストラップや、根付けも似たようなもんやけど、昔の人は煙草入れとかにつけて帯に挟んで落とさんようにしてたんや」
「お父ちゃん、それ根回しと違うの、根付けて言うんか」
「そうやで、根回し言うのはな、朋美、植木を植え替えるときに地面から抜いてすぐに植え替えると、抜いたときに根が傷んで木が弱ってるさかいに、根をぐるっと回して土を詰め込んで荒縄で縛って根が元気になるまでじっとさせとくんや、人間でいうたら、怪我したら包帯で巻いておくやろ、あれと同じで植木を枯らさんようにする植木屋さん用語や。
今では、物事をあんじょう進めるために事前にいろんな所に手を回しておくことに使われて、人によったらあんまりええ意味やないと思うてる人もいるけどホンマは違うんやで」
「やっぱり、こんまわしとちごた、お父さんさすがやわ、おじいちゃんもお母さんも勉強になったやろ」
おじいさんは禿げ上がったおでこを真っ赤にしてうつむいています。
お母さんもバツの悪そうな顔をしています。
朋美が二人の顔をじっと見つめています。
お母さんが「私、根回し嫌いやねん」
ポツリと言いました。
武腰家の日曜日です。
父親の昭夫は、早朝から釣りに出かけました。
母親の尚代は、町内の一斉清掃で不在です。
家には長男の裕一と妹の朋美、それにおじいちゃんの七衛門の三人だけです。
おじいちゃんは縁側で新聞を読んでいます。
裕一と朋美はトーストと牛乳で朝食を食べています。
「ごちそう様、お兄ちゃんどっかいくの」
「昼から公園に行くかも知れん、朋美は」
「私は家にいる」
食器を流しに持って行き、二人は時間をどうしてつぶすか考えていました。
「朋美、宿題は済んだんか」
おじいちゃんが声を掛けました。
「もう少しだけ、あとでする」
「そうか、朋美、すまんが肩をたたいてくれんか」
おじいちゃんは肩が凝るらしく、時々、朋美に頼みます。
「ちょっとだけやで」
「すまんな」
「おじいちゃん何読んでるの」
「ちょっと面白い記事があってな」
「何?」
「うん、朋美、同期の桜て聞いたことあるか」
「ないわ、何それ」
「その同期の桜のことが新聞に載ってるんやおじいちゃん、なんか懐かしいてなぁ」
「昔、日本の国が戦争したことがあるんやで」
「それやったら聞いたことあるわ、二度と戦争したらあかんのやろ」
「そうや、よう知ってるな」
「先生が言うてはった、南の島や特攻隊でいっぱい死なはったんやろ」
「そや、そや、おじいちゃんは戦争に行ってへんけど、戦争にいかはる言うたら、村中の人が万歳、万歳言うて、小旗を振って送ったもんや」
「先生な、戦争あかんいうて学校でも君が代の時立たへんにゃて」
「それはちょっと・・・・・朋美はちゃんと立たなあかんで」
「わかってる、朋美の声大きいんやで、この前、お父さんとお兄ちゃんと三人でカラオケ行ってな、お父さんがカラオケで君が代歌てはって、点数が96点やったんや」
「おとうさんやるやんけ」
「そんでな、次に朋美も君が代歌ってん、そしたら、おじいちゃん朋美97点やってな、お父さんがっかりしてはったわ」
「大きい声でたんやなぁ、そうやったんか、そんなら安心や」
「おじいちゃん、さっき言うてた同期の何んとかてどういう意味なん」
「せやせや、それやったな、同期の桜言うてな、海軍でも陸軍でも兵隊さんが歌ってはったんや」
「どんな歌なん」
七衛門は、貴様と俺とは同期の桜~ 同じ航空隊の庭に咲くぅーと歌いだしました。
「おじいちゃんもうええわ、歌へたやなぁ」
「すまん、すまん、今のな、航空隊を兵学校とか戦車隊、部隊に代えて歌ってたんやで」
「ふーん、で、それが何なん」
「朋美、昔、おじいちゃんのお父さんに買うてもろた少年倶楽部ていう本にな、同期の桜の子どもバージョンが載っててな、おじいちゃんらみんなで歌うたもんや、ええか、音痴やけど聞いときや」
「君と僕とは二輪の桜ぁ 積んだ土嚢の陰に咲くぅ どうせ花なら散らなきゃならぬ 見事散りましょ 皇国のためー」
「おじいちゃん、初めて聞いたわ」
「あの頃はな、日本中が戦争一色やったんや、誰もそれをおかしいとも思うてへんかった、神の国の日本が負けるはずないと思うてたんやな」
「そんで、原爆落とされて負けてしもうたんやろ」
「そうや、せやけど苦しかったんは負けてからや、食べるもんないし、お金もあらへん、着るもんもあらへん」
「おじいちゃん苦労したんやな」
「おじいちゃんだけやあらへん、みんな苦労したんや」
「そんでこの前、焼き肉でもめた時も、おじいちゃんは何でもええて言うたんやな、そう言うたら、おじいちゃんいつも何出されても、おいしい、おいしい言うて食べるもんな、戦争で苦労したんやな。朋美な、おじいちゃんのことちょっと見直したわ」
「そうか」
「時々、わけのわからんこと言うけど、朋美はおじいちゃんのこと好きやで」
「おおきに、おおきに朋美ぐらいやわ、そんなこと言うてくれるの」
「肩もんでくれた駄賃に100円やろ」
「おじいちゃんこの100円おかしいで」
「アーそれは前の100円や、この前出たやつは桜やけど、これは鳳凰や、せやけどどこでも使えるさかい心配せんでええで、無駄遣いせんように郵便局に貯金しとくのもええけどな」
「ありがとう」
昭夫夫婦がいない日曜日、七衛門は思わぬ形で名誉回復をしました。
長く生きていることはそれだけ経験があるということです。
親から子へ伝えるものもありますが、祖父から孫へ伝えるものもたくさんあります。
例えば、介護だってそうです。
お母さんがおじいさんの介護をするのを見て育った子どもの心にはいたわりや思いやりがしっかり根付いていると思います。
それが、成長して他者を思いやる優しさとして花開くことを願います。
この先、家族の前でへまをしたときに朋美が盾になってくれるか保証はありません。
子どもは無邪気で残酷な生き物だから・・・。
七衛門の活躍を期待したいと思います。
この前5年4組で学級委員長の選挙がありました。
38人のクラスで全員が投票をして、学級委員長と副委員長そして、風紀委員長、給食委員長を決めます。
最初に学級委員長の選挙です。
