2024年08月03日

腰の曲がったお婆ちゃん

町内の中ほどにある団地につながる曲がり角を、腰の曲がったお婆ちゃんが杖を突いてこちらにやって来ます。
頭は真下で前を見ていません、アルファベットのLの字を90度まわしたように、直角に腰が曲がっています。
曲がり角から私のいるところまでは50メートル余りですが、2分はかかったと思います。
「おばあちゃん大丈夫か・・・」距離が遠かったのか返事がありません、私の前まで来たので再度「おばあちゃん大丈夫か」。
「ああ・・・」
家の前にベンチを置いていますので「ここで休んでいくか」
おばあちゃんには、私の足とベンチの足しか見えていないはずです。
「ありがとう」そう言ってベンチに座り、やっと顔を上げました。
90歳は超えているのかと考えながら「おばあちゃんどこまで行くの」
「石山からバスで帰る」
「大変やで、まだ電車に乗らんとあかんよ」
「ああ、分かってる」
話をしていると石山行の電車が行ってしまいました。
「おばあちゃん、石山行が今行ったからもうちょっと休んどき、駅まで送ったげるよ」
おばあちゃんは杖を持つ反対の手で、スーパーの袋を持っていました、その袋を持つとペットボトル3本分くらい、2キロ弱の重さですがおばあちゃんには重かっただろうと思います。
おばあちゃんが歩いてきた方向にはスーパーがありますので、そこで買い物をしてきたようです。
駅までは100メートルもありませんが、おばあちゃんの足では4・5分かかりそうです。
「大丈夫か、足元気をつけてや」駅までその繰り返しでした。
一人暮らしなのだろうか、どうしてこんなところで買い物をして帰るのか、どこに住んでいるのだろう・・・。
色々なことを考えましたが、駅に着くまで何も尋ねませんでした。
肩からかけた小さいバッグから財布を取り出して、切符を買っていました。
こうした高齢者はこの先もっと増えるのだろう、そして未来の自分もこのおばあちゃんのように、腰を曲げて杖を突いて歩いているのか、その時は誰かが荷物を持ってくれるのだろうか、話しかけてくれるのだろうか。
あれこれ考えさせられる日でした。

Posted by いとう茂 at 15:24│Comments(0)
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