2021年09月30日
糸賀一雄語録⑧
【世の中から厄介者だと思われていたのに、最近親や先生や心ある
世間の人たちの間では考えが変わりました。
政治の上でも、ある時期に考えが変わり百八十度の転回を
しようとしています。
それは「そこに重症の子どもがいたから」なのです。
重症の人たちはただ寝ていることによって、
あるいはもがき回っていることによって、この人たちに対する
社会の目を転換させ、新しい社会形成の原理を打ち出してくれました。
つまり生産をしたのであります。
新しいものの見方、人間に対するものの見方の変革を生産したのです。
しかも、その周囲の人々の生き甲斐さえも生産したのではないでしょうか。
そして、それを支える愛の営みを生産しました。】
【重症な子どもたちの療育現場の中で発見されるこの発達の姿は、
実はすべての人間がたどる発達の道行きと、
まったく同じものだということが証明された。
そればかりではない。
人間の精神発達というものは、年月とともに次第に
上へ伸びていくばかりでなく、あらゆる発達段階で豊かな
内容を持つように広がっていくものだということも証明された。
縦軸の発達に対して横軸の発達とでもいえるような
内容的な展開があるということである。】
【縦軸の発達でほとんど絶望的であっても、
横軸の発達は無限と言ってもよい。
この横軸の充実が上への発達を促すのである。
どんなにひまがかかっても、この道行きそのものは、
万人に共通のものである。
無限な横軸の充実、そこにその子どもの人生の充実が期待される。
心身の障害がどんなに重くても、その障害を克服する努力とともに、
今の生活を豊かにするという方向で、無限の発達の可能性に
挑戦するというのがこの子の人生の意義であるとすれば、
それはすべての人々に当てはまる原理ではあるまいか。】
Posted by いとう茂 at 12:31│Comments(0)