2017年08月13日

その人を笑えますか㉟

「イヌと貝」

タマゴを食べる癖のあるイヌが、貝を見て、
てっきりタマゴだと思いました。
そこで、パクリと飲み込んでしまいました。
ところが胃がもたれて、重苦しくて気持ちが悪くなりました。
イヌは後悔して、
「ぼくが悪かったんだ。丸い物なら何でもタマゴだと
思ったからいけないんだ」
と、つぶやきました。

よく考えないで見境いなしに何かをやり始めると、
思いがけない困った事が起こるものです。
後悔先に立たず、後悔は人生につきものなのでしょう。
後悔のない人生はもしかすると、深く物事を考えない
人間を作るかもしれませんし、傲慢で鼻持ちならない
人ばかりで謙虚、控えめという言葉がなくなりそうです。


「ゼウスと〈良い事〉の詰まった樽」

ゼウスの神は樽に、〈良い事〉をいっぱい詰め、
しっかりとふたをして、ある人に預けました。
その人は、樽の中身が知りたくてたまりませんでした。
そこで、こっそり樽のふたを少し持ち上げて、中を覗こうとしました。
途端に、中に入っていた〈良い事〉は、全部その隙間から
出て空高く舞い上がり、神々のいる所へ戻って行ってしまいました。
その時、樽の底には希望だけが残っていました。

だから人間は、逃げて行ってしまった〈良い事〉を、
いつかは取り戻せるという、希望だけは持っているのです。
この話が本当なら人生は味気ない気がします。
人間は柳に飛びつくカエルなのでしょうか。

「キツネとヤギ」

キツネが井戸に落ちていると、喉の渇いたヤギが通りかかって聞きました。
「この井戸の水は、おいしいですか?」
キツネは、困っているくせに、
「こんなにおいしい水はないから、きみも降りておいで」
と、ヤギを誘いました。
するとヤギはよく考えもしないで、井戸の中に降りて行きました。
そして水を飲み終わると、キツネに尋ねました。
「ところで、どうやって井戸の外に出ましょうか?」
「簡単だよ。きみが後ろ足で立ってハシゴになるのさ。
ぼくはそれを伝って上へあがり、その後、きみを引っ張り上げてやるからさ」
ヤギはキツネに言われた通りにしました。
キツネは、
「しめしめ」
と、ヤギを伝って上がり、井戸の外に出ると薄情にも
さっさとどこかへ行こうとしました。
慌てたヤギが、
「おーい、キツネくん。約束が違うよ。早くぼくを引っ張り上げてくれよ」
「へっへっへっ、ヤギさん。きみがそのあごひげの数ぐらい
たくさんの知恵があれば、上がり方も考えずに井戸の底に
降りたりはしなかったろうにねえ」

何かをする前には、まず後の事を考えないといけないというお話しでした。
後のことよりパートナーも選ばないといけません、人の世は人と人が
関わりあって成り立っています。
何かをしてあげたら何かをしてもらえると考えるものですが、
それが良いことばかりとは限りません。
それでも寝ているウサギさんを起こしてあげられるようなカメが
いいと思っています。

Posted by いとう茂 at 22:13│Comments(0)
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