どこのクラスでもそうですが、悪ガキが一人や二人はいるもので、このクラスにもいます。
その子が武腰家の長男の裕一です。
裕一は選挙前になるとクラスの生徒をトイレに呼び出し、今度の選挙でこいつに入れろとスゴみます。
今度の学級委員長には、白田東四郎君を推しているようです。
「おい、わかってるやろ、今度の選挙は白田やでそれとな、風紀委員長は俺に入れてくれ、ええか」
気の弱い、井川繁和君は裕一の格好の標的です。
並んでトイレで用を足していたら、声を掛けられました。
「白田君に入れたらええんやろ、わかってる。
あのー武腰君、この前貸したゲームのソフト返してーな」
「おー、あれか、もうちょっと貸しててくれや、あかんのんけ」
「ええけど、いつ返してくれる」
「もうちょっと貸したるゆうたやんけ、なんか文句あるんか」
「・・・・・」
「おおきに」
次は、古田君です
「古田、今度の学級委員やけど、東四郎で頼むで」
「白田君がええの・・・・・・」
「ええやろ、お前は給食委員長にしたるやんけ」
「給食委員長にしてくれるんやったら文句ないで」
「よっしゃ、決まりやで」
武腰君の陰の活躍で、選挙は白田東四郎君が満票で学級委員長に選ばれました。
副委員長には津川信吾君、風紀委員長には竹腰裕一君、給食委員長には古田雅夫君が選ばれました。
副委員長は38人中30票でした。
これは、クラスの中で竹腰君と反目しあう塚田グループと谷本グループの造反でした。
それでも、竹腰君は自分たちのグループの思い通りの結果だったので満足しています。
給食委員長に選ばれた古田君にさっそく仕事が回ってきました。
4時限目が終わると3名の給食委員と配膳室に一目散。
今日の給食はクジラのカツと野菜いため、脱脂粉乳とコッペパンです。
クラスのみんなはアルミの皿を持って順番に並びます。
ふっと見ると、津川副委員長の後ろに竹腰風紀委員長が並んでいます。
津川君に配ったカツはとても大きいカツでした。
「古田君、おおきに僕カツ好きやねん」
それを見ていた竹腰君が
「俺もクジラ好きやねん、大きいの頼むわ」
ところが、津川君に配ったような大きいカツはもう残っていません、下の方まで古田君は探しましたが・・・・。
「何や、小さいやんけ、もっと大きいのくれや」
いくら言われてもないもいのはない、古田君はカツが入っている入れ物を竹腰君に見せました。
おさまらないのは竹腰君です。
「おい、津川、俺のと換えてくれや」
津川君はいつものようににこにこ笑っています。
「へらへら笑うてんと、換えてくれや」
それでも津川君はにこにこ笑っています。
「いつも笑うてばっかりで頼りない奴やなぁ」
笑いながら津川君は
「いやや!」
もう、竹腰君の怒りは収まりません。
「津川、来週、校則委員会があるの知ってるやろ、副学級委員長のお前が校則委員会の委員長やけど、俺は風紀委員長やさかい校則委員会の副委員長やで、何言うてもええけど協力せえへんさかいな、覚えとけよ」
こんなことなら副学級委員長になんかならなければよかったと後悔する津川君でしたが、もう遅い。
食い物の恨みは恐ろしい。
来週の校則委員会が楽しみでもあり・・・・。
いよいよ明日、校則委員会が開催されます。
津川君は武腰君が妨害しないか心配でたまりません。
クラスでも武腰君と目を合わすこともなく、大好きな肉弾も窓から見ているだけでした。
武腰君や古田君は肉弾に興じています。
事件はここで起きるのですが、津川君は気が付きません。
気の弱い井川繁和君が、武腰君に近寄って行きました。
「武腰君、ちょっと話があるんやけど・・・・。」
「なんや、井川お前も入れや」
「僕はええよ、それより、ちょっと」
二人は体育館の前で話し始めました。
「ソフトやったらもうちょっと貸しててくれよ、なかなか次のステージに行けへんのや」
「ソフトの話と違うよ、津川君のことや」
「津川のこと?あいつ、この前カツを交換してくれへんかったんや、明日の校則委員会、潰したるねん」
武腰君はまだ怒っているようです。
「そのことやけど・・・・。」
「なんや、文句あるんか、お前も潰したろか」
「潰すんやったら潰したらええよ、その前に話聞いてほしいねん」
いつも小さな声でしか話さない井川君が武腰君の目を見据えて話し出しました。
「な、なんや井川、いつもと違うやんけ」
「黙って聞いてくれる」
「お、お、ええけど・・・」
武腰君の歯切れが悪くなりました。
どうやら井川君に押されているようです。
「この前社会の時間に聖徳太子の17条の憲法のこと習ったやんか、あの中の和を以て貴しとなすて覚えてる」
「何言いだすおもたらそんなことか、それがどうしたんや」
「家でお父ちゃんに和を以て貴しとなすについて聞いたんや、みんなと仲良くすることが大事やて先生いわはったけど、それでおおたんのか、て聞いたら、お父ちゃんがな、和(やわらぐ)を以て貴しとなすという解釈もあるて教えてくれはったんや」
「どういう意味やねん、わかりやすう言うてくれや」
「僕も、あんまりわからへんかったんでメモしてきたんや。ええか、聞いてや」
井川君は父親に教えてもらったメモを読み出しました。
「人間というのはグループや派閥を作りやすい。
そうなると自分たちの考えが最高だと思い、ほかの人の考えや行動を否定し、対立をしてしまう、そうではなく、互いに和らいで話し合うことで、合意を形成し、真理を導き出すのが正しい道である。大切な決定は独断で行わず、多くの人と議論して公平な結論を出すために和をもって貴しという言葉が17条の憲法の第1条にある。」
武腰君は目を閉じてじっと聞いていました。
「わしらのグループだけで物事を決めたらあかんということやな、それと、クジラのカツの大きい小さいでいちいち、文句を言うて周囲を困らせたらあかんて言いたいのやろ」
井川君は頷きかけましたが、武腰君の機嫌を損ねると大変なので、静かに言いました。
「まだ続きがあるねん。議論をしっかりしないで、力で押さえつけたら、余計に批判が大きくなる、人間は誰も完全ではありえない、それ故にどんなに優れた人でも、他人の意見には謙虚に耳を傾けなければならない、そのためにはそれぞれの人が私利私欲を捨てて議論に臨む心掛けが必要だ、つまり、公共の利益が目的であり最重要なことである。これで全部」
