2018年04月21日
その人を笑えますか㊸
「病気のカラス」
病気になったカラスが、お母さんに言いました。
「母さん、泣いてばかりいないで、神さまにお祈りしてよ」
すると、お母さんカラスが言いました。
「お前を可愛そうだと思ってくれる神さまが、どこにいると
いうのかい? お前がお供え物を盗まなかった神さまは、
一人もいないじゃないか」
このお話しは、普段からたくさんの敵を作っている人は、
困った時に誰も助けてくれない事を教えています。
親に見捨てられては救われません、何も悪いこと
していないのに親に見捨てられる子どももいます。
こんな子どもはもっとすくわれないのでしょうか。
「モグラの親子」
モグラは目の見えない動物ですが、あるモグラが母親に、
「お母さん、ぼくは何でもはっきり見えますよ」
と、言いました。
母親モグラは試しに、お香の粒を出して、
「これは、何かい?」
「石ころです」
母親は、あきれて言いました。
「やれやれ、お前は目が見えないだけではなく、鼻まで効かないのだね」
この様に、ほらふきはちょっと試されれば、たちまちボロを
出してしまうものです。
嘘も背伸びのうちなのでしょうか、ハッタリと嘘の違いはどうして
見分けるのでしょう。
過度なお世辞、ごますりも嘘の友達でしょうか。
「サルとイルカ」
むかしギリシャの人たちは、航海する時にマルタ犬という
小型のイヌやサルをペットとして、一緒に船に乗せていました。
さて、ある人がサルを連れて船旅をしていました。
アッチカ地方のスーニオン岬にさしかかると激しい嵐になり、
船は転覆して乗っていた人たちは泳いで逃げました。
サルも、人間の真似をして逃げました。
一匹のイルカがそれを見て、人間かと思って助けに行きました。
サルの体の下に潜って、背中に乗せて陸まで運んでやろうとしたのです。
イルカはこうして、ピレウスの港のそばまで来ました。
ピレウスは、アテネの町に近い港です。
イルカはサルに、
「あなたはアテネに住んでいるのですか?」
と、聞きました。
「ああ、そうだよ。だからアテネの町の有力者にも、親戚が何人もいるんだ」
「それでは、ピレウスもよく知っていますか?」
サルは、ピレウスというのは人の名前だと思ったので、
「ああ、よく知っている。あいつはぼくの親友だよ」
と、得意そうに言いました。
イルカは、こんなバカなほら吹きを助ける気がしなくなったので、
わざと海に深く潜ってサルをおぼれさせてしまいました。
このお話しは、本当の事は知らないくせに、他人にほらを吹いて
本当だと思わせようとする人を、いましめています。
あの世で閻魔様に舌を抜かれるまでは、人間はこの世で嘘を
つき続けるのでしょうか。
「クジャクとツル」
クジャクがツルをバカにして、羽根の色をけなしました。
「わたしは金色の羽で、こんなにきれいだけれど、
あなたときたら翼のどこを見てもきれいな色が全然ないわね」
するとツルは、
「でもわたしは、空の高い所まで飛んで行けるのよ。
あなたなんかニワトリと同じで、地面を歩き回るだけじゃないの」
着飾っていても自由のない人間よりも、身なりは質素でも
自由のある人間の方が良いと、このお話しは教えています。
自由がないから着飾るのか、着飾るから自由がないのか、
自由があるから着飾らないのか、着飾れないから自由があるのか。
自分が持っているものに満足する、何も持っていなければ
何も失うものはないと満足すること・・・・・。
Posted by いとう茂 at 20:32│Comments(0)