2021年02月15日

思い出し遍路61

温泉旅館京屋支店・・・・やっぱり変わった名前です。
ここの温泉は真っ白の湯で、足にぬめぬめしたものが
絡みつくほど濃い温泉でした。
年季の入ったお風呂で、あちこちに硫黄なのか白いかたまりが
こびりついていました。
翌日は5時に旅館を出発するつもりでしたので、朝食は食べない
ことを告げて就寝。

5時前から60番の横峰寺を目指して片道約8キロの上り坂を
歩き出しました、お参りセットだけを持っての歩きですので
上り坂も苦にならない・・・・と思っていたのは最初だけ。
松山市内から歩き続けて4日目、足腰への負担は結構ありました。
1番から通しで88番まで歩けるなら、1週間ほどで体も慣れてくるの
ですが、区切りで四国を歩くとどうしても負担が大きくなり、慣れた
頃には帰らなくてはいけません。

右に左に道路は曲がりくねっています、その道をとぼとぼ2時間ほど
かけて60番横峰寺に到着、まずは本堂でお参り、そして大師堂で
お参りとお参りの手順も般若心経もずいぶん手慣れたものになっています。
ここの納経所で・・・・ちょっとした事件が・・・・。
四国遍路に出る時に母親から肌襦袢と納経帳を渡されて、御朱印を
一緒にもらってきてほしいと頼まれていましたので、ここまでずっと
2冊の納経帳と御朱印が押された肌襦袢を持って歩いていました。
納経所で2冊の納経帳を出すと・・・・・・。
「どちらに御朱印を押しましょう?」
「えっ、両方にお願いします」
「納経帳は一人1冊ですよ、お参りしたのはあなた一人ですから1冊」
しかたなく「それでは母親の方にお願いします」
住職は筆を走らせながらも何かを言っていましたが、これまで
どの札所でもそんなことを言われなかったのに・・・・そんなことを
考えていると・・・・母親の納経帳に続いて私の納経帳にも御朱印を。
「あっ、しもた・・・・」
結局2冊に御朱印をいただきましたが、いやみではなく住職の
心配りで2冊とも仕上げてくれたのだと思っています。

納経を済ませて星が森へ足を延ばしました。
石鎚山が望める場所で小さな祠と小さな鳥居があります。
朝も早く誰もいません、貸し切りの星が森で少し休憩です。
これから上ってきた道を下らないといけません、膝に負担がかかるのも
痛めるのも下りの方が多いように思います。
覚悟して駐車場の自販機でスポーツドリンクとお茶を買っていると、
天の声・・・・です。
昨夜同じ旅館に泊まっていた夫婦から「下まで乗っていきませんか」と
声をかけてもらいました。
歩いていない道なら断るのですが、ここは打戻りで上ってきた道です、
車に乗っても歩きでつながっていますので、二つ返事でお願いします。
「汗臭いですよ」
「大丈夫ですよ、どうぞ」
暖かい気持ちに触れました。
歩くと2時間、車だと10分余り、なんで歩いてるんやろ。
この自問自答はまだまだ続きます。
思い出し遍路61

Posted by いとう茂 at 15:31│Comments(0)
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