2020年06月02日

空白

空白とは何もないという意味ですが、調べてみても
1 書類などの書き込むべきところに、何も書いてないこと。
  また、その部分。
2 継続しているものの一部分が欠けていること。
  何も存在しないこと。また、そのさま。ブランク。
ほぼ同じ解説です。
人生の空白、もちろん生きている以上は何らかの足跡が
あるはずです。
病気で入院していた、海外留学をしていた、芭蕉や山頭火の
ように放浪流転の生活をしていた。

書類なら何も記入されておらず、すっぽり抜け落ちていれば
空白ということが一目瞭然です。
しかし、その人が生きてきた中でひきこもりの期間がある、
そうした人が生活訓練、就労訓練、就労体験を経て社会に
出ようとしたときに、希望する仕事先での面接や筆記試験が
あります。
そして就職に不可欠なのが履歴書です。
職歴や学歴を書く欄のうち抜け落ちてしまう期間があります。
ひきこもりとは履歴書に書きにくいものですが、空白のままでは
面接で聞かれることが目に見えています。
面接会場で試験官から空白の期間を聞かれて、もごもご
口ごもっているうちに過去のひきこもり期間がフラッシュバックし、
試験会場から逃げ出して再びひきこもり生活に戻らないとも
限りません。

ひきこもりだけでなく、犯罪者についても同様のことが言えます。
保護司をしていて心配するのが復学と就労です。
再犯はあってはなりませんが、自分の犯した罪のことを家族や
保護司以外に話ができる人がいない場合、保護観察期間が
終了すると、その人は何物にも拘束されません。
その段階で保護司も離れますので、家族がよほど配慮しないと
孤立して再犯に走ってしまいます。
こうした罪を犯した人の就労先として、過去の犯罪歴を理解して
雇用してくれる協力雇用主がいますが、現状では業種が建設業に
偏っていますし、まだまだ協力雇用主の数も少数で、自分が
就きたい仕事に就けないことの方が多いと思います。

罪を犯した人の履歴書も〇〇刑務所に服役、とは書きづらいと
思います、罪を犯したのだからそんなことは当然と言われるかも
知れませんし、服役期間を偽って病気療養と言ったとして、
後になって発覚すれば、すぐに解雇になってしまいます。
その生きざまに何も陰りがない者でないと社会のスタートラインに皆と
一緒につけないのか。
1年間に5回転職していてもひきこもりや犯罪者よりも社会的評価は
高いのかもしれません。
その人の性格や人となりよりも、とにかく人生に白い部分を作らない、
もしかすると、作りたくて作っていなくても、作ってしまえば大きな
ハンデになるのが今の日本社会なのでしょうか。

Posted by いとう茂 at 14:35│Comments(0)
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