2013年04月27日

控室の本より③

「愛国者の条件」2006年12月に発刊された本で、
著者は半藤一利、戸高一成です。
以前、江田島から原爆ドーム、平和記念資料館の視察に行った時に
資料館で買った本です。

少し長くなりますが今の時勢にもあうことなので紹介します。

「日本の仮想敵国はどこにあるのか」

憲法を改正して軍を作るとなった時、まず必要になるのが
仮想敵国の設定でしょう。
軍備はただ増やせばいいというものではない。
「世界の警察」をもって自認するアメリカはともかく、
どこの国であれ、それぞれ仮想敵国を設定して、
それに見合った軍備を整え、戦略を練り、訓練を行っています。

戦前の日本であれば、陸軍はロシア、海軍はアメリカが仮想敵国でした。
強国二つが仮想敵国とは、何と強気なことかと驚かれるかもしれませんが、
事実そうだったのです。

さて、それではこれから日本に軍隊を作ったとして、
我々はどこを軍隊を整備する上での仮想敵国とするのでしょう。

東西冷戦の時代なら、ソビエトを仮想敵国としておけばよかったでしょう。
実際、陸上自衛隊ではソビエト軍の北海道上陸を阻止するためとして、
最初に北部方面隊が置かれました。

しかし、今の時代にまさか本土上陸作戦を決行してくる軍隊がいると思えない。
少なくとも、ロシア軍が北海道に上陸してくるとは考えにくい。

そこで多くの方が考える仮想敵国は、当面の所まず北朝鮮でしょう。
実際に、北朝鮮は核実験やミサイル実験などで軍事的挑発を続けており、
もし北朝鮮が武力行使に踏み切るとすれば、
日本はターゲットの筆頭となるに違いありません。

しかし、忘れてはならないのは北朝鮮にはさしたる海軍がないことです。
つまり、北朝鮮が本格的な日本上陸作戦を行ってくる可能性はゼロです。
つまりここでは軍隊の大々的な整備よりも、
ミサイル防衛システムの整備、あるいは外交努力の方が重要になります。

また、軍事大国化していく中国についても、脅威を感じている方は多いはずです。
しかし、中国を正式な仮想敵国として軍備を拡張するには、
とてつもない予算が必要になります。

それに、日本と中国は経済的結びつきが強く、
戦争などどちらにとってもメリットはありません。

特に、現在の中国では貧富の格差が拡大し、
それこそ国内をおさえることで精いっぱいなのです。
中華思想の彼らですから、尊大な態度をとってくることはあるでしょうが、
経済関係を無視してまで戦争をしてくることは、まずありません。
領土的野心のないことはもちろんです。

そう考えると日本の仮想敵国はどこになるのでしょう。
はっきり言ってしまえばないのです。

北朝鮮や中国を仮想敵国としたところで、
それは空中楼閣に向かって鉄砲を撃つようなもの。
全く税金の無駄になります。

憲法改正の議論も、別に結構なことでしょう。
私のようなロートルは口を挟まず、若い皆さんがこの国の行先を決めていくのが一番です。

ただ「あいつらがどうも危なっかしい」と空中楼閣を描く前に、
まずは北朝鮮なり中国なりの国情を徹底的に調べ上げるべきです。

太平洋戦争の当時、日本人は実際はありもしない空中楼閣を描き、
「きっと今度もうまくいく」「いや、大丈夫に違いない」と
主観的な希望だけでもって突き進み、大きな失敗をしました。

あるいは最近だって、全く同じような「きっと大丈夫だろう」「きっと今度もうまくいく」
という論理で、「土地神話」を描き、バブル経済を謳歌していたら
ガラガラと崩れ去っていきました。

もう何度も同じ失敗を繰り返す必要はないのです。

うーん、平和という切り口で考えると、9条も二分の一で発議ができると
考えると、政府が提唱する96条改正にも考える所があります。

やはり、憲法改正は国民あげての議論が必要な気がします。
この国に住む人間の義務として・・・・・。

Posted by いとう茂 at 14:25│Comments(0)
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