2012年09月25日
6年4組物語⑥
この物語はフィクションであり
登場人物は架空の人物です
修学旅行のコースを発表をする人は、
コースの確認に時間をかけなければいけませんが、
夏休みの宿題も残っています。
山田君もその一人です。
「宿題したんか、毎日、毎日、地図ばっかり見て、
漢字も社会もまだやろ、そんなんやったら、
修学旅行にもやらさへんで」
山田君のお母さんは宿題の心配をしてガミガミです。
角田君の家でも同じように
「何してんねン。時刻表ばっかり見て、宿題もせんと、
この子は、夏休みがいつまであると思うてんねん。
読書感想文もまだなんやろ、
あと何日もあらへんのやで、エエ加減にしとき」
お母さんの怒声が響いていました。
ほかの二人も、どうやら五十歩百歩のようです。
北川君と武腰くんがコンビニでばったり顔を
あわせました。
「やあー、武腰君、どないしてますか」
「あ、あ、北川君、何買いにきたん」
以前の武腰君と比べると口調が柔らかくなりました。
5年の3学期の保護者懇談会で、当時の担任の斉木先生が
武腰君の言葉遣いについて家庭で指導をするように
注意をしたのです。
そうとも知らずに遊びから帰ってきた武腰君は
夕食の前に昭夫とうさんと、おじいさんの七衛門さんから、
長々と説教を受けたのです。
特におじいさんの七衛門は戦争経験者で、言葉遣いには
ことのほか厳しく、そのことになると背筋をピンと伸ばし、
正座で一時間でも二時間でも説教をします。
そこには、以前、根回しを「こんまわし」と、
とぼけた姿はありません。
そのおかげで、武腰君の言葉遣いもよくなり、
友達も近づきやすくなったようですが、言葉遣いが
よくなったのをかえって不審に思い、中には、塚田君のように、
今でも、何か魂胆があるのかと警戒する向きもあるようですが、
真実は……。
武腰君に有利なことは毎年この学校では、クラス替えが
あることで、5年4組のクラスメートのうち10人ほど
しか一緒にならなかったことです。
北川君は小遣いをもらって、アイスクリームを買いに来たのでした。
「それ、おいしい。僕も買おうかな。それはそうと、修学旅行、決まった」
「そのことやけど、武腰君、僕はコース出さなかったんです、
ほかの委員で山田君、角田君、杉田さん、井川君からは
出たのですが、僕を含めて6名の委員は出してないので、
支持してもらった人のこともあるから、2学期の最初に発表会を
して、無記名投票で決めることになりました」
「そうなんや、角田君は出してくれたんや、
どこに行くつもりなんかなぁ」
「角田君は九州方面のコースを考えてくれたのですが、
通る県が10県なので、今、再検討中です。
さくらに乗ったり、ナムコに行ったりとなかなか面白いコース
でしたし、結構人気があると思いますよ」
「そうか、ナムコか、ええな、行きたいな。ほかはどこが出てたぁ」
「山田君は浜名湖、静岡、横浜、東京、長野、富山、石川、福井。
杉田さんは四国、井川君は東北支援でした」
「四国もいいよなぁ、山田君のは大きくなったら
自分で行けそうなところやし、東北支援か、井川君らしいなぁ。
僕も行ってあげたいなぁ。そやけど、角田君の九州も
魅かれるなぁ。ナムコかぁ、アー迷ってしまう」
「そうでしょう、みんなよく頑張ってくれました。
明日、委員会がありますが、たぶん最終の発表に
なると思います。その次の委員会では、委員のみんなから
いろいろ意見を聞いて肉付けをしてクラス全員の前で
発表会という予定です。そのせいで、
今頃は夏休みの宿題が大変だと思います、武腰君、
宿題はもう済みましたか、僕は昨日で終わりました」
「僕も一昨日読書感想文を書いて終了。
後、ぞうきんを縫ってもらったらおしまいや」
「上履きも確認した方がいいですよ、僕は小さくて
入らなかったので、さっき買いに行きました」
「そうか、上履きか。いつも北川君はそつがないな」
「ありがとう」
「とりあえず2学期までのお楽しみやな、僕もアイス買うわ」
北川君は勘定を済ませ、コンビニの袋に入ったアイスを
持って、雑誌を見ていた武腰君のところに来ました。
「武腰君、先に帰ります、アイスが溶けてしまうから」
「えっ、食べながら帰らへんの、いつも、行儀がええな」
「うん。じゃ、また」
武腰君がコンビニを出てアイスをかじっていると、
角田君が走ってきます。
「待ってぇーな、角田君」追いかけてくるのは津山君と
中島君です。この二人は1年からずっと同じクラスで
角田君も4年の時だけ違うクラスでしたが、
5年からまた同じクラスになりました、気心の知れた
いわば同期の桜です。
桜と言えば三人には不思議な共通点があります。
散る桜、残る桜も 散る桜。
良寛の辞世の句と言われるこの句が三人とも大嫌いで、
良寛の辞世の句は、裏を見せ 表を見せて 散るモミジ
だと言って断固譲りません。
理由はよくわかりません・・・・・。
「三人とも何をそんなに急いでるんや、おい、角田君、顔中
汗だらけやないか」
武腰君が聞くと、角田君が息を切らせながら
「ほっといてんか、僕の顔は汗が流れやすいんや。
気ぃ悪するわ。ホンマ。三人でコースを考えててな、できたんで、
田川先生に相談に行くところや、先生が4時30分から
出かけるていわはるんで急いでるんや」
「そうか、さくらとナムコのワンダーパーク期待してるで!」
「ごめん時間ないんや、また、ほな、行くで」
三人は一目散に駆け出しました。
(あいつら頑張ってるんやなぁ、角田君のコースに賛成
してやりたいけど、全部聞いてからや)
武腰君はおいしそうにアイスを食べながら三人の
後姿を見送っていました。
「先生、田川先生」
「オー角田、来たか、中島も津山も一緒か、
角田ぁ、汗ふけや、デコ汗だらけやないか」
ムッとしながら角田君は汗を拭きました。
「先生、角田君は汗が流れやすいらしいんです」
「こら、津山いらんこと言うな。それより先生時間が無いん
でしょう、コースを聞いてください」
「そうやった、聞かせてくれ」
「この前10県やったんで、1県減らすのに中島君と津山君に
相談して三人で考えたんです。結果、さくらはあきらめました」
「さくらを委員の中でも楽しみにしてるやつがたくさんおったぞ」
「はい、知ってますが9県の壁、クリアーのためです。
まず午前11時に学校を出ます」
「ははーん、君も72時間で行こうというのやな、どないしたんやみんな
72時間ブームやな、井川に杉田、みんな72時間か」
「先生、黙って聞いてください!分かってますかー!」
「スマン、スマン。北川みたいなやっちゃな、それで」
「学校を出て、名神から新名神で名古屋空港まで行きます。
13時30分の便で福岡まで飛行機です、福岡には14時50分に着きます。
その日は時間がないので門司に行って福岡に泊まります。
2日目はナムコワンダーパーク、太宰府天満宮で、
佐賀を通って長崎に行きます。
長崎ではちゃんぽんか皿うどんの昼食、
ちょっと昼を過ぎるかもしれませんが、
大浦天主堂か浦上天主堂、それとオランダ坂とグラバー園、
西海橋で夕日を見て、夕食は中華にします。
宿泊は島原で、これは次の日に熊本までフェリーで渡るためです。
熊本市内を通り抜け、やまなみハイウエーで阿蘇山に向かいます。
次は、高崎山と別府温泉の地獄めぐりで、湯布院はあきらめます。