「井川、お前のお父さん偉いんやなぁ、うちのお父さんも物知りやけど、お前のお父さん、見直したわ、お前はどこのグループにもはいらんとマイペースでみんなと仲ようしてるのはお父さんの影響があったんやな、初めて分かったわ」
「そんなんやないよ、武腰君、僕は口下手で、人付き合いが苦手やろ、それに引っ込み思案で気弱やし一人でいることが多いねん」
「性分やしな、でも、お前のそんなとこ嫌いやないで」
「ありがとう、あのー武腰君ソフトの裏ワザ、今度教えたげるわ」
「すまんのー、ちょっとも先に進めへんねん、頼むわ、津川もおんなじグループやしな、それに、あいつのニコッとした顔、ちょっととぼけてて憎めんとこあるしな、ホンマ、徳な奴やで津川は・・・・
明日の校則委員会はちゃんとしたるわ、お前にも、ええこと聞いたし、お前に借りができたな」
「そんなんええよ」
「せやけど井川、まだ、わしら甘い方やで、塚田のグループ、時々、何言うとるんかわからん時があるやろ、なんか共産党みたいなこと言い出したりしよるし、時間があったら、さっきの話、あいつらにもしといたってくれや」
「ええよ」
井川繁和君の機転でクラスがまとまりそうです。
「武腰君もええ風紀委員長になるやろ、これで一安心や」
一人になった井川君は胸をなでおろしました。
5年4組の校則委員会は、武腰君の協力で、無事に終了したようです。
委員会の中で、校則の改正や変更を求める場合は、全校集会で変更を求めるクラスからの説明だけで、同じクラスの応援弁士が応援演説をしないことについて話し合われ、塚田グループの杉下校則検討委員もシブシブ賛成をしたそうです。
このグループはいつも、変更案を出すときに応援演説を行ってきました。
ですから、本心では賛成したくなかったかもしれません。
ただ、よそのクラスからの応援演説は問題ありませんので、どれだけ前向きな校則変更の案が出されるかで、今までよりも多くのクラスの賛同が得られるか決まります。
これは5年4組だけでなく4年生以上の全クラスで話し合われており、どのクラスも同じ結論になったようです。
また、2学期にある生徒会長選挙の時も、候補者と同じクラスからの応援演説はしないことになりました。今までは、ダラダラ長い演説が続いていたのですが、これで時間の短縮になります。
これまでは、同じクラスから各1名の正副会長候補しか出せなかったのを2名以上出す案は引き続き検討するとのことです。
それに、地域の人を呼んで公開のホームルームの開催も考えています。
これもいくつか問題があります。
おじいちゃんやおばあちゃんが、同じ町内に住んでいる生徒の発言がないと、不満に思って学校やその生徒の親に苦情を言ったり、端役だとその生徒の親に言いつけたりすることも考えられますし、生徒というか子ども嫌いな大人もいます。
それでも、地域に開かれた学校のために、5年4組でも参観日に親だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんにも学校に来てくれるようそれぞれの生徒が家で頼んでいます。
この企画は4組のみんなにとって大きな宿題です。
ただ、毎回、同じ司会では不公平ですし、地域からも愛想を尽かされます。
だからと言って誰でも司会が務まるわけでもありません。
それなりの能力が要求されます。
4組の中にあるいくつかのグループの中で、司会を無難に務められる力を持つ生徒があと何人か必要なことだけはみんな理解をしていると思いますし、そうした個人の能力の向上のためにも公開ホームルームはみんなの願いであるのです。
まだまだ5年生です、失敗を恐れている年ではありません。
たぶん、武腰裕一君や高端建造君、藤岡重義君それに塚田君あたりから声が出ると思います。
井川繁和君も思いはあるのですが、何せ気弱で引っ込み思案ですので、モジモジ、イライラ・・・・。
武腰君と言えば、彼は仲間たちと、毎日ホームルームを考えています。
いつでもクラスや授業のこと学校、先生のことを話せる時間を作るよう提出案を練っています。
ただ、担任の木田先生や校長、教頭先生が必要に応じて教室に来てくれるか少し不安ですが、もうすぐ、教室にエアコンが入ります、そうすれば夏休みが短くなる可能性もあります。
休みが短くなれば授業時間が増えますので、そこからも毎日ホームルームの時間が出てくるとも考えています。
さらに、今までの生徒会長の候補者はクラスの推薦で決めていましたが、推薦がなくても立候補できる制度は来年以降に考えることになりました。
この制度が採用されますと、今まで、生徒会の正副会長候補は5年生と決まっていましたが、4年生や3年生でも立候補できることになります。
4年生でも6年生くらいの体格の生徒もいれば、6年生でも4年生くらいの身長しかない生徒もいます。
事実、昨年、生徒会長になった青木君は顔つきこそ6年生以上ですが、体つきは4年生くらいです。
体格だけで生徒会長が決まるわけでもありませんが6年生の青木君と川を挟んで住んでいる、4年生の桐山君と比べると20センチ以上、桐山君の方がノッポです。
話が脱線しました。
校則委員会では、これから変更してほしい校則や付け加えてほしい校則の検討に入ります。
津川君も武腰君もクラスみんなの意見を聞いて素案の作成にかかるということです。
気弱な井川君も地域に開かれた学校のためにいろんなことを考えていますが、言葉になるか…ちょっと不安ですが、彼にも期待したいと思います。
クラスの生徒のほとんどが、5年4組から学校を変えていこうと意気込んでいますので、きっといい案が出ると思いますし、ほかのクラスも4組には注目しています。
いろいろあったようですが、それでも、特別大きな出来事もなく一日がすんでいきました。
こんな日ばかりだといいのですが。
飽きっぽい生徒が多い5年4組、きっと、新しい事件が起きるに決まっています。
