2012年08月21日

イソップ物語から④

逃げ出した友だち

男が、友だちと二人で、旅行に出かけました。
ある日、山道を歩いていたら、突然森の中から、
クマが現れました。
友だちは、びっくりして、素早く木に飛びつき
上へ逃げました。

男も木に飛びつこうとしましたが、もう間に合いません。
そこで、いきなり地面に倒れ、死んだ真似をしました。

クマは、男のそばへ来ると、鼻を近づけ、
クンクンにおいをかぎ始めました。
耳の所で口を止め、何かしゃべるように動かしました。

(かみつかれては大変だ・・・・・。)

男は、ドキドキしながらも、息を止め、ピクリとも動きません。
クマは昔から、死んだものには、手を出さないと言われていたからです。

やがて、クマはあきらめ、森の中へ消えていきました。
「やれ、やれ、助かった。」
男は、ほっとして立ち上がりました。
すると、木の上に隠れていた友だちが下りてきて、
「クマが、耳の所で、何か言っていたようだけど、何と言っていた」
と、聞きました。
すると、男は、ムッとして答えました。
「いざというとき、助けもしないで逃げ出すような奴と、
一緒に旅行をするなと言ったよ」

イソップは今から2000年とも2500年前の奴隷とも言われています。
同じ時代に東洋では孔子が「義を見てせざるは勇無きなり」
と言っていますし、幕末の志士、高杉晋作は
「友の真を見るのは、急、難、死」と、言っています。

太宰治はこの物語をヒントに「走れメロス」を書いたのでしょうか。

そういえば、どこかの会社の社長が、自分が見込んで
雇った社員が、思い通りに働かないと、
急に評価を下げて、見下したような物の言い方をする。

自分が人を見る目がなかったのか、人を操る術を知らなかったのか・・・・。
どちらにせよ、自己責任、そのことを反省する人は少ないものです。

これでは、雇われた人だけではなく他の人までやる気をなくします。
天に唾を吐いている自分に気が付かないのでしょう。

クマを目前にして逃げ出した友人同様、
こんな雇い主には雇われたくないものです。

こんな人周囲にいませんか。
  
Posted by いとう茂 at 09:31Comments(0)