フェリーまで時間があれば国東半島の磨崖仏の見学も考えています。
帰りは別府から大阪までフェリーです。
飛行機で費用を使った分はフェリーで穴埋めをします。
大阪からは京都を通って学校に帰ってきます、以上です」
「なかなかええコースやな、で、通る県は?」
「はい、岐阜、愛知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、大阪、京都の
9県です」
「残念!また10県でしたー」
「えー、そんな、今言うたん9県しかなかったやんかー」
角田君はへたり込んで泣き出しました。
「角田君、よう頑張ったけどもう一遍考えたらええやんか、
発表までまだ時間があるんやから、僕も中島君も…なっ!」
「うん、頑張ろう」
「おおきに、津山君、でも、もう限界!諦めるわ」
「角田、諦めんでもええンやぞ」
「えー、どういうことですか先生、教えてください」
「君は最初、名神通って新名神で愛知やっていうたやろ、
それやと三重を通るんで1県増えて10県になるんや、
せやから、少し遠回りやけど新名神と違って東名を走ると
三重は通らへんから、君が言った9県でおさまるんだよ
それと、やまなみハイウエーでは阿蘇に行けないんだ、
熊本からなら国道57号線だな、しっかり下調べをしておくように」
「本当っすか、まじっすか」
「いつから藤田になったんや。オーケーや9県、合格」
「嬉しいっす、まじ嬉しいっす、先生最高っす」
「やめとけ藤田、ほら、お前が真似するさかい、先生まで間違う
たやろ角田。ホンマ、北川になったり藤田になったり・・・・。
そんなことしてるさかい、いっぱい汗かくんや」
「・・・・・・・・・・・・ちぇー」
「ありがとうな中島君、津山君、おかげでできたわ」
「そんなん、お礼なんかええよ、水臭いで」
「朝から杉田も相談にきたで。きっちりしたコースやったわ。
あとは井川だけやけど、あいつの場合は
一つに絞らんとあかんから悩んどるやろな、間に合うかな。
井川のコースはええコースなんやけどなぁ。
けど、なかなか井川のコースに賛成する人は少ないやろなぁ、
小学生にしては考え方がしっかりしてるんやけど、
そこが欠点でもあるんやなぁ。みんなに理解してもらえるか・・・・・
まー、決めるのは全員でやし、選ばれんでも、あいつも得心やろ。」
「先生、井川君が一つに絞ったみたいですよ。
さっき清田さんに会ったらそう言ってました。
東北に行って向こうで何かしょうと考えているみたいです」
「そうか、井川も決まったか。これで4人とも出揃うな。よかった。
ところで、君ら夏休みもあと少しやぞ、宿題もちゃんと
できてるんやろううな」
「・・・・・・?!か、帰ろか、先生、さいなら」
宿題と言われて角田君は不安になってきました。
「中島君、津山君宿題した、僕まだやねん。読書感想文も
書かなあかんし、漢字もまだやねん」
「僕は終わったで、中島君は」 「僕も終わった」
「・・・・・・・・ふぅー」
「せやけど、読書感想文って大変やで、。
1冊本を読むだけでも時間かかるし・・・・・」
「何とかなるやろ。あかんかったら最初と最後の方だけ読んで
適当に書いとくわ、去年もそうしたんや」
とにかく角田君もコースが組めて3人は心配なさそうです。
あとは井川君がどんなコースを組んでくるかです。
角田君も20日に向けて順調です。
6年4組の暑い夏はまだまだ続きます。
登場人物は架空の人物です
修学旅行のコースを発表をする人は、
コースの確認に時間をかけなければいけませんが、
夏休みの宿題も残っています。
山田君もその一人です。
「宿題したんか、毎日、毎日、地図ばっかり見て、
漢字も社会もまだやろ、そんなんやったら、
修学旅行にもやらさへんで」
山田君のお母さんは宿題の心配をしてガミガミです。
角田君の家でも同じように
「何してんねン。時刻表ばっかり見て、宿題もせんと、
この子は、夏休みがいつまであると思うてんねん。
読書感想文もまだなんやろ、
あと何日もあらへんのやで、エエ加減にしとき」
お母さんの怒声が響いていました。
ほかの二人も、どうやら五十歩百歩のようです。
北川君と武腰くんがコンビニでばったり顔を
あわせました。
「やあー、武腰君、どないしてますか」
「あ、あ、北川君、何買いにきたん」
以前の武腰君と比べると口調が柔らかくなりました。
5年の3学期の保護者懇談会で、当時の担任の斉木先生が
武腰君の言葉遣いについて家庭で指導をするように
注意をしたのです。
そうとも知らずに遊びから帰ってきた武腰君は
夕食の前に昭夫とうさんと、おじいさんの七衛門さんから、
長々と説教を受けたのです。
特におじいさんの七衛門は戦争経験者で、言葉遣いには
ことのほか厳しく、そのことになると背筋をピンと伸ばし、
正座で一時間でも二時間でも説教をします。
そこには、以前、根回しを「こんまわし」と、
とぼけた姿はありません。
そのおかげで、武腰君の言葉遣いもよくなり、
友達も近づきやすくなったようですが、言葉遣いが
よくなったのをかえって不審に思い、中には、塚田君のように、
今でも、何か魂胆があるのかと警戒する向きもあるようですが、
真実は……。
武腰君に有利なことは毎年この学校では、クラス替えが
あることで、5年4組のクラスメートのうち10人ほど
しか一緒にならなかったことです。
北川君は小遣いをもらって、アイスクリームを買いに来たのでした。
「それ、おいしい。僕も買おうかな。それはそうと、修学旅行、決まった」
「そのことやけど、武腰君、僕はコース出さなかったんです、
ほかの委員で山田君、角田君、杉田さん、井川君からは
出たのですが、僕を含めて6名の委員は出してないので、
支持してもらった人のこともあるから、2学期の最初に発表会を
して、無記名投票で決めることになりました」
「そうなんや、角田君は出してくれたんや、
どこに行くつもりなんかなぁ」
「角田君は九州方面のコースを考えてくれたのですが、
通る県が10県なので、今、再検討中です。
さくらに乗ったり、ナムコに行ったりとなかなか面白いコース
でしたし、結構人気があると思いますよ」
「そうか、ナムコか、ええな、行きたいな。ほかはどこが出てたぁ」
「山田君は浜名湖、静岡、横浜、東京、長野、富山、石川、福井。
杉田さんは四国、井川君は東北支援でした」
「四国もいいよなぁ、山田君のは大きくなったら
自分で行けそうなところやし、東北支援か、井川君らしいなぁ。
僕も行ってあげたいなぁ。そやけど、角田君の九州も
魅かれるなぁ。ナムコかぁ、アー迷ってしまう」
「そうでしょう、みんなよく頑張ってくれました。
明日、委員会がありますが、たぶん最終の発表に
なると思います。その次の委員会では、委員のみんなから
いろいろ意見を聞いて肉付けをしてクラス全員の前で
発表会という予定です。そのせいで、
今頃は夏休みの宿題が大変だと思います、武腰君、
宿題はもう済みましたか、僕は昨日で終わりました」
「僕も一昨日読書感想文を書いて終了。
後、ぞうきんを縫ってもらったらおしまいや」
「上履きも確認した方がいいですよ、僕は小さくて
入らなかったので、さっき買いに行きました」
「そうか、上履きか。いつも北川君はそつがないな」
「ありがとう」
「とりあえず2学期までのお楽しみやな、僕もアイス買うわ」