次の主役は誰でしょう、そういえば髪いえ、影の薄い学級委員長の白田君、給食委員長の古田君、武腰君の家族もいます、それとも新しい所では・・・・・。
奥田君、草木君、谷山君、山川君、横井君、岸田さん、白石さん、塚田君、高端君、濱田君、佐川健二君、清川さん、あまり学校に来ない泉川君、陽気な仲田さんもいます。
藤岡君は二人いました。
藤岡重義君と藤岡鉄雄君です。
多士済々の4組ですし、ほかのクラスにも有名人はいます。
この前の学年テストで2番の野呂君、3番の笠岡君、いつも強気で歯切れのいい悠木君。
覚えるだけでも大変ですわ。
活動をしていました。
その前の年からブログを始めて今年で丸8年が経過しました。
ここまでにアップしたブログの数は2900ほどになります。
自分でもよく続いているなぁ、と半分呆れて半分驚いています。
2900の中でアクセス数が多かったものがいくつかありますが、
今日の「昔々あるところに」は7回のシリーズで、大津市議会の
縮図なんですかと、聞かれたこともあります。
自分ではそうしたことを意図しているわけではなかったのですが、
読み方によっては、登場人物と実際の議員をリンクさせて
想像を膨らませていた人もいました。
実は、もっと続けたかったのですが、想像を膨らませることで、
あれは誰のこと、とか給食委員長は誰々やろ、そんな話が
続出しましたので、誤解があっても困りますので中断しました。
7回を一度にアップですから、それなりに長文になっています。
お時間のある方は、ご笑読を・・・・・・・・。
「昔、昔あるところに」
昔、昔あるところに武腰という5人の家族がいました。
お母さんの名前は、武腰尚代、お父さんの名前は武腰昭雄、長男は武腰裕一、長女は武腰朋美、気のいいおじいさん武腰七衛門の5人家族です。
一家団欒の夕食の時に、お母さんが外食の提案をしました。
回転寿司、焼き肉、パスタ、中華…。
大いに盛り上がりました。
ハチの巣をつついた様な状態の中で、お母さんが言いました。
「焼肉はどう?」
息子も娘も大賛成です。
「お母さん、中華にも中華風焼き肉もあるけどホンマの焼き肉?」
息子は念を押しました。
「そうやで、ホンマの焼き肉」
きっぱりお母さんは答えました。
これで決まりです。武腰家では全員参加で決めたことは勝手に変えることはできないルールになっています。
変えるなら全員の同意が必要になるのです。
本当は、中華もバリエーションが広いので、捨てがたいものがあったのですが・・・・。
焼肉のあの匂いにみんなの心が決まりました。
普段は無口なお父さんも笑顔です。
気のいいおじいさんは、食べられるのなら何でもいいのでもちろん反対はしません。
財布のひもをしっかり握っているお母さんの提案ですから、息子も娘も焼き肉を信じて疑いません。
娘が待ちきれずに
「お母さん、いつ行くの」
お母さんはにこやかに
「今度の日曜に連れて行ったげるさかい、楽しみにしとき」
それを聞いた息子も娘もルンルンです。
お父さん的には回転寿司で熱燗もいいかと思っていましたが子どもたちが喜ぶのなら、塩タンとミノに生ビールで得心しています。
おじいさんは胃袋に入るものなら文句はありません。
事件が起きたのは金曜日の夜でした。
お母さんが中華レストランのパンフレットをみんなの前で出したのです。
口火を切ったのは息子でした。
「この前、全員で焼き肉と決めたのに約束違反と違うん」
「中華風の焼き肉もあるでっていうたら、ホンマの焼き肉やて、言うたんお母さんやで、僕はちゃんと確認したんやで」
すると、お母さんは
「焼肉はどう?といったけど、焼き肉とは言い切ってないし、誤解を与えるようなことになったけれど、みんなが中華でいいと言ってくれるなら中華になるんやけど・・・・。」
娘もそれを聞いて黙っていません。
「そんなん、だましとるんちゃうの、うちの家のルールはどないすんの」
「今日学校で、日曜日は焼肉やっていうたら、みんな羨ましがってたのに、みんなにどう言うたらええのよ」
顔を赤らめて目もうるんでいます。
よほど悔しかったのでしょう。
それを見たお父さんも、かわいい娘のために一言・・・・。
「なめたらいかんぜよ」
ドスのきいた、鬼龍院花子の夏目雅子のような声でした。
不穏な空気を察したつもりか、おせっかいからか、おじいさんがお母さんの肩を持つ発言をしました。
「お母さんは中華がええかと思ったんやなぁ、わしは特別こだわりはないぞ」
まぁ、間の悪い・・・・。
「悪いのはお母さんやで、じじいは引っ込んどけ、どっちの味方や?」
3人の目がそう語っています。
お母さんは何を食べても、トイレで出してしまえば同じと考えているのかも知れませんし、焼き肉より中華の方がヘルシーだと考えたのかも知れません。
そのあたりが、無頓着というか場当たり的というか、天真爛漫というか考えが浅いというか・・・・。
折に触れて注意はしているのですが・・・・もしかすると天然。
さてさて結末はどうなりますことやら・・・。
いくら財布のひもを握っているとはいえ、お母さんの身勝手さは目に余る気がします。
個人的には、お母さんがパンフレットを破りごめんなさいと謝って、焼き肉に行くしかないと思います。
でないと、今後の家族関係に決定的なヒビが入らないとも限りませんし、何より、みんな、いえ、おじいさん以外はお母さんの言うことを聞かなくなる恐れが大きいと思います。
皆さんはどう思いますか。
武腰家の金曜日の夕食は険悪な空気が漂っていました。
みんな一言も話さずに夕食を済ませると、さっさと自分たちの部屋に消えてしまいました。
土曜の朝、お母さんがみんなの前で身勝手な行動を謝り、新たな提案をしました。
「外食の件は昨日の雰囲気では、明日出かけてもあまり楽しくないでしょうからチョット時間をくれる、じっくり考えるから」
昨日の今日で、長男はまだおさまらないみたいで「時間をくれるっていつまで、さっさと決めてもらわないと」
お母さんは「来週の木曜日にはプランを出しますよ」
お父さんが念を押しました。
