2017年06月20日

虫のやさしさ

新緑の柔らかい色と葉が少しずつ硬く、濃くなってきました。
目の前には大津商業の桜の木が数本、枝いっぱいに
緑の葉をつけて風にそよいでいます。
どこにでもある風景で特別珍しいものではないのですが、
ぼんやり眺めるのが習慣になっています。
左に目をやると京阪電車に沿ってケヤキ並木が続いています。
樹木の中で好きなのがケヤキと梅、樹形は対照的で剛と柔、
そんなイメージですが、桃や桜と違い枝いっぱいに花を
つけなくても存在感があり、冬の寒風に負けまいと凛と咲く梅には
芯の強さを感じますし、竹ぼうきを逆さにしたような広がりを感じさせ、
大空に向かって伸びていく一本気なケヤキに魅力を感じます。

桜に戻ります、秋には美しい紅葉で見る者を楽しませて
くれますが、落ち葉はほとんどが虫に食われて穴が開いています。
虫が食べるなら新緑の柔らかく瑞々しい葉の方が、
枝からの養分の供給が途絶えだす秋よりもいいと思うのですが、
これは虫のやさしさかと一人で嬉しく思っています。

茂るだけ茂って下を通る人に夏の木陰を提供したり、根っこから
だけでなく葉からも水分補給をしたり光合成をしたりと、葉が
果たす仕事をし終えた後に虫がその葉をいただく。
翻って私はと考えてみました。
人の意見を終わりまで聞いているか、途中で遮り反論できない
結論を押し付けていないか、せっかくやる気になっている人に
さも正論のように、やろうとしていることの反論をしてやる気の
芽を摘んでいないか。

年を重ねて経験もそれなりにしてくると失敗も経験しています。
転ばぬ先の杖の意味で善意から忠告することもよくありますが、
そればかりでいいのでしょうか、人は失敗して学ぶことが
たくさんあります。
一段上に成長できる失敗という機会を奪っていないか、
優しさは厳しさの中にある、自分ではやさしさの意味を
理解しているつもりでも、本当の厳しさの意味を理解しているのか、
梅雨の湿気の多いときには虫も大量に発生します。
自分の身の丈に合った分しか葉っぱを食べることはない虫たち。
身の丈も自覚せずに、あれもこれもと食い散らかして、中途半端な
ことの繰り返しで、満足していない自分がここにいます。

虫さん、ありがとうなぁ。

Posted by いとう茂 at 12:35│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。