北川君は勘定を済ませ、コンビニの袋に入ったアイスを
持って、雑誌を見ていた武腰君のところに来ました。
「武腰君、先に帰ります、アイスが溶けてしまうから」
「えっ、食べながら帰らへんの、いつも、行儀がええな」
「うん。じゃ、また」
武腰君がコンビニを出てアイスをかじっていると、
角田君が走ってきます。
「待ってぇーな、角田君」追いかけてくるのは津山君と
中島君です。この二人は1年からずっと同じクラスで
角田君も4年の時だけ違うクラスでしたが、
5年からまた同じクラスになりました、気心の知れた
いわば同期の桜です。
桜と言えば三人には不思議な共通点があります。
散る桜、残る桜も 散る桜。
良寛の辞世の句と言われるこの句が三人とも大嫌いで、
良寛の辞世の句は、裏を見せ 表を見せて 散るモミジ
だと言って断固譲りません。
理由はよくわかりません・・・・・。
「三人とも何をそんなに急いでるんや、おい、角田君、顔中
汗だらけやないか」
武腰君が聞くと、角田君が息を切らせながら
「ほっといてんか、僕の顔は汗が流れやすいんや。
気ぃ悪するわ。ホンマ。三人でコースを考えててな、できたんで、
田川先生に相談に行くところや、先生が4時30分から
出かけるていわはるんで急いでるんや」
「そうか、さくらとナムコのワンダーパーク期待してるで!」
「ごめん時間ないんや、また、ほな、行くで」
三人は一目散に駆け出しました。
(あいつら頑張ってるんやなぁ、角田君のコースに賛成
してやりたいけど、全部聞いてからや)
武腰君はおいしそうにアイスを食べながら三人の
後姿を見送っていました。
「先生、田川先生」
「オー角田、来たか、中島も津山も一緒か、
角田ぁ、汗ふけや、デコ汗だらけやないか」
ムッとしながら角田君は汗を拭きました。
「先生、角田君は汗が流れやすいらしいんです」
「こら、津山いらんこと言うな。それより先生時間が無いん
でしょう、コースを聞いてください」
「そうやった、聞かせてくれ」
「この前10県やったんで、1県減らすのに中島君と津山君に
相談して三人で考えたんです。結果、さくらはあきらめました」
「さくらを委員の中でも楽しみにしてるやつがたくさんおったぞ」
「はい、知ってますが9県の壁、クリアーのためです。
まず午前11時に学校を出ます」
「ははーん、君も72時間で行こうというのやな、どないしたんやみんな
72時間ブームやな、井川に杉田、みんな72時間か」
「先生、黙って聞いてください!分かってますかー!」
「スマン、スマン。北川みたいなやっちゃな、それで」
「学校を出て、名神から新名神で名古屋空港まで行きます。
13時30分の便で福岡まで飛行機です、福岡には14時50分に着きます。
その日は時間がないので門司に行って福岡に泊まります。
2日目はナムコワンダーパーク、太宰府天満宮で、
佐賀を通って長崎に行きます。
長崎ではちゃんぽんか皿うどんの昼食、
ちょっと昼を過ぎるかもしれませんが、
大浦天主堂か浦上天主堂、それとオランダ坂とグラバー園、
西海橋で夕日を見て、夕食は中華にします。
宿泊は島原で、これは次の日に熊本までフェリーで渡るためです。
熊本市内を通り抜け、やまなみハイウエーで阿蘇山に向かいます。
次は、高崎山と別府温泉の地獄めぐりで、湯布院はあきらめます。
フェリーまで時間があれば国東半島の磨崖仏の見学も考えています。
帰りは別府から大阪までフェリーです。
飛行機で費用を使った分はフェリーで穴埋めをします。
大阪からは京都を通って学校に帰ってきます、以上です」
「なかなかええコースやな、で、通る県は?」
「はい、岐阜、愛知、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、大阪、京都の
9県です」
「残念!また10県でしたー」
「えー、そんな、今言うたん9県しかなかったやんかー」
角田君はへたり込んで泣き出しました。
「角田君、よう頑張ったけどもう一遍考えたらええやんか、
発表までまだ時間があるんやから、僕も中島君も…なっ!」
「うん、頑張ろう」
「おおきに、津山君、でも、もう限界!諦めるわ」
「角田、諦めんでもええンやぞ」
「えー、どういうことですか先生、教えてください」
「君は最初、名神通って新名神で愛知やっていうたやろ、
それやと三重を通るんで1県増えて10県になるんや、
せやから、少し遠回りやけど新名神と違って東名を走ると
三重は通らへんから、君が言った9県でおさまるんだよ
それと、やまなみハイウエーでは阿蘇に行けないんだ、
熊本からなら国道57号線だな、しっかり下調べをしておくように」
「本当っすか、まじっすか」
「いつから藤田になったんや。オーケーや9県、合格」
「嬉しいっす、まじ嬉しいっす、先生最高っす」
「やめとけ藤田、ほら、お前が真似するさかい、先生まで間違う
たやろ角田。ホンマ、北川になったり藤田になったり・・・・。
そんなことしてるさかい、いっぱい汗かくんや」
「・・・・・・・・・・・・ちぇー」
「ありがとうな中島君、津山君、おかげでできたわ」
「そんなん、お礼なんかええよ、水臭いで」
「朝から杉田も相談にきたで。きっちりしたコースやったわ。
あとは井川だけやけど、あいつの場合は
一つに絞らんとあかんから悩んどるやろな、間に合うかな。
井川のコースはええコースなんやけどなぁ。
けど、なかなか井川のコースに賛成する人は少ないやろなぁ、
小学生にしては考え方がしっかりしてるんやけど、
そこが欠点でもあるんやなぁ。みんなに理解してもらえるか・・・・・
まー、決めるのは全員でやし、選ばれんでも、あいつも得心やろ。」
「先生、井川君が一つに絞ったみたいですよ。
さっき清田さんに会ったらそう言ってました。
東北に行って向こうで何かしょうと考えているみたいです」
「そうか、井川も決まったか。これで4人とも出揃うな。よかった。
ところで、君ら夏休みもあと少しやぞ、宿題もちゃんと
できてるんやろううな」
「・・・・・・?!か、帰ろか、先生、さいなら」
宿題と言われて角田君は不安になってきました。
「中島君、津山君宿題した、僕まだやねん。読書感想文も
書かなあかんし、漢字もまだやねん」
「僕は終わったで、中島君は」 「僕も終わった」
「・・・・・・・・ふぅー」
「せやけど、読書感想文って大変やで、。
1冊本を読むだけでも時間かかるし・・・・・」
「何とかなるやろ。あかんかったら最初と最後の方だけ読んで
適当に書いとくわ、去年もそうしたんや」
とにかく角田君もコースが組めて3人は心配なさそうです。
あとは井川君がどんなコースを組んでくるかです。
角田君も20日に向けて順調です。
6年4組の暑い夏はまだまだ続きます。
Posted by いとう茂 at
14:21
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2012年09月24日
何回目かの、小さい犬
子どもの頃、犬の仕事は番犬だった。
最近の犬の仕事は、人間の玩具・・・・
ペットだけでなく、
肥満解消のために犬に散歩に連れてもらう人もいる
昔も今も犬は犬なのに…
娘が子供のころ遊んでいたぬいぐるみを
噛んで、噛んで、中の綿を出して、
全部そこらにぶちまけて、
ぬいぐるみの側をまだ噛んでいる。
それがお前の仕事か?