「お母さんの提案を全員で検討して決める、今度は、お母さんも決まってからブレたらあかんで、裕一も朋美も意見があったら言うたらええけど決まったらそれに従うんやぞ」
裕一が「それはええけど、決まらへんかったらどうするの」
「決まらへんかったら中止やな」
お父さんが雄弁です。
「わしは何でもええよ」
おじいさんがそう言うと、朋美が一言
「いつものことやんか」
みんなが待ち望んでいた日曜日は、いつもと同じ日常の日曜日でした。
非日常の焼き肉を期待していた家族にとって少し後味が悪い日でしたが、一つ屋根の下で暮らす絆は固いとお父さんをはじめ全員が感じていました。
別にお母さんを悪者にしょうとは誰も思ってはいないのです。
ただ、日曜日の焼き肉が中止になったのはお母さんがぶれたからに他なりません。
その、お母さんも家族のために良かれと思って中華レストランのパンフレットを見せたのでしょう。
そのことは家族も理解しているようです。
月曜日の夕食の時に長女の朋美が聞きました。
「お母さん、決まった」
するとお母さんは「ごめんね朋美、裕一もお父さんもおじいちゃんもごめんね、悪意があったんと違うんよ、お母さんはみんなが喜ぶ顔が見たかっただけやねん」
裕一も、朋美もおじいちゃんもしんみりしています。
「お母ちゃん、俺言い過ぎたみたい、ごめんな」
朋美もうなずいています。
その時でした。お父さんが
「お母さん、意識して人を傷つけることを言うのは、言う方も覚悟して言うから、言った人の心にも傷が残るけど、無意識に発した言葉や思慮の浅い行動で人を傷つけることもあるんやで、お父さんは、知らないでやったことも、罪深いことやと思うで、お母さんを責める気はないけど、お母さんはこの前、みんなに謝ったけど、心の中に、トゲが残っていたんか、気持ちがこもってへん気がしたんや。
今朝のは、いつものお母さんやったで、あー、反省してんにゃなぁと思うたわ。
この前、こんな雰囲気やったら出かけても楽しくないやろうと言うてたけど、楽しくない雰囲気を作ったのはお母さんなんやで、そのことも心しとかんと、あかんのと違うかな。これは、何もお母さんだけと違うで、お父さんもそうやし、みんなもそうや、これからも長い間この家でみんなで暮らしていかんとあかんのんや、見えへん所、聞こえへん所にも気を付けていこうな。
うちのルールは全員で決めるということや、決めたことには全員で責任を負うということでもあるんや、わかるやろ」
いつもは無口なお父さんですが、決める時は決めます。
「お父さんありがとう、やっぱりお父さんは大黒柱やわ」
「裕一も、朋美もお母さん任せにばっかりせんと、お前らも何が食べたいのか言うたらええんやで」
「お母さん、俺、中華でもよかったんや、ただ、みんなで決めたということを尊重したかったんや、意地と違うで、これを崩したら何でもアリになってしまうやろそれが厭やったんや」
今まで黙っていたおじいさんが言いました。
「何でもええけど、そろそろ食事せえへんか」
「たまにはええこというやん、やったらできるやん」
「朋美にはかなわんなぁ、ハハハハハ」
武腰家に普段の笑いが戻りました。
「お母さんせかんでいいよ、その代わり、いいとこ探してね」
朋美が笑顔で言いました。
お父さんも「そうや、せかへんから、じっくり考えてや」
こんな家族と暮らせることに感謝せんとあかんと感じ、普通の日常もいいなと思う裕一でした。
武腰家の長女の朋美が、おじいさんの七衛門に尋ねました。
「おじいちゃん、根回しって言葉の意味知ってる」
「朋美は難しい言葉知ってるな、あのな、根回しというのは、ねまわしとちごうて、こんまわして言うんや、根気ていう言葉知ってるやろ、あのこんや。」
「そんで、どういう意味なん」
「子供は知らんでええ、小学生のくせに朋美はませてるな」
「おじいちゃん、ホンマは知らんのやろ」
「ワシを馬鹿にしたらあかん、昔は寺子屋で子供に勉強教えてたんやぞ」
「ふーん、おじいちゃん江戸時代の生まれか、見かけ通りやね」
「朋美、それどういう意味や」
「鏡見てきぃな」
「・・・・・・・・」
朋美は納得がいきません。
お母さんの尚代に聞きに行きました。
「おかあちゃん根回してどういう意味なん」
「朋美、難しい言葉知ってるんやな」
「根回し言うたら、ほれ、これや」
「なんや、携帯のストラップやんか、それが根回しなん」
「そうやで、お母ちゃんのこれヨン様やで、お父ちゃんと違うて、えらいカッコええやろ」
「どうでもええけど、ヨン様てもう古いで、せやけど、さすがお母ちゃんやわ、おじいちゃんに聞いたら、こんまわし、ていわはるんやで」
「おじいちゃんの言うことはあんまり信用せんほうがええでこの前も、頭が痛い風邪かないうて、角の薬局に行ってくるわていわはるし、頭痛やったらジキニンがええでていうたら、薬局でジキニンて言わんとカクニンて言うたらしくて、薬局からジキニンでええか確認の電話があったんやで」
「ふーん」
その日の夕食の時でした、朋美が父の昭夫に突然
「お父さん携帯電話見せて」と言いました。
急な振りで、お父さんは別の意味で慌てましたが、そこはそれ、やんわり
「なんで」と返しました。
朋美は「携帯の根回しを見せてほしいねん」
得意げに言いました。
「あー朋美、根付けのことか」
急にお父さんは安心した様子です。
普段、ボーッとして感受性が鈍いお母さんの目がキラッ。
そうとも知らずにお父さんは、雄弁に話し始めました。
「朋美、これはストラップや、根付けも似たようなもんやけど、昔の人は煙草入れとかにつけて帯に挟んで落とさんようにしてたんや」
「お父ちゃん、それ根回しと違うの、根付けて言うんか」
「そうやで、根回し言うのはな、朋美、植木を植え替えるときに地面から抜いてすぐに植え替えると、抜いたときに根が傷んで木が弱ってるさかいに、根をぐるっと回して土を詰め込んで荒縄で縛って根が元気になるまでじっとさせとくんや、人間でいうたら、怪我したら包帯で巻いておくやろ、あれと同じで植木を枯らさんようにする植木屋さん用語や。
今では、物事をあんじょう進めるために事前にいろんな所に手を回しておくことに使われて、人によったらあんまりええ意味やないと思うてる人もいるけどホンマは違うんやで」
