2021年08月15日

これも現実

猛暑の中、近くのスーパーまで毎日歩いて朝から夕方まで
そこで過ごす子どもがいます。
家にはエアコンがなく食べるものもない、子どもはお金を持っていませんから、
お腹が空いていても何も買うことができません。
せいぜい水を飲むくらいです。
夕方、まだ暑さが残る家に帰って母親の帰りを待ち、
ご馳走とは言えない夕食を食べる。
次の日も同じように朝からスーパーに行って涼しいところで過ごす、
学校があれば給食があるので空腹を満たすことはできますが、
長期の休みだとそれも出来ません。
学校があれば給食と晩ご飯の2食ですが、夏休みは晩ご飯だけ、
そんな子どもがいます。
これも現実です。

孫が家に来て朝から晩までゲームをしている、祖父母の家なら
いくらゲームをしても叱られないから・・・・。
晩ご飯も好きなご馳走をリクエストできる。
暑くなれば「おばあちゃんアイスクリームを買って」。
「はいはい、ちょっと待っててね」祖母は孫のおねだりにこたえるために、
朝から夕方までそこで過ごす子どもがいるスーパーにアイスクリームを
買いに行きます。
目の前にお腹を空かせた子どもがいても祖母には孫にせがまれた
アイスクリームしか目に入らない。
これも現実です。

ある時、いつ来てもそこにいる子どもに気がつき、女性が声を掛けました。
「お腹空いてない、パンがあるから食べるか」
女性は子どもにパンをあげました、子どもは「ありがとう」、
そう言っておいしそうにパンを食べました。
数日後、スーパーにいた子どもが女性を見かけました、女性は他の女性と
話に夢中で子どもには気がつきません、買い物かごには菓子パンが入っています。
「またくれはるんやろうか」子どもは思わず期待をしました。
女性は勘定を済ませて他の女性と話しながらスーパーを出ていきました。
子どもは・・・・そうして大人を信用しない人間になっていく。
中途半端な優しさは、かえって罪を作ることがあります。
しかし、女性の心には「この前スーパーで子どもにパンをあげたら
喜んで食べた」そんな良いことをした感情しか残っていません。
これも現実です。

Posted by いとう茂 at 14:28│Comments(0)
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