楽しいのか?
ストレス発散か?
それとも・・・・
遊んでほしいとデモンストレーション?
自己主張か?
気分転換か?
自分の子どもが部屋中に、綿をぶちまけたら
きっと母親は怒るだろう。
犬が同じことしても
アー、アー、こんなに散らかして・・・・
まるで赤ん坊に言うような
甘い言葉が聞こえてきそうだ。
小さい犬が教えているのか?
もう、お前はこんなに綿を散らかして
気分転換をすること忘れたかって・・・・
遊んでくれないともっと散らかすぞって・・・・
それとも、どうだ!癒されるだろうって
上から目線か・・・・
それを癒しというのなら、
人間は、まん丸のお月様や
美しい風景同様に
ゴミダメにも癒されるのだろうか?
そもそも、玩具という仕事があるのだろうか?
人間は金で職種さえ増やす傲慢な生き物なのか?
番犬という本職を奪われても、玩具として
再就職する犬には全て血統書が必要なのか?
それが身元引受人の代わりなのだろうか?
癒し、そのことは大切でありがたいことだが、
命あっての癒しだろう
小さい犬はチョコチョコ走り回って
いっぱい散らかしながら
そのことを教えているような気がする。
昨日は防災訓練が木戸小学校でありました。
そこには犬はいませんでしたし、だれもペットという
癒しの犬を連れていませんでした。
かわいそうに、犬は災害の時には、
家でロープにつながれ、飼い主は・・・・・
でも、それでいいのですね。
それしかないのです、きっと。
命あっての物種、
人間って喜怒哀楽、生老病死・・・・・・・
いろんな場面で自分を正当化する言葉を持ってるんだ
お前はそれが言いたかったのかい・・・・・つくし。
ありがとうな、近ごろ増えたお前の好物、
梨、ソラマメまたあげような、
餌ではなく、授業料として・・・・・。
最近の犬の仕事は、人間の玩具・・・・
ペットだけでなく、
肥満解消のために犬に散歩に連れてもらう人もいる
昔も今も犬は犬なのに…
娘が子供のころ遊んでいたぬいぐるみを
噛んで、噛んで、中の綿を出して、
全部そこらにぶちまけて、
ぬいぐるみの側をまだ噛んでいる。
それがお前の仕事か?
楽しいのか?
ストレス発散か?
それとも・・・・
遊んでほしいとデモンストレーション?
自己主張か?
気分転換か?
自分の子どもが部屋中に、綿をぶちまけたら
きっと母親は怒るだろう。
犬が同じことしても
アー、アー、こんなに散らかして・・・・
まるで赤ん坊に言うような
甘い言葉が聞こえてきそうだ。
小さい犬が教えているのか?
もう、お前はこんなに綿を散らかして
気分転換をすること忘れたかって・・・・
遊んでくれないともっと散らかすぞって・・・・
それとも、どうだ!癒されるだろうって
上から目線か・・・・
それを癒しというのなら、
人間は、まん丸のお月様や
美しい風景同様に
ゴミダメにも癒されるのだろうか?
そもそも、玩具という仕事があるのだろうか?
人間は金で職種さえ増やす傲慢な生き物なのか?
番犬という本職を奪われても、玩具として
再就職する犬には全て血統書が必要なのか?
それが身元引受人の代わりなのだろうか?
癒し、そのことは大切でありがたいことだが、
命あっての癒しだろう
小さい犬はチョコチョコ走り回って
いっぱい散らかしながら
そのことを教えているような気がする。
昨日は防災訓練が木戸小学校でありました。
そこには犬はいませんでしたし、だれもペットという
癒しの犬を連れていませんでした。
かわいそうに、犬は災害の時には、
家でロープにつながれ、飼い主は・・・・・
でも、それでいいのですね。
それしかないのです、きっと。
命あっての物種、
人間って喜怒哀楽、生老病死・・・・・・・
いろんな場面で自分を正当化する言葉を持ってるんだ
お前はそれが言いたかったのかい・・・・・つくし。
ありがとうな、近ごろ増えたお前の好物、
梨、ソラマメまたあげような、
餌ではなく、授業料として・・・・・。
Posted by いとう茂 at
12:20
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2012年09月23日
6年4組物語⑤
この物語はフィクションであり
登場人物は架空の人物です
発表をあさってに控えても、井川君は悩んでいました。
(こっちから行くか、向こうから来てもらうか、どっちにしても
東北の支援なんやけどなぁ。みんなで向こうに行って同じ体験を
するのも貴重なことやし、向こうから来てもらって喜んで
もらうのも素晴らしいことやしなぁ。)
同じところを行ったり来たりの毎日です。
「繁和、どうした、何か悩みでもあるのか」
井川君のお父さんが声をかけました。
「なんか、最近、元気がないぞ、誰かとケンカでもしたのか」
「お父さん、そんなんと違うんや。あのな、修学旅行のコースを
考えてるんやけど、二つの内どっちかにせなあかんねん」
「どこと、どこで悩んでるんや」
「どこと、どこやのうて、行くか来てもらうかなんや」
「どういうことや、詳しく言うてみなさい」
「うん。クラスで修学旅行の行先を決める委員会に
入ってな。10人でコースを考えるんやけど、僕を入れて
4人がコースの発表をするんや。
それで、僕は東北に行って向こうの小学生との交流や、
仮設住宅のおじいさんやおばあさんの慰問と壊れた
家とかガレキの後片付けをするか、
東北の、修学旅行に行けへん小学生に僕らが積み立ててるお金を
送って、こっちに来てもろて、ホームスティしてもらって、観光に
行ったり遊んだりして交流するか、この二つの案をどっちか一つにせな
あかんねん、そんで迷ってるんや」
「どっちもええことやな。お父さんも迷うわ」
「せやろ、僕も毎日、毎日考えてるんやけど、
決められへんねん。発表は明日なんや、
決めたら、詳しいコースも考えなあかんし、
夏休みの宿題も残ってるし、頭が痛いんや」
「ウルトラマンかドラえもんやな」
「はー、何のこと、お父さん頭暑いんか?大丈夫?」
「大丈夫や!!、説明したげるわ。
繁和がウルトラマンやったとしょう。お前はどうする。」
意味が分からず井川君はキョトンとしています。
「繁和がウルトラマンやったら、悪い怪獣が出てきたら
何とかいう星から来て、そいつと戦うんと違うか」
「そうや、それがウルトラマンの仕事やんか」
「そしたら次、繁和がドラえもんやったらどうする」
「竹コプターとかどこでもドアとかいろいろ持ってるもんな」