「やっぱり、こんまわしとちごた、お父さんさすがやわ、おじいちゃんもお母さんも勉強になったやろ」
おじいさんは禿げ上がったおでこを真っ赤にしてうつむいています。
お母さんもバツの悪そうな顔をしています。
朋美が二人の顔をじっと見つめています。
お母さんが「私、根回し嫌いやねん」
ポツリと言いました。
武腰家の日曜日です。
父親の昭夫は、早朝から釣りに出かけました。
母親の尚代は、町内の一斉清掃で不在です。
家には長男の裕一と妹の朋美、それにおじいちゃんの七衛門の三人だけです。
おじいちゃんは縁側で新聞を読んでいます。
裕一と朋美はトーストと牛乳で朝食を食べています。
「ごちそう様、お兄ちゃんどっかいくの」
「昼から公園に行くかも知れん、朋美は」
「私は家にいる」
食器を流しに持って行き、二人は時間をどうしてつぶすか考えていました。
「朋美、宿題は済んだんか」
おじいちゃんが声を掛けました。
「もう少しだけ、あとでする」
「そうか、朋美、すまんが肩をたたいてくれんか」
おじいちゃんは肩が凝るらしく、時々、朋美に頼みます。
「ちょっとだけやで」
「すまんな」
「おじいちゃん何読んでるの」
「ちょっと面白い記事があってな」
「何?」
「うん、朋美、同期の桜て聞いたことあるか」
「ないわ、何それ」
「その同期の桜のことが新聞に載ってるんやおじいちゃん、なんか懐かしいてなぁ」
「昔、日本の国が戦争したことがあるんやで」
「それやったら聞いたことあるわ、二度と戦争したらあかんのやろ」
「そうや、よう知ってるな」
「先生が言うてはった、南の島や特攻隊でいっぱい死なはったんやろ」
「そや、そや、おじいちゃんは戦争に行ってへんけど、戦争にいかはる言うたら、村中の人が万歳、万歳言うて、小旗を振って送ったもんや」
「先生な、戦争あかんいうて学校でも君が代の時立たへんにゃて」
「それはちょっと・・・・・朋美はちゃんと立たなあかんで」
「わかってる、朋美の声大きいんやで、この前、お父さんとお兄ちゃんと三人でカラオケ行ってな、お父さんがカラオケで君が代歌てはって、点数が96点やったんや」
「おとうさんやるやんけ」
「そんでな、次に朋美も君が代歌ってん、そしたら、おじいちゃん朋美97点やってな、お父さんがっかりしてはったわ」
「大きい声でたんやなぁ、そうやったんか、そんなら安心や」
「おじいちゃん、さっき言うてた同期の何んとかてどういう意味なん」
「せやせや、それやったな、同期の桜言うてな、海軍でも陸軍でも兵隊さんが歌ってはったんや」
「どんな歌なん」
七衛門は、貴様と俺とは同期の桜~ 同じ航空隊の庭に咲くぅーと歌いだしました。
「おじいちゃんもうええわ、歌へたやなぁ」
「すまん、すまん、今のな、航空隊を兵学校とか戦車隊、部隊に代えて歌ってたんやで」
「ふーん、で、それが何なん」
「朋美、昔、おじいちゃんのお父さんに買うてもろた少年倶楽部ていう本にな、同期の桜の子どもバージョンが載っててな、おじいちゃんらみんなで歌うたもんや、ええか、音痴やけど聞いときや」
「君と僕とは二輪の桜ぁ 積んだ土嚢の陰に咲くぅ どうせ花なら散らなきゃならぬ 見事散りましょ 皇国のためー」
「おじいちゃん、初めて聞いたわ」
「あの頃はな、日本中が戦争一色やったんや、誰もそれをおかしいとも思うてへんかった、神の国の日本が負けるはずないと思うてたんやな」
「そんで、原爆落とされて負けてしもうたんやろ」
「そうや、せやけど苦しかったんは負けてからや、食べるもんないし、お金もあらへん、着るもんもあらへん」
「おじいちゃん苦労したんやな」
「おじいちゃんだけやあらへん、みんな苦労したんや」
「そんでこの前、焼き肉でもめた時も、おじいちゃんは何でもええて言うたんやな、そう言うたら、おじいちゃんいつも何出されても、おいしい、おいしい言うて食べるもんな、戦争で苦労したんやな。朋美な、おじいちゃんのことちょっと見直したわ」
「そうか」
「時々、わけのわからんこと言うけど、朋美はおじいちゃんのこと好きやで」
「おおきに、おおきに朋美ぐらいやわ、そんなこと言うてくれるの」
「肩もんでくれた駄賃に100円やろ」
「おじいちゃんこの100円おかしいで」
「アーそれは前の100円や、この前出たやつは桜やけど、これは鳳凰や、せやけどどこでも使えるさかい心配せんでええで、無駄遣いせんように郵便局に貯金しとくのもええけどな」
「ありがとう」
昭夫夫婦がいない日曜日、七衛門は思わぬ形で名誉回復をしました。
長く生きていることはそれだけ経験があるということです。
親から子へ伝えるものもありますが、祖父から孫へ伝えるものもたくさんあります。
例えば、介護だってそうです。
お母さんがおじいさんの介護をするのを見て育った子どもの心にはいたわりや思いやりがしっかり根付いていると思います。
それが、成長して他者を思いやる優しさとして花開くことを願います。
この先、家族の前でへまをしたときに朋美が盾になってくれるか保証はありません。
子どもは無邪気で残酷な生き物だから・・・。
七衛門の活躍を期待したいと思います。
この前5年4組で学級委員長の選挙がありました。
38人のクラスで全員が投票をして、学級委員長と副委員長そして、風紀委員長、給食委員長を決めます。
最初に学級委員長の選挙です。
どこのクラスでもそうですが、悪ガキが一人や二人はいるもので、このクラスにもいます。
その子が武腰家の長男の裕一です。
裕一は選挙前になるとクラスの生徒をトイレに呼び出し、今度の選挙でこいつに入れろとスゴみます。
今度の学級委員長には、白田東四郎君を推しているようです。
「おい、わかってるやろ、今度の選挙は白田やでそれとな、風紀委員長は俺に入れてくれ、ええか」
気の弱い、井川繁和君は裕一の格好の標的です。
並んでトイレで用を足していたら、声を掛けられました。
「白田君に入れたらええんやろ、わかってる。
あのー武腰君、この前貸したゲームのソフト返してーな」
