2017年10月30日

今日は初恋の日

1年365日毎日が何かの記念日です、今日は
初恋の日、秋の夜長に遠き昔を思い浮かべて、淡き切ない
思い出に浸るのも・・・・・・。
初恋の詩として最も有名なのが島崎藤村の作品だと思います。
冒頭の部分は聞き覚えのある方も多いと思います。

初恋
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな

林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

中原中也の作品にも初恋があります。

すずえ
それは実際あったことでしょうか
それは実際あったことでしょうか
僕とあなたが嘗(かつ)ては愛した?
ああそんなことが、あったでしょうか。
あなたはその時十四でした
僕はその時十五でした
冬休み、親戚で二人は会って
ほんの一週間、一緒に暮した
ああそんなことがあったでしょうか
あったには、ちがいないけど
どうもほんとと、今は思えぬ
あなたの顔はおぼえているが
あなたはその後遠い国に
お嫁に行ったと僕は聞いた
それを話した男というのは
至極(しごく)普通の顔付していた
それを話した男というのは
至極普通の顔していたよう
子供も二人あるといった
亭主は会社に出てるといった
(一九三五・一・一一)
むつよ
あなたは僕より年が一つ上で
あなたは何かと姉さんぶるのでしたが
実は僕のほうがしっかりしてると
僕は思っていたのでした
ほんに、思えば幼い恋でした
僕が十三で、あなたが十四だった。
その後、あなたは、僕を去ったが
僕は何時まで、あなたを思っていた……
それから暫(しばら)くしてからのこと、
野原に僕の家(うち)の野羊(やぎ)が放してあったのを
あなたは、それが家(うち)のだとしらずに、
それと、暫く遊んでいました
僕は背戸(せど)から、見ていたのでした。
僕がどんなに泣き笑いしたか、
野原の若草に、夕陽が斜めにあたって
それはそれは涙のような、きれいな夕方でそれはあった。
(一九三五・一・一一)
終歌
噛(か)んでやれ。叩いてやれ。
吐(ほ)き出してやれ。
吐き出してやれ!
噛んでやれ。(マシマロやい。)
噛んでやれ。
吐き出してやれ!
(懐かしや。恨めしや。)
今度会ったら、
どうしよか?
噛んでやれ。噛んでやれ。
叩いて、叩いて、
叩いてやれ!
(一九三五・一・一一)

最後は石川啄木の初恋を紹介します。

砂山の砂に 砂にはらばい
初恋のいたみを
遠くおもい出(い)ずる日
初恋のいたみを 遠く遠く
ああ おもい出ずる日
砂山の砂に 砂にはらばい
初恋のいたみを
遠くおもい出ずる日

Posted by いとう茂 at 21:02│Comments(0)
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