2023年08月09日

最後のエサやり②

長男の嫁の話の続きです。
川崎の次男の世話になることを長男に連絡して、
その時に自宅も処分することも話したそうです。
まだ手続き中ということですが、
話をした次の土曜日に長男夫婦がやってきたということです。
盆や正月でも寄り付かない長男の嫁が来たのは、
自宅を処分したらその分け前を自分たちにも、そんな魂胆だったと言います。
そのことは分かっていたので先制パンチをくらわしてやったということでした。
80坪ほどの自宅ですから売ればそこそこの金額になります。
「私がずっとここに住んで、ここで死ねば家も残るけど、
次男のところに行ってもずっと元気なわけではないし、
いずれはグループホームにお世話にになろうと思っているから、
その時のために家を売ったお金は残せないから。
いくらかでも欲しいというのなら分けてあげるけど、
グループホームに入るお金が足りなくなったら援助してくれるかい。
川崎あたりは高いだろうからね、
次男にお世話になって足りない分も半分ずつと言うのも次男には申し訳ないから、
長男のお前には多めにお願いすることになると思うがどうだい。」
もちろん、長男にではなく長男の嫁に向かって言ったそうです。
これには長男よりも嫁が早く反応して
「お母さんの家ですから好きなようにされたらいいと思います、
グループホームのお金が足りないからと言われても、
うちにはそれほど余裕もありませんから」ということで、
笑いをこらえるのに苦労したと言っていました。
女性の家族の話を聞いていても仕方がないので「でも、
エサやりがなくなったらカラスは困りますね」
「カラスは賢いから、ゴミ袋をあさって生きていきますよ、
ゴミ袋をあされないようなことはないですからね、人間はゴミの分別さえ嫌がるでしょ、
それをもっと厳しくやりましょう、なんてルールを作れるはずがありませんよ」
「生き物でごみを出すのは人間だけなのに、そのことはどこかに抜けてるんですね」
「そうですよ、人間は自分たちがこの世で一番偉いと思い込んでいるから、
傲慢ですもの。本当は無力で弱いのが人間だと思いますよ。私だってそうです、
たった2羽のカラスでさえ最後まで面倒が見られないし、
自分自身も次男の世話になろうとしています。やり遂げる、
燃え尽きるって言葉では簡単ですけど、実行するのは難しいですね」
話は続きましたが、最後に「お願いがあるのですが、いいですか」
カラスのエサやりだと感じましたので、「カラスのエサやりならお断りしますよ、
カラスたちは私がエサをやらなくても生きていけますから」
「ありがとうございます、せいぜい気が変わることを期待しています」
変わり者同士の会話でした。
  
Posted by いとう茂 at 22:27Comments(0)