「そや、それを使ってみんなと遊ぶやろ、繁和にしたら
どっちがええと思う」
「うーん、難しいわ」
「じっくり考えたらええ、お父さん、これから出かけるから、
夕方に結論聞かせてくれるか」
「そんな・・・・・」
一人になった井川君は、お父さんとのさっきの会話を
思い出して、お父さんは何が言いたかったのか、
必死で考えていました。
(ウルトラマンとドラえもんか、水戸黄門と長谷川平蔵、
大岡越前は1時間、ドラえもんは30分、ウルトラマンは
3分で問題解決やもんなぁ。でも、そんなことを言いたかったんと
違うし、何や、何や、何や・・・・・。あー、浮かばへん)
とうとう井川君は、投げ出して、ふて寝をしてしまいました。
1時間ほどたったでしょうか、お母さんが井川君を呼んでいます。
「繁和、繁和。スイカ切ったし食べにおいで」
「スイカあるん、冷えたーる?」
「冷えたんでぇ、昨日な、山科のおばちゃんがくれはったんや、
トマトやら野菜もくれはったんやで、暑いのに駅からコロコロひいて、
スイカ下げて来てくれはったんや。電話したら迎えに行ったのに、
そんで上がって麦茶ゴクッて飲んだら、帰るわやて。
いつものことやけど、ホンマ、せわしない人やわ。
うちは、ぎょうさんもろて、大助かりやけど」
「おばちゃん、足悪いんと違うん」
山科のおばさんはお母さんのお姉さんです。
10年ほど前に階段から落ちて足の骨を折ってしまい、
それ以来、左足が不自由になりました。
「はよ食べ。はい、タオル」
井川君の好物はたくさんあるのですが、夏はスイカ、
これからは、梨がとりわけ好物なのです。
「どや、甘いか」
「うん、甘い」
「せやけど、おばちゃん、こんな重いスイカ持って、コロコロ
引いて、駅から歩いてやったら大変やったやろなぁ、
足も悪いのに・・・・・」
井川君はおばさんの大変さを考えていました。
「おばちゃん、スイカを繁和に食べさせてやりたかった
のと違うか。お前がスイカが好きやて知ってはるさかい」
その時です、井川君は、ハッとしました。
「そうか、スイカや、おばちゃんや!」
「なんや急に、頭暑いのか、大丈夫か?」
「お母さんありがとう、また後で食うわ」
そう言うと小走りに井川君は部屋へ戻りました。
「ラップかけて冷蔵庫に入れとくさかい、後で食べなあかんで」
お母さんの言葉など耳には入りませんでした。
「ウルトラマン、ウルトラマンやー!」
井川君は有頂天です。
≪もうお分かりですね、聡明なあなたなら・・・・≫
≪えっ、分からない、そうですか・・・・・?≫
井川君はドラえもんではなく、ウルトラマンを選択したのです。
いろんな楽しみを期待して集まってくる人を満足させるのではなく、
困っている人を助けに行こうと決めたのです。
さぁ、忙しくなります。あと2日しかありません。
コースの確認をするには時間が足りないくらいです。
夕方お父さんが帰ってきました。
「繁和、どや決まったか」
井川君はニコニコ笑っています。
「そうか、東北に行くんやな」
「えっ、何で分かったん?」
「お前の顔に書いたぁる、何年お父さんしてると思ってるんや」
「12年」 「あほ、そんな年数のことと違う!」
(分かってるわ、ちょっと、かもただけやんか)
やっぱり父親は頼りがいがあると感じた井川君でした。
その夜に、清田さんと古谷君が井川君の家にやってきました。
「どないしたん、二人そろって」
古谷君が「東北支援のコースできた?」
「仙台に行くことにしたけど、何かあるん」
「よかった」二人は顔を見合わせて喜んでいます。
「何を笑ってんの」井川君にはその意味が分かりません。
「僕らな、井川君が東北に行くコースを発表したら
賛成しょうと思って来たんや、これで、すっきりしたわ、
ほな、帰るわ、おやすみ」
思わぬ応援団に井川君は大喜びです。
もう迷いません。
あとは、どれだけの人が賛成してくれるか、それだけです。
いよいよ、発表の日を迎えます。
登場人物は架空の人物です
発表をあさってに控えても、井川君は悩んでいました。
(こっちから行くか、向こうから来てもらうか、どっちにしても
東北の支援なんやけどなぁ。みんなで向こうに行って同じ体験を
するのも貴重なことやし、向こうから来てもらって喜んで
もらうのも素晴らしいことやしなぁ。)
同じところを行ったり来たりの毎日です。
「繁和、どうした、何か悩みでもあるのか」
井川君のお父さんが声をかけました。
「なんか、最近、元気がないぞ、誰かとケンカでもしたのか」
「お父さん、そんなんと違うんや。あのな、修学旅行のコースを
考えてるんやけど、二つの内どっちかにせなあかんねん」
「どこと、どこで悩んでるんや」
「どこと、どこやのうて、行くか来てもらうかなんや」
「どういうことや、詳しく言うてみなさい」
「うん。クラスで修学旅行の行先を決める委員会に
入ってな。10人でコースを考えるんやけど、僕を入れて
4人がコースの発表をするんや。
それで、僕は東北に行って向こうの小学生との交流や、
仮設住宅のおじいさんやおばあさんの慰問と壊れた
家とかガレキの後片付けをするか、
東北の、修学旅行に行けへん小学生に僕らが積み立ててるお金を
送って、こっちに来てもろて、ホームスティしてもらって、観光に
行ったり遊んだりして交流するか、この二つの案をどっちか一つにせな
あかんねん、そんで迷ってるんや」
「どっちもええことやな。お父さんも迷うわ」
「せやろ、僕も毎日、毎日考えてるんやけど、
決められへんねん。発表は明日なんや、
決めたら、詳しいコースも考えなあかんし、
夏休みの宿題も残ってるし、頭が痛いんや」
「ウルトラマンかドラえもんやな」
「はー、何のこと、お父さん頭暑いんか?大丈夫?」
「大丈夫や!!、説明したげるわ。
繁和がウルトラマンやったとしょう。お前はどうする。」
意味が分からず井川君はキョトンとしています。
「繁和がウルトラマンやったら、悪い怪獣が出てきたら
何とかいう星から来て、そいつと戦うんと違うか」
「そうや、それがウルトラマンの仕事やんか」
「そしたら次、繁和がドラえもんやったらどうする」
「竹コプターとかどこでもドアとかいろいろ持ってるもんな」
「そや、それを使ってみんなと遊ぶやろ、繁和にしたら
どっちがええと思う」
「うーん、難しいわ」
「じっくり考えたらええ、お父さん、これから出かけるから、
夕方に結論聞かせてくれるか」
「そんな・・・・・」
一人になった井川君は、お父さんとのさっきの会話を
