2013年10月02日
控室の本より⑬
午前中は予算決算常任委員会の施設分科会で24年度の
決算審議でした。午後からも引き続き審議があります。
都市計画部、建設部、企業局の決算についての審議ですが、
事業的には数も多く質問もいろいろな角度から出ました。
今日、紹介する本は、安岡正篤の百朝集です。
百朝集は文字通り百の箴言からなる本で、
1日に1話ずつ読んでも100日、1年で約4回読み返せますし、
3話ずつ読んで1年で12回読み返してもいいと思います。
当たり前のことがなるほどと思えるから不思議ですが、
それだけ忘れている部分や何気なく通り過ぎてしまっている
自分に改めて気づかされます。
手元において何度も目を通したくなる本です。
残念ながら書店では手に入らないようでアマゾンなどの
中古本なら手に入ります。
私の持っているのもアマゾンで購入したもので、
1987年初版ですが手元のは1992年6版となっています。
時間が流れても色あせないのは人間の本質は
それほど変わらないということでしょうか。
伊達政宗の家訓、孔子の仁、義、礼、智、信を
政宗流に逆から読んで世渡りに生かした、いかにも
戦国武将らしい家訓とその解説です。
処世
「仁に過ぐれば弱くなる。義に過ぐれば固くなる。
礼に過ぐればへつらいとなる。智に過ぐれば嘘をつく。
信に過ぐれば損をする。
気長く心穏やかにして、万に倹約をもって金銭を備うべし。
倹約の仕方は不自由を忍ぶにあり。
この世に客に来たと思えば何の苦もなし。
朝夕の食事うまからずともほめて食うべし。
元来客の身なれば好き嫌いは申されまじ。
今日の行くをおくり、子孫兄弟によく挨拶をして、
しゃばのお暇申すがよし。」
多感の質を戦国の乱裡に鍛え、悟道に精進した政宗の
面目躍如たるものがある。
ここまで徹底して考え、そして実行して行かねば、
群雄割拠の中において国を保つことは困難であった。
彼らこそはまぎれもなき常在戦場であった。
寸刻の油断もできなかった。
かく人間が真剣になればなるほどそして一方理想に
燃ゆれば燃ゆるほど、己を責めざるを得ない。
さすれば必然神仏に帰依して道を求めざるを得ないようになる。
昔の名のある武将には皆かかる径路によるこまやかな
内面的練磨があり、そしてこの練磨がまた戦場における剛勇となる。
この点が大いに学ぶべき点である。
苦労人という点においては政宗等以上と思われる家康も、
また政宗と同じような家訓を残しておるが、
参考のために記してみよう。
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。
心に望おこらば困窮したる時を思い出すべし。
勘忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。
勝つことばかり知りて、負くることを知らざれば害その身に到る。
己を責めて人を責むるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり」
政宗の五常訓の最後の信に過ぐれば損をするは、
信に過ぐれば騙されると説明している本もありますが、
本質は同じことです。
惻隠としては人間を信じすぎるなと説く政宗の五常訓には
全面的な支持はできない部分もありますが時代背景を考えると
納得せざるを得ません、徳川家光の時代まで
徳川幕府の副将軍と呼ばれた政宗、それは徳川家の安泰だけでなく
伊達家の安泰をも意味するもので天下取りの野望を捨て、
伊達家の存続を考えた政宗の生き方は現代でも通用する部分でしょう。
ただ今年の楽天には天下を取ってもらいたいと願っています。
高野山の奥の院にも伊達家の墓所があります。
高野山に行かれた際には立ち寄ってください。
Posted by いとう茂 at 12:31│Comments(0)