2016年05月29日

英霊の言の葉

サミットで各国の代表が広島を訪れ、コメントを発表しています。
総論・各論、どの切り口でも戦争や核兵器を否定する意見が
聞こえる世の中になることを祈ります。
終戦から71年が経ってこうした訪問が行われた、広島で原爆の
被害にあわれた方をはじめ多くの犠牲の上に今の日本が
ありますし、こうした訪問も実現したと言えると思います。
枕元にある英霊の言の葉を手に取り、開いたページの遺書を
紹介したいと思います。

26歳の愛知県の衛生伍長が妻にあてた手紙です。

季代子 こう呼びかけるのが最後になりました。
短かったけれど優しい妻でした。
有り難くお礼を申し上げます。
まことに奇しき縁でしたけれど、初めて幸福が訪れたような気がして
嬉しく思っていました。
折角永遠の誓いを致しながら最後になりますのは、何かしら心残り
ですけれど、陛下の御楯として果てる事は、私にとりましても
光栄と存じます。
短い生活で、もう未亡人と呼ばれる身を偲ぶとき、申し訳なく
死にきれない苦しみが致しますが、すでに覚悟しての事、
運命として諦めて頂きたいと思います。
若い身空で未亡人として果てる事は、決して幸福ではありませんから
佳き同伴者を求めてください。
私は唯、幸福な生活をして頂けますれば、どんな方法を選ばれようとも
決して哀しみません。
さようなら季代子、なに一つの取り柄のない夫を持って、さぞ肩身の
狭き思いでありましょう。
至らない身、お詫びを致します。
何時の日か幸福な妻にさして上げたく思いながら、その機会もなく
心残りでなりません。
どうぞ御健やかに御暮らし下さいますよう、お祈りいたしています。
さようなら

じっくり読まないのが遺書でしょうか、時間がたって奥さんがこの遺書を
読み返したとき何を感じられたか、逆らうことのできない大きな力に
有無を言わせずご主人を奪われた、多くの妻や親たちが同じ思いを
しているとはいえ、なぜ、なぜ、なぜそんなことの繰り返しでしょうか。
まだ存命なら90歳を超えておいでだと思います、笑い話になるのか
涙がにじむのか、人と人とのつながりは時間の長さもあるでしょうが、
短い時間故に強いものになることもあります。



Posted by いとう茂 at 21:41│Comments(0)
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