2019年03月29日

義を見てせざるは勇なきなり・李下に冠を正さず

仮に彼のことを正雄としておきます。
正雄は岐路に立たされています、ある組織の未来の姿を
議論する委員会に所属しています。
ある組織に正雄も役員として名を連ねていますが、
委員会での議論の中で、より発展した組織にするには
現在の組織の会長が専務理事を兼任という形は正常な
形ではなく、会長職と専務理事職は分離すべきだと、委員会の
メンバー全員が確認したところです。

組織には会長の上に代表と副代表がいますが、組織の運営は
実質、専務理事と会長にゆだねられています。
そもそもこの委員会が組織されたのは、専務理事を兼ねている
会長の放漫な運営からでした。
委員会からの報告で代表が会長に専務理事を辞めるように
勧告したところ、会長は組織そのものを辞めてしまいました。
代表と副代表が奔走した結果、会長候補が見つかり候補も
会長就任を承諾しましたが、問題は専務理事です。
専務理事候補が見つかりません、専務理事は事務全般にわたり
事務員に処理を命じて、その監督を行う要職です。
年間の会計規模はそれほど大きくはないのですが、外部から
監査を招いてますので厳正な会計処理を求められます。

そこで、代表は委員会の構成員でもある正雄に専務理事の
就任を依頼しました。
ここから正雄の苦悩が始まります。
組織の危機的状況は正雄も十分認識していますが、自分たちが
議論をして会長と専務理事を分離すべきと結論を出したので、
これではまるで自分が専務理事になりたいと思っていた、
周囲からそう見られても仕方がない結果になってしまいます。
危機的状況を救うために、義を見てせざるは勇無きなりの姿勢か、
周囲に誤解されないために李下に冠を正さずの姿勢か。

迷った挙句に、正雄は筋を通す選択をしました、「代表に、
私は未来の姿を議論する委員会のメンバーです、そこで会長と
専務理事の分離について他の委員よりも大きな声でその必要性を
訴えてきたつもりです。
その私が専務理事に就任したら前会長や事情を知らない組織の
構成員は、私が肩書欲しさに前会長を退会に追い込んだ、
そう思われると思いますし、私以外にも代わる人はいるはずで、
この話はお受けできません」という結論に達したようです。

皆さんならどちらの選択をするでしょう、ちなみに私は正雄の
決断を支持したいと思います。

Posted by いとう茂 at 23:38│Comments(0)
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