「おー、あれか、もうちょっと貸しててくれや、あかんのんけ」
「ええけど、いつ返してくれる」
「もうちょっと貸したるゆうたやんけ、なんか文句あるんか」
「・・・・・」
「おおきに」
次は、古田君です
「古田、今度の学級委員やけど、東四郎で頼むで」
「白田君がええの・・・・・・」
「ええやろ、お前は給食委員長にしたるやんけ」
「給食委員長にしてくれるんやったら文句ないで」
「よっしゃ、決まりやで」
武腰君の陰の活躍で、選挙は白田東四郎君が満票で学級委員長に選ばれました。
副委員長には津川信吾君、風紀委員長には竹腰裕一君、給食委員長には古田雅夫君が選ばれました。
副委員長は38人中30票でした。
これは、クラスの中で竹腰君と反目しあう塚田グループと谷本グループの造反でした。
それでも、竹腰君は自分たちのグループの思い通りの結果だったので満足しています。
給食委員長に選ばれた古田君にさっそく仕事が回ってきました。
4時限目が終わると3名の給食委員と配膳室に一目散。
今日の給食はクジラのカツと野菜いため、脱脂粉乳とコッペパンです。
クラスのみんなはアルミの皿を持って順番に並びます。
ふっと見ると、津川副委員長の後ろに竹腰風紀委員長が並んでいます。
津川君に配ったカツはとても大きいカツでした。
「古田君、おおきに僕カツ好きやねん」
それを見ていた竹腰君が
「俺もクジラ好きやねん、大きいの頼むわ」
ところが、津川君に配ったような大きいカツはもう残っていません、下の方まで古田君は探しましたが・・・・。
「何や、小さいやんけ、もっと大きいのくれや」
いくら言われてもないもいのはない、古田君はカツが入っている入れ物を竹腰君に見せました。
おさまらないのは竹腰君です。
「おい、津川、俺のと換えてくれや」
津川君はいつものようににこにこ笑っています。
「へらへら笑うてんと、換えてくれや」
それでも津川君はにこにこ笑っています。
「いつも笑うてばっかりで頼りない奴やなぁ」
笑いながら津川君は
「いやや!」
もう、竹腰君の怒りは収まりません。
「津川、来週、校則委員会があるの知ってるやろ、副学級委員長のお前が校則委員会の委員長やけど、俺は風紀委員長やさかい校則委員会の副委員長やで、何言うてもええけど協力せえへんさかいな、覚えとけよ」
こんなことなら副学級委員長になんかならなければよかったと後悔する津川君でしたが、もう遅い。
食い物の恨みは恐ろしい。
来週の校則委員会が楽しみでもあり・・・・。
いよいよ明日、校則委員会が開催されます。
津川君は武腰君が妨害しないか心配でたまりません。
クラスでも武腰君と目を合わすこともなく、大好きな肉弾も窓から見ているだけでした。
武腰君や古田君は肉弾に興じています。
事件はここで起きるのですが、津川君は気が付きません。
気の弱い井川繁和君が、武腰君に近寄って行きました。
「武腰君、ちょっと話があるんやけど・・・・。」
「なんや、井川お前も入れや」
「僕はええよ、それより、ちょっと」
二人は体育館の前で話し始めました。
「ソフトやったらもうちょっと貸しててくれよ、なかなか次のステージに行けへんのや」
「ソフトの話と違うよ、津川君のことや」
「津川のこと?あいつ、この前カツを交換してくれへんかったんや、明日の校則委員会、潰したるねん」
武腰君はまだ怒っているようです。
「そのことやけど・・・・。」
「なんや、文句あるんか、お前も潰したろか」
「潰すんやったら潰したらええよ、その前に話聞いてほしいねん」
いつも小さな声でしか話さない井川君が武腰君の目を見据えて話し出しました。
「な、なんや井川、いつもと違うやんけ」
「黙って聞いてくれる」
「お、お、ええけど・・・」
武腰君の歯切れが悪くなりました。
どうやら井川君に押されているようです。
「この前社会の時間に聖徳太子の17条の憲法のこと習ったやんか、あの中の和を以て貴しとなすて覚えてる」
「何言いだすおもたらそんなことか、それがどうしたんや」
「家でお父ちゃんに和を以て貴しとなすについて聞いたんや、みんなと仲良くすることが大事やて先生いわはったけど、それでおおたんのか、て聞いたら、お父ちゃんがな、和(やわらぐ)を以て貴しとなすという解釈もあるて教えてくれはったんや」
「どういう意味やねん、わかりやすう言うてくれや」
「僕も、あんまりわからへんかったんでメモしてきたんや。ええか、聞いてや」
井川君は父親に教えてもらったメモを読み出しました。
「人間というのはグループや派閥を作りやすい。
そうなると自分たちの考えが最高だと思い、ほかの人の考えや行動を否定し、対立をしてしまう、そうではなく、互いに和らいで話し合うことで、合意を形成し、真理を導き出すのが正しい道である。大切な決定は独断で行わず、多くの人と議論して公平な結論を出すために和をもって貴しという言葉が17条の憲法の第1条にある。」
武腰君は目を閉じてじっと聞いていました。
「わしらのグループだけで物事を決めたらあかんということやな、それと、クジラのカツの大きい小さいでいちいち、文句を言うて周囲を困らせたらあかんて言いたいのやろ」
井川君は頷きかけましたが、武腰君の機嫌を損ねると大変なので、静かに言いました。
「まだ続きがあるねん。議論をしっかりしないで、力で押さえつけたら、余計に批判が大きくなる、人間は誰も完全ではありえない、それ故にどんなに優れた人でも、他人の意見には謙虚に耳を傾けなければならない、そのためにはそれぞれの人が私利私欲を捨てて議論に臨む心掛けが必要だ、つまり、公共の利益が目的であり最重要なことである。これで全部」
「井川、お前のお父さん偉いんやなぁ、うちのお父さんも物知りやけど、お前のお父さん、見直したわ、お前はどこのグループにもはいらんとマイペースでみんなと仲ようしてるのはお父さんの影響があったんやな、初めて分かったわ」
「そんなんやないよ、武腰君、僕は口下手で、人付き合いが苦手やろ、それに引っ込み思案で気弱やし一人でいることが多いねん」
「性分やしな、でも、お前のそんなとこ嫌いやないで」
「ありがとう、あのー武腰君ソフトの裏ワザ、今度教えたげるわ」
