2022年04月20日

賽の河原の石積み

三途の川の手前の賽の河原で、幼くして亡くなった子どもが親を思って
石を積む話があります。
「お母ちゃん会いたいよぉ~」「お父ちゃん迎えに来てよぉ~」
泣きながら石を積んでいると鬼がやってきて、もうお前は親の所には戻れないのだ、
と言って積んだ石を蹴散らしていきます。
子どもはそれでも親を思って石を積みますが、また鬼がやってきて蹴散らす。
その繰り返しを何度もして、泣く気力もなくなった子どもの前に地蔵菩薩が現れ、
優しく抱いて三途の川を渡るという話だったと思います。

石積みとは違いますが、よく通る会社の2階にカラスが巣を作っています。
1週間ほど前からだと思いますが、道路からもよく見えるのでその前を通りながら、
ひそかに応援しています。
ところがこれまでに3度、巣が取り払われていました。
会社にすれば、こんなところに巣を作られては困るのもよく分かります。
金曜日の夕方に通った時には昼間に取り払われたのか、巣はありませんでしたが、
土日は会社も休みですのでその2日の間に巣を作ったらどうなるかなぁ、と考えていました。
月曜日は用事があってその会社の方には行きませんでしたが、
火曜日に通ると・・・・また巣ができていました。

幼くして亡くなった子どもとカラスを同一視はできませんが、
新しい命の誕生に賭けるカラスの執念には敬意を払ってもいいのでは・・・
そんなことも考えてしまいました。
カラスは農作物などにも被害を与えますし、
ゴミをあさって道路上にゴミ袋をぶちまけたりと、害鳥の部類です。
これも食物連鎖の頂点に立つ人間が決めたことですが、
カラスを駆除しすぎるとドブネズミが増えたり、イナゴやバッタなどこちらも農作物に
被害を与える虫が急増します。

外野で見ているから無責任なことが言えますが、会社にすればイメージもありますし、
新しい命と言ってもカラスの命が誕生するのを歓迎する人は少数でしょうから、
賽の河原の鬼になるしかないと思います。
ただ、人間は万能ではありませんし、海洋汚染も含めて地球の汚染をしているのも人間です。
人間が無意識に捨てるペットボトルや空き缶、
そんなものでもカラスは集めて巣を作っている、これも現実です。
「言葉持たない命よりも、言葉しかない命どもが、そんなに偉いか、確かに偉いか、
本当に偉いか、はるかに偉いか」・・・中島みゆきでした。

Posted by いとう茂 at 13:10│Comments(0)
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