思い出して、お父さんは何が言いたかったのか、
必死で考えていました。
(ウルトラマンとドラえもんか、水戸黄門と長谷川平蔵、
大岡越前は1時間、ドラえもんは30分、ウルトラマンは
3分で問題解決やもんなぁ。でも、そんなことを言いたかったんと
違うし、何や、何や、何や・・・・・。あー、浮かばへん)
とうとう井川君は、投げ出して、ふて寝をしてしまいました。
1時間ほどたったでしょうか、お母さんが井川君を呼んでいます。
「繁和、繁和。スイカ切ったし食べにおいで」
「スイカあるん、冷えたーる?」
「冷えたんでぇ、昨日な、山科のおばちゃんがくれはったんや、
トマトやら野菜もくれはったんやで、暑いのに駅からコロコロひいて、
スイカ下げて来てくれはったんや。電話したら迎えに行ったのに、
そんで上がって麦茶ゴクッて飲んだら、帰るわやて。
いつものことやけど、ホンマ、せわしない人やわ。
うちは、ぎょうさんもろて、大助かりやけど」
「おばちゃん、足悪いんと違うん」
山科のおばさんはお母さんのお姉さんです。
10年ほど前に階段から落ちて足の骨を折ってしまい、
それ以来、左足が不自由になりました。
「はよ食べ。はい、タオル」
井川君の好物はたくさんあるのですが、夏はスイカ、
これからは、梨がとりわけ好物なのです。
「どや、甘いか」
「うん、甘い」
「せやけど、おばちゃん、こんな重いスイカ持って、コロコロ
引いて、駅から歩いてやったら大変やったやろなぁ、
足も悪いのに・・・・・」
井川君はおばさんの大変さを考えていました。
「おばちゃん、スイカを繁和に食べさせてやりたかった
のと違うか。お前がスイカが好きやて知ってはるさかい」
その時です、井川君は、ハッとしました。
「そうか、スイカや、おばちゃんや!」
「なんや急に、頭暑いのか、大丈夫か?」
「お母さんありがとう、また後で食うわ」
そう言うと小走りに井川君は部屋へ戻りました。
「ラップかけて冷蔵庫に入れとくさかい、後で食べなあかんで」
お母さんの言葉など耳には入りませんでした。
「ウルトラマン、ウルトラマンやー!」
井川君は有頂天です。
≪もうお分かりですね、聡明なあなたなら・・・・≫
≪えっ、分からない、そうですか・・・・・?≫
井川君はドラえもんではなく、ウルトラマンを選択したのです。
いろんな楽しみを期待して集まってくる人を満足させるのではなく、
困っている人を助けに行こうと決めたのです。
さぁ、忙しくなります。あと2日しかありません。
コースの確認をするには時間が足りないくらいです。
夕方お父さんが帰ってきました。
「繁和、どや決まったか」
井川君はニコニコ笑っています。
「そうか、東北に行くんやな」
「えっ、何で分かったん?」
「お前の顔に書いたぁる、何年お父さんしてると思ってるんや」
「12年」 「あほ、そんな年数のことと違う!」
(分かってるわ、ちょっと、かもただけやんか)
やっぱり父親は頼りがいがあると感じた井川君でした。
その夜に、清田さんと古谷君が井川君の家にやってきました。
「どないしたん、二人そろって」
古谷君が「東北支援のコースできた?」
「仙台に行くことにしたけど、何かあるん」
「よかった」二人は顔を見合わせて喜んでいます。
「何を笑ってんの」井川君にはその意味が分かりません。
「僕らな、井川君が東北に行くコースを発表したら
賛成しょうと思って来たんや、これで、すっきりしたわ、
ほな、帰るわ、おやすみ」
思わぬ応援団に井川君は大喜びです。
もう迷いません。
あとは、どれだけの人が賛成してくれるか、それだけです。
いよいよ、発表の日を迎えます。
Posted by いとう茂 at
12:37
│Comments(0)
2012年09月22日
9月も・・・・・
9月もあと1週間余りです。
議会は来月の10日までなので、まだ20日ほど
残っています。
この後の山場は、23年度の決算審議です。
昨年は、一般会計全般の決算審議でしたが、
今年は所属の常任委員会に関係する部署の
決算で、福祉の2部署、市民病院、教育委員会
もしかすると教育厚生常任委員会は、昨年の
一般会計と同じか少し多いくらいの決算審議と
なりそうです。
月曜日には9月の補正予算の採決があります。
振り返ると18日から、予算決算の全体会、
教育厚生常任委員会が二日、特別委員会の視察が半日、
議運が1回、各派代表者会議が1回ありました。
ほかに、議員の仕事以外に、国民年金基金の23年度の
決算の理事会、スポーツ推進員の会議がありました。
昨日は、ある会の29年生まれの会合というか、懇親会でした。
明日は、木戸小学校で9時から防災訓練です。
災害は覚えているうちに来るようになりました。
しっかり、いざという時のことを考えて行動できるよう
訓練することは欠かせません。
私の町内でも自主防災組織を作るように、消防署から
依頼がありますので、町内の人たちと相談して、
今年度中には立ち上げようと考えています。
週がかわると、月曜日から、議運と補正予算の採決。
予算決算の全体会とその勉強会、商工会議所の
人権学習会。
総務と生活産業、この二つの常任委員会の決算審議、
一人会派なので、よその委員会にも出席して審議の中身を
確認しておかないといけません。
中身のわからないものに賛成できませんので・・・・。
その間に時間があれば粟津中学の文化祭にも、
顔を出したいと思っています。
土曜日は企業局の50周年の式典、日曜日は学区の
市民運動会と同級生が始めたPHPの勉強会です。
なにやかやと予定がたくさんあります。
実は今日も役所に決算資料に目を通すために来ています。
冷房の切れたひっそりした中ですが、誰もいない方が
集中できてかえってやりやすい感があります。
やっぱり一人がよろしい雑草
まだまだ、この気持ちです。
昼食にはコンビニのおにぎり3個、
これも何となく慣れてきました。
とはいっても、体は疲れているようで、
昨日の29年会でも、途中でウトウト寝てしまいました。
帰りに男二人でざるそばを食べ、10時前に帰宅し、
風呂に入って、その後は爆睡!
おかげで、今日はスッキリ目が覚めました。
何年か前に体育会系から文化系に生き方を
チェンジしたはずなのに、決算の数字はどうして
こんなに眠気を誘うのかと目をこすりながら格闘しています。
気分転換のブログもいつまでもしているわけにはいかず・・・・。
さぁ、トイレ行って格闘再開!
