2020年08月17日

それぞれの墓参り

お彼岸やお盆に墓参りに行く人は多いと思います。
日本ならではの風習だと思いますが、最近では核家族、
少子化で墓じまいをする人やマンションのような個室の
お墓、永代供養をしてもらいお墓参りをしない人も
増えているようで、日本の風習も様変わりの時期を
迎えているのかもしれません。
個人的な話ですが、私の家も娘が二人で二人とも結婚して
外に出ています、そして先祖代々のお墓もあります。
先のことを考えると、墓の守りはどちらが・・・・・・。
考えても詮無き事、なるようにしかならないと思っています。

二組の墓参りの話です。
一組目は年老いた母親と息子です、何とか身の回りのことは
自分でできるものの遠出は難しく、ショッピングセンターなどに
買い物に行くときは息子が仕事の休みの日に車で連れて
行ってもらう、日用品などを買いに行くときも同様です。
そんな母親がお盆に思い立ったように、自分の生家の墓参りに
行くと言い出します。
もちろん車での移動ですが、この暑さですので車を降りてから
お墓が立っている場所まで歩かなければならず、おぼつかない
足元と暑さを心配した息子は、来月のお彼岸に行こうと言いますが、
思い立ったらじっとしていられない母親は、今日行かなければ
明日は死んでしまっていて行けないような口調で食い下がります。
息子は、まさか明日死ぬとは考えてはいなかったと思いますが、
自分で歩いて墓参りができるのもこれが最後かもしれない。
そう考えたのか、2時間以上かけて墓参りに行ったそうです。
道中二人がどんな話をしていたのか分かりませんが、息子は
お参りする側でいられるのもあと少しかもしれない、急がずに
母親の気のすむまで墓にいようと考えたということです。

そんなことを知ってか知らずか母親はバケツに汲んだ水をかけながら、
おばあちゃん、ぶつぶつ、おじいちゃんぶつぶつ。
草をむしりながらまたぶつぶつだったそうで、何度も手を合わせて
また来るわな、また来るわなを繰り返していたそうです。
母親が何を思って墓参りに行くと言い出したのかは分かりませんが、
連れてきてよかった、できれば来年も再来年も連れてきてやりたい、
そこそこの年になって、ようやく親孝行はお金や物だけでなく、
親と一緒の時間を過ごす、そんな小さなことも親孝行なんだと
感じたということでした。
できればずっとお参りする側でいて欲しいけれど、近い時期に
お参りされる側になってしまうのだろう、としんみり語ってくれました。


Posted by いとう茂 at 14:47│Comments(0)
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