「すまんのー、ちょっとも先に進めへんねん、頼むわ、津川もおんなじグループやしな、それに、あいつのニコッとした顔、ちょっととぼけてて憎めんとこあるしな、ホンマ、徳な奴やで津川は・・・・
明日の校則委員会はちゃんとしたるわ、お前にも、ええこと聞いたし、お前に借りができたな」
「そんなんええよ」
「せやけど井川、まだ、わしら甘い方やで、塚田のグループ、時々、何言うとるんかわからん時があるやろ、なんか共産党みたいなこと言い出したりしよるし、時間があったら、さっきの話、あいつらにもしといたってくれや」
「ええよ」
井川繁和君の機転でクラスがまとまりそうです。
「武腰君もええ風紀委員長になるやろ、これで一安心や」
一人になった井川君は胸をなでおろしました。
5年4組の校則委員会は、武腰君の協力で、無事に終了したようです。
委員会の中で、校則の改正や変更を求める場合は、全校集会で変更を求めるクラスからの説明だけで、同じクラスの応援弁士が応援演説をしないことについて話し合われ、塚田グループの杉下校則検討委員もシブシブ賛成をしたそうです。
このグループはいつも、変更案を出すときに応援演説を行ってきました。
ですから、本心では賛成したくなかったかもしれません。
ただ、よそのクラスからの応援演説は問題ありませんので、どれだけ前向きな校則変更の案が出されるかで、今までよりも多くのクラスの賛同が得られるか決まります。
これは5年4組だけでなく4年生以上の全クラスで話し合われており、どのクラスも同じ結論になったようです。
また、2学期にある生徒会長選挙の時も、候補者と同じクラスからの応援演説はしないことになりました。今までは、ダラダラ長い演説が続いていたのですが、これで時間の短縮になります。
これまでは、同じクラスから各1名の正副会長候補しか出せなかったのを2名以上出す案は引き続き検討するとのことです。
それに、地域の人を呼んで公開のホームルームの開催も考えています。
これもいくつか問題があります。
おじいちゃんやおばあちゃんが、同じ町内に住んでいる生徒の発言がないと、不満に思って学校やその生徒の親に苦情を言ったり、端役だとその生徒の親に言いつけたりすることも考えられますし、生徒というか子ども嫌いな大人もいます。
それでも、地域に開かれた学校のために、5年4組でも参観日に親だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんにも学校に来てくれるようそれぞれの生徒が家で頼んでいます。
この企画は4組のみんなにとって大きな宿題です。
ただ、毎回、同じ司会では不公平ですし、地域からも愛想を尽かされます。
だからと言って誰でも司会が務まるわけでもありません。
それなりの能力が要求されます。
4組の中にあるいくつかのグループの中で、司会を無難に務められる力を持つ生徒があと何人か必要なことだけはみんな理解をしていると思いますし、そうした個人の能力の向上のためにも公開ホームルームはみんなの願いであるのです。
まだまだ5年生です、失敗を恐れている年ではありません。
たぶん、武腰裕一君や高端建造君、藤岡重義君それに塚田君あたりから声が出ると思います。
井川繁和君も思いはあるのですが、何せ気弱で引っ込み思案ですので、モジモジ、イライラ・・・・。
武腰君と言えば、彼は仲間たちと、毎日ホームルームを考えています。
いつでもクラスや授業のこと学校、先生のことを話せる時間を作るよう提出案を練っています。
ただ、担任の木田先生や校長、教頭先生が必要に応じて教室に来てくれるか少し不安ですが、もうすぐ、教室にエアコンが入ります、そうすれば夏休みが短くなる可能性もあります。
休みが短くなれば授業時間が増えますので、そこからも毎日ホームルームの時間が出てくるとも考えています。
さらに、今までの生徒会長の候補者はクラスの推薦で決めていましたが、推薦がなくても立候補できる制度は来年以降に考えることになりました。
この制度が採用されますと、今まで、生徒会の正副会長候補は5年生と決まっていましたが、4年生や3年生でも立候補できることになります。
4年生でも6年生くらいの体格の生徒もいれば、6年生でも4年生くらいの身長しかない生徒もいます。
事実、昨年、生徒会長になった青木君は顔つきこそ6年生以上ですが、体つきは4年生くらいです。
体格だけで生徒会長が決まるわけでもありませんが6年生の青木君と川を挟んで住んでいる、4年生の桐山君と比べると20センチ以上、桐山君の方がノッポです。
話が脱線しました。
校則委員会では、これから変更してほしい校則や付け加えてほしい校則の検討に入ります。
津川君も武腰君もクラスみんなの意見を聞いて素案の作成にかかるということです。
気弱な井川君も地域に開かれた学校のためにいろんなことを考えていますが、言葉になるか…ちょっと不安ですが、彼にも期待したいと思います。
クラスの生徒のほとんどが、5年4組から学校を変えていこうと意気込んでいますので、きっといい案が出ると思いますし、ほかのクラスも4組には注目しています。
いろいろあったようですが、それでも、特別大きな出来事もなく一日がすんでいきました。
こんな日ばかりだといいのですが。
飽きっぽい生徒が多い5年4組、きっと、新しい事件が起きるに決まっています。
次の主役は誰でしょう、そういえば髪いえ、影の薄い学級委員長の白田君、給食委員長の古田君、武腰君の家族もいます、それとも新しい所では・・・・・。
奥田君、草木君、谷山君、山川君、横井君、岸田さん、白石さん、塚田君、高端君、濱田君、佐川健二君、清川さん、あまり学校に来ない泉川君、陽気な仲田さんもいます。
藤岡君は二人いました。
藤岡重義君と藤岡鉄雄君です。
多士済々の4組ですし、ほかのクラスにも有名人はいます。
この前の学年テストで2番の野呂君、3番の笠岡君、いつも強気で歯切れのいい悠木君。
覚えるだけでも大変ですわ。
Posted by いとう茂 at 22:26│Comments(0)