議会は来月の10日までなので、まだ20日ほど
残っています。
この後の山場は、23年度の決算審議です。
昨年は、一般会計全般の決算審議でしたが、
今年は所属の常任委員会に関係する部署の
決算で、福祉の2部署、市民病院、教育委員会
もしかすると教育厚生常任委員会は、昨年の
一般会計と同じか少し多いくらいの決算審議と
なりそうです。
月曜日には9月の補正予算の採決があります。
振り返ると18日から、予算決算の全体会、
教育厚生常任委員会が二日、特別委員会の視察が半日、
議運が1回、各派代表者会議が1回ありました。
ほかに、議員の仕事以外に、国民年金基金の23年度の
決算の理事会、スポーツ推進員の会議がありました。
昨日は、ある会の29年生まれの会合というか、懇親会でした。
明日は、木戸小学校で9時から防災訓練です。
災害は覚えているうちに来るようになりました。
しっかり、いざという時のことを考えて行動できるよう
訓練することは欠かせません。
私の町内でも自主防災組織を作るように、消防署から
依頼がありますので、町内の人たちと相談して、
今年度中には立ち上げようと考えています。
週がかわると、月曜日から、議運と補正予算の採決。
予算決算の全体会とその勉強会、商工会議所の
人権学習会。
総務と生活産業、この二つの常任委員会の決算審議、
一人会派なので、よその委員会にも出席して審議の中身を
確認しておかないといけません。
中身のわからないものに賛成できませんので・・・・。
その間に時間があれば粟津中学の文化祭にも、
顔を出したいと思っています。
土曜日は企業局の50周年の式典、日曜日は学区の
市民運動会と同級生が始めたPHPの勉強会です。
なにやかやと予定がたくさんあります。
実は今日も役所に決算資料に目を通すために来ています。
冷房の切れたひっそりした中ですが、誰もいない方が
集中できてかえってやりやすい感があります。
やっぱり一人がよろしい雑草
まだまだ、この気持ちです。
昼食にはコンビニのおにぎり3個、
これも何となく慣れてきました。
とはいっても、体は疲れているようで、
昨日の29年会でも、途中でウトウト寝てしまいました。
帰りに男二人でざるそばを食べ、10時前に帰宅し、
風呂に入って、その後は爆睡!
おかげで、今日はスッキリ目が覚めました。
何年か前に体育会系から文化系に生き方を
チェンジしたはずなのに、決算の数字はどうして
こんなに眠気を誘うのかと目をこすりながら格闘しています。
気分転換のブログもいつまでもしているわけにはいかず・・・・。
さぁ、トイレ行って格闘再開!
Posted by いとう茂 at
13:07
│Comments(0)
2012年09月21日
6年4組物語④
この物語はフィクションであり
登場人物は架空の人物です
前の委員会からお盆を挟んでの委員会なので、
委員の何人かは、帰省していたのか、
井川君はほとんど誰とも顔を合わすことがありませんでした。
井川君は東北に行って、何かできないかと考えて
いましたが、帰りがどうしても飛行機になるために
費用のことが気になっていました。
委員会の二日前に井川君は田川先生に相談に
行きました。
「失礼しまーす」
「井川か、どうした、何か用か」
「はい、修学旅行のコースのことで・・・・・」
「どこに行こうと考えてるんだ」
「あのー、東北に行って向こうで何かできないか
考えているんですけど、費用的に…」
「そうか、東北支援か、費用はかかるなぁ。どこまで考えている?」
「その前に、先生、この前の杉田さんの質問ですけど」
「あー2泊3日のことか、あれは、トータルで72時間、
ただし、帰りはお迎えのこともあるので夜9時には、学校に
着くようにと職員会議で決まったよ、つまり夜は9時から
出発できるということだ」
「そうですか、じゃ、3泊4日も可能ということですね」
「そう言うことになるが、何かあるのか」
「一応コース聞いてもらえますか」
「おーいいぞ、言ってみなさい」
「じゃ、朝1時に出発します、電車で行くと高くつくので
バスで仙台まで行きます」
「仙台までバスか、ちょっと強行軍だな」
「はい、日本海回りで行こうと思います。
地図で調べると、新潟までバスなら7・8時間で着く
計算になります。8時間としてだいたい9時です。
昼食はサービスエリアで済ますとしたら、
仙台には3時ころには着くと思います。
けど、同じ県に連泊はできないので、福島市内で泊まって、
朝早く宮城県に入り、ガレキの後片付けや
向こうの小学生との交流会、まだ、仮設住宅で暮らしている
おじいさんやおばあさんもたくさんおられるので、
何班かに分かれて慰問活動をしたいと思います。
2日目と3日目の2時か3時ころまでの時間ですが、
東北の人のために、僕らにもできることがあると思います。
通る県は、福井、石川、富山、新潟、福島、宮城、
それに大阪、京都の8県です。
それと・・・・・」
「何だ、まだ何かあるのか」
「先生、このコースがだめなら、東北の小学生で修学旅行に
行けない生徒に僕たちの費用を送ってこちらに来てもらう
プランがあります」
「自分たちの費用を送って東北から来てもらうのか」
「はい、宿泊はホームスティならそんなにお金がかかりませんし、
市民センターや学校の体育館でも泊れます。
観光に行くのも市役所のバスを借りることができたら、
お金がかからないと思います」
「でも、お前たちの修学旅行はなくなってしまうんだぞ、
それに、体育館というのは避難所を思い出して
余計に辛い思いをするんじゃないか」
「修学旅行に行けないのは、わかっています、
でも、このクラス全員で、東北の生徒と一緒に何かするって
たぶん、ないと思います、心の傷や辛い思いを少しでもわかってあげて、
一緒に寄り添ってあげることで、東北の生徒の
辛く、悲しかった体験がちょっとでも軽くなるんやったら、僕はそれで
嬉しいし、今後も交流していけたら一生の友だちや思い出になると
信じています。でも、先生の言うとおり、体育館はやめておきます」
「そうやなぁ、井川。お前の言う通りやと思うわ。
先生には、お前の優しい気持ちがよくわかるぞ。
でも、お前、確か自薦で一人やったなぁ。
みんなに、お前の情とか心が伝わると
ええのになぁ、あさってはがんばれよ
ただ、二つはあかんと思うよ。どっちかに絞って
発表せんと公平やないしな。」
田川先生は目を潤ませて、井川君のプランを
ほめました。
「ありがとうございます、もう少し正確な話ができるよう
勉強しときます、それと、一つに絞るよう努力します」
井川は胸を弾ませて職員室を後にしました。
自分のプランに誰が賛成してくれるか、委員の顔を
思い浮かべていました。
でも、どちらにするか決めかねていました。
(角田君の案には6票だろ、山田君は2票、
それに藤田君が乗り気だし3票か、
杉田さんもプランを出してくるから6票、
古谷君は角田君に行きそうだから、
角田君は7票か、全部で16票、残り22票、
過半数の20票以上をとるには北川君7票、清田さん5票、草野君6票、
中山さん3票、全員の賛成がいる。
難しいなぁ、僕のプランに賛成してくれたらええんやけど、
他薦の支持をした人は全員その人に賛成せなあかんのかな、
この次、先生に聞いてみんとあかんな)
