2018年07月28日
その人を笑えますか㊾
「一緒に旅をするロバとイヌ」
ロバとイヌが、一緒に旅をしていました。
途中で、封をした手紙が道に落ちているのを見つけました。
ロバはその手紙を拾って封を切り、広げてイヌに聞こえる様に
大きな声で読み上げました。
手紙には、マグサの事、ムギの事、ワラの事が書いてありました。
イヌは聞いていても、つまらなくてたまりません。
「少し飛ばして、先の方を読んでくれよ。もしかすると、
肉や骨の事が書いてあるかもしれないから」
ロバはお終いまで全部読みましたが、イヌの好きな物の事は、
ちっとも出てきません。
イヌはくやしがって、言いました。
「そんな紙きれ、捨てちまえよ。くだらないったら、ありゃしない」
このお話しは、非常に価値のある話しでも、興味のない人には
全く価値がないと言う事を教えています。
猫に小判、豚に真珠、小判も真珠も高価なものです。
このことわざを誰が考えたか分かりませんが、よほどの
お金持ちで全く世間知らずの人だと想像します。
そもそも、猫に小判をやること自体が間違いです・・・・・。
もっとも、最近ペットにお金をつぎ込む人が増えていますが。
「怪我をしたオオカミ」
イヌたちに囲まれて弱ったオオカミが、地面に倒れていました。
動けないのでエサを探しに行く事が出来ないでいると、
ヒツジの姿が見えました。
「おーい、ヒツジさん。すみませんが、近くの川から水を
汲んで来て下さい。食べ物は自分で見つけますから」
オオカミが頼みますと、ヒツジは頭を振って言いました。
「でもねえ、わたしが飲み物を持っていけば、あなたの
食べ物になるのは、このわたしじゃありませんか」
このお話しは、体裁の良い事を言って騙そうとする悪者を
たとえています。
悪者かどうかわかりませんが、もうけんかや脅しはしません、
だから食べ物をください、助けてください、そんなことを
何度も言っている人を皆さんも知っているでしょう。
「イヌの家」
冬の間、寒さの為に身を縮めて丸くなっていたイヌが、
家を作ろうと思いました。
そのうち春になって、長々と大の字になって寝る事が
出来る様になりますと、自分の体が予想以上に大きい事が
分かったので、これほど大きい家を作るのはめんどうだし、
今は寒くない為、家を作るのを止めてしまいました。
このお話しのイヌの様に、めんどくさがり屋の
なまけ者は人間にも多くいます。
喉元過ぎれば・・・・・・。
家を作るのは面倒ですからイヌの気持ちも分からなくありません、
家の中の整理はそれほど面倒でもないのに・・・・・、
明日でいいかぁ、そのうちやるかぁ。
「キツネとカラス」
カラスが一切れの肉をくわえて、木の枝に止まっていました。
キツネがそれを見て、肉を自分の物にしたいと考えました。
「カラスさん、あなたは実に姿が良くて立派ですね。
本当に美しい。
鳥の王さまになれるのは、あなたの他にはまずいません。
きっと、歌声も綺麗なんでしょうね。
どうか、歌声を聞かせてくれませんか?
もし歌声も綺麗なら、間違いなしに鳥の王さまですよ」
お世辞を言われたカラスは、良い声を聞かせてやろうと、
「カァー、カァー」
と、泣いてみせました。
肉をくわえたまま口を開けたので、くわえていた肉が
下にいたキツネの前にポトンと落ちてしまいました。
キツネはすぐに肉に飛びつき、こう言いました。
「やれやれ、頭さえ良ければ、本当に鳥の王さまに
なれたかもしれないのにね」
このお話しは、おだてに乗りやすく、考えの浅い人に聞かせる話しです。
Posted by いとう茂 at 10:11│Comments(0)