2011年10月26日

保護司の研修に行ってきました

今日は、大津保護区の保護司、40名余りで、
三重県にある児童自立支援施設の
県立国児学園に行ってきました。

児童自立支援施設といっても聞きなれない言葉で、
知らない人も多いと思いますが、感化院、教護院、
といえば何となく理解してもらえる人がいるかもしれません。

法律の変遷で、施設の名称が変わりましたが、内容的には
時代の変化はあるものの同じものです。

どんな施設かといいますと、
犯罪などの不良行為をしたり、また、するおそれがある児童や、
家庭環境、その他環境上の理由により、
生活指導を要する児童を入所させ、または、保護者の下から通わせて
個々の児童の状況に応じて指導を行い、
自立を支援する施設です。
稀ですが、退所後の児童に対しても必要な相談や援助を行う場合があります。

児童という名がつくように小学校高学年から18歳までが対象です。
しかし、現実には中学生がほとんどで、国児学園では、12から14歳で
約8割になります。
この施設には自立を支援するためにカギがありません。
入所にあたって保護者を交え十分理解を求めていますが、
途中で逃げ出す児童も1年に何人かいるそうです。

悲しいことですが、逃げ出して、万引きなどの犯罪を犯すと少年院などの
更生施設が待っています。

カギはありませんが、日課は6時30分のラジオ体操から
しっかり決められています。

驚いたのは、ここは夫婦制の施設で子どもたちの世話をしている
職員は夫婦なのです。
自分の子どもと入所している児童が同じ空間で生活しています。
自分の子供同様に愛情をかけ
家族のぬくもりを感じてほしいとの願いからです。
入所している子どもたちは職員をよく見ていると

施設長の説明がありました。

職員が自分の子どもと自分たちのどちらを見ているか
敏感に感じると言われていました。

訪問者にも敏感だそうです。
今日だけ物見遊山できた人か、今日だけだけれど
心を開いていい人か、しょっちゅう来るけど
来るだけの人か。
研修とはいえわずかな時間しかいられなかった
我々は彼らにはどう映ったのでしょう。

以前、児童養護施設の子どもたちと一日を過ごした時にも
同じことを感じたことがありました。
色眼鏡や偏見を持つ大人への警鐘です。

最近は、発達障害を持つ児童も増え全国に58あるこうした施設の
指導が大変難しいとの説明がありました。

基本的には、18歳で退所と決まっています。
保護者がいるので引き取り先はあるそうですが、
就労、進学のあっせんはしていません。
この施設を出た児童がどうしているのか追跡はできないと
言われました。20歳くらいまでの動向は何人かはつかめるが
ほとんどの出所者の経過はつかめていません。

自立への最後の砦のように感じました。
甘えるな、間違うな。
そんな無言の厳しさも感じました。
カギがないのも頷けます。

しかし、研修の最中にも運動場から響く児童の声は、
どこの学校でも聞こえてくる明るいものでしたし、
おはようございます。
と挨拶してくれた子供の表情もごく普通のそれでした。

自分の子ども信用していますが、他人の子ども、
それも非行歴のある子ども。
先入観を持つなという方がおかしいのかも知れませんが、
大人よりずっと敏感な子どもたちです。
大人が無神経な目つきで自分の心の傷を見ている。
子どもが感じないわけがありません。

保護司として大人として人間として
信じるとは
正しさとは何か考えさせられる一日でした。

Posted by いとう茂 at 21:45│Comments(0)
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