そう考えるとさっきまでの膨らんだ夢が一気にしぼみ、
暗い気分になる井川君でした。
一方、職員室では、田川先生が学年主任の
南郷先生に報告をしていました。
「あのーですね、田川先生、そのプランには私は賛成できませんね、
だってそうでしょう、東北に行くということは、放射能に
汚染されることも考えられますし、保護者からの
反対も考えられます。風評被害で波風が立つのも
考えなければいけませんし、
教育委員会も何か言ってくるかもしれません。
せっかく5年間積み立てたお金を
他人のために使うのは反対です。
それに、向こうから来てもらうと言っても、一クラスくらいしか、
こちらには呼べないのでしょう、公平ではないですね。
心とか情とか分からなくはないですが、もっと理にかなった
方法があるはずです、修学旅行は学校行事の一つです。
無難な所へ行って無事故で帰ってくるのが一番です、
とにかく私は反対です。以上、私の答えです」
南郷先生に言ったのが間違いだったと田川先生は
反省をしていました。井川、スマン。
もし、井川のプランが採用されても、このままでは
6年生の学年会議では南郷先生の猛反対で
実現しないことは目に見えていました。
さあ、いよいよ8月20日を迎えます。
ここでコースが決まるのか、まだ続くのか・・・・
登場人物は架空の人物です
前の委員会からお盆を挟んでの委員会なので、
委員の何人かは、帰省していたのか、
井川君はほとんど誰とも顔を合わすことがありませんでした。
井川君は東北に行って、何かできないかと考えて
いましたが、帰りがどうしても飛行機になるために
費用のことが気になっていました。
委員会の二日前に井川君は田川先生に相談に
行きました。
「失礼しまーす」
「井川か、どうした、何か用か」
「はい、修学旅行のコースのことで・・・・・」
「どこに行こうと考えてるんだ」
「あのー、東北に行って向こうで何かできないか
考えているんですけど、費用的に…」
「そうか、東北支援か、費用はかかるなぁ。どこまで考えている?」
「その前に、先生、この前の杉田さんの質問ですけど」
「あー2泊3日のことか、あれは、トータルで72時間、
ただし、帰りはお迎えのこともあるので夜9時には、学校に
着くようにと職員会議で決まったよ、つまり夜は9時から
出発できるということだ」
「そうですか、じゃ、3泊4日も可能ということですね」
「そう言うことになるが、何かあるのか」
「一応コース聞いてもらえますか」
「おーいいぞ、言ってみなさい」
「じゃ、朝1時に出発します、電車で行くと高くつくので
バスで仙台まで行きます」
「仙台までバスか、ちょっと強行軍だな」
「はい、日本海回りで行こうと思います。
地図で調べると、新潟までバスなら7・8時間で着く
計算になります。8時間としてだいたい9時です。
昼食はサービスエリアで済ますとしたら、
仙台には3時ころには着くと思います。
けど、同じ県に連泊はできないので、福島市内で泊まって、
朝早く宮城県に入り、ガレキの後片付けや
向こうの小学生との交流会、まだ、仮設住宅で暮らしている
おじいさんやおばあさんもたくさんおられるので、
何班かに分かれて慰問活動をしたいと思います。
2日目と3日目の2時か3時ころまでの時間ですが、
東北の人のために、僕らにもできることがあると思います。
通る県は、福井、石川、富山、新潟、福島、宮城、
それに大阪、京都の8県です。
それと・・・・・」
「何だ、まだ何かあるのか」
「先生、このコースがだめなら、東北の小学生で修学旅行に
行けない生徒に僕たちの費用を送ってこちらに来てもらう
プランがあります」
「自分たちの費用を送って東北から来てもらうのか」
「はい、宿泊はホームスティならそんなにお金がかかりませんし、
市民センターや学校の体育館でも泊れます。
観光に行くのも市役所のバスを借りることができたら、
お金がかからないと思います」
「でも、お前たちの修学旅行はなくなってしまうんだぞ、
それに、体育館というのは避難所を思い出して
余計に辛い思いをするんじゃないか」
「修学旅行に行けないのは、わかっています、
でも、このクラス全員で、東北の生徒と一緒に何かするって
たぶん、ないと思います、心の傷や辛い思いを少しでもわかってあげて、
一緒に寄り添ってあげることで、東北の生徒の
辛く、悲しかった体験がちょっとでも軽くなるんやったら、僕はそれで
嬉しいし、今後も交流していけたら一生の友だちや思い出になると
信じています。でも、先生の言うとおり、体育館はやめておきます」
「そうやなぁ、井川。お前の言う通りやと思うわ。
先生には、お前の優しい気持ちがよくわかるぞ。
でも、お前、確か自薦で一人やったなぁ。
みんなに、お前の情とか心が伝わると
ええのになぁ、あさってはがんばれよ
ただ、二つはあかんと思うよ。どっちかに絞って
発表せんと公平やないしな。」
田川先生は目を潤ませて、井川君のプランを
ほめました。
「ありがとうございます、もう少し正確な話ができるよう
勉強しときます、それと、一つに絞るよう努力します」
井川は胸を弾ませて職員室を後にしました。
自分のプランに誰が賛成してくれるか、委員の顔を
思い浮かべていました。
でも、どちらにするか決めかねていました。
(角田君の案には6票だろ、山田君は2票、
それに藤田君が乗り気だし3票か、
杉田さんもプランを出してくるから6票、
古谷君は角田君に行きそうだから、
角田君は7票か、全部で16票、残り22票、
過半数の20票以上をとるには北川君7票、清田さん5票、草野君6票、
中山さん3票、全員の賛成がいる。
難しいなぁ、僕のプランに賛成してくれたらええんやけど、
他薦の支持をした人は全員その人に賛成せなあかんのかな、
この次、先生に聞いてみんとあかんな)
そう考えるとさっきまでの膨らんだ夢が一気にしぼみ、
暗い気分になる井川君でした。
一方、職員室では、田川先生が学年主任の
南郷先生に報告をしていました。
「あのーですね、田川先生、そのプランには私は賛成できませんね、
だってそうでしょう、東北に行くということは、放射能に
汚染されることも考えられますし、保護者からの
反対も考えられます。風評被害で波風が立つのも
考えなければいけませんし、
教育委員会も何か言ってくるかもしれません。
せっかく5年間積み立てたお金を
他人のために使うのは反対です。
それに、向こうから来てもらうと言っても、一クラスくらいしか、
こちらには呼べないのでしょう、公平ではないですね。
心とか情とか分からなくはないですが、もっと理にかなった
方法があるはずです、修学旅行は学校行事の一つです。
無難な所へ行って無事故で帰ってくるのが一番です、
とにかく私は反対です。以上、私の答えです」
南郷先生に言ったのが間違いだったと田川先生は
反省をしていました。井川、スマン。
もし、井川のプランが採用されても、このままでは
6年生の学年会議では南郷先生の猛反対で
実現しないことは目に見えていました。
さあ、いよいよ8月20日を迎えます。
ここでコースが決まるのか、まだ続くのか・・・・
Posted by いとう茂 at
11:55
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