2012年09月20日

6年4組物語③

この物語はフィクションであり
登場人物は架空の人物です


みんなの声に後押しされて角田君が前に出ていきます。
どうやら緊張して、心なしか足が震えているようです。
振り向くとちょっと広めの額に汗をかいています。

「角田君頑張って」声をかけたのは中山さんです。
この前は山田君のプランが良かったら
便乗すると言っていたのに、気が変わったのか
誰のプランでもよいのか理解ができません。

「そ、それでは、発表します。」
声が上ずっています。
「角田、落ち着いて、ゆっくりでいいぞ、
深呼吸しろ、深呼吸」
田川先生も心配のようです。

「えーと、行先は九州です」
「オー九州やて、僕行ったことないわ
さくらに乗れるんやろか、おーおー、ちゃんぽんも食わしてやー」
古谷君は嬉しそうです。
彼も確かこの前、杉田さんのプランに
ラブコールを送っていたのですが・・・・。

「古谷君、静かに!分かってますかぁー!!」
北川君が注意をしました。

「行きは、大阪を通らないように京都の
日本海側から兵庫に入ります。
そして、新神戸から、さくらに乗って福岡に入ります。
まず、門司港レトロ地区を散策して
来年、中学受験をする人もいると思うので、
太宰府天満宮にお参りをします。
そして、ナムコワンダーパークに行きます。」

ナムコワンダーパークと聞いて急にみんなが身を乗り出しました。

「泊まるのはちょっと距離がありますが、
高速に乗って熊本の菊池温泉まで行きます。
2日目は熊本城の見学をして、やまなみハイウエーで
阿蘇山に行きます。
そして、大分県に入り湯布院で昼食を済まして、
高崎山で猿の見物と別府温泉の地獄めぐり、
別府港からフェリーに乗って大阪港に帰ってきます。

二日目が距離的にかなりきついので、時間の都合で
コース変更もあります。

大阪からは名阪道で三重県経由で帰ってくるコースです
通る県は、京都、兵庫、岡山、広島、山口、福岡、熊本
大分、大阪、三重の9県です、これで発表を終わります」

みんな大拍手ですが、北川君が
「角田君、もう一度通る県を言って下さい」
と、お願いをしました。みんなから拍手をもらってうれしそうな
角田君は、得意げにもう一度言いました。
「いくでぇ、京都、兵庫、岡山、広島、山口、福岡、
熊本、大分、それから大阪、三重の9県」

指を折って数えていたのは北川君だけではありませんでした。
藤田君が「おかしいっす、むっちゃおかしいっす、10県あります」

指摘を受けた角田君は冷や汗をかいて青ざめています。
そんな角田君の様子を見て田川先生が言葉をかけました。

「角田、なかなか良かったぞ、さくらに乗るのも旬のことだし、
夜の瀬戸内海をフェリーで移動というのも夢があるし、
夢や心のわからない人を連れて行ってやりたいよ。
ただ、フェリーで1泊するんで大阪には朝に着いてしまい
1日損した気になる人はいるかもしれんなぁ」

「そうか、学校に帰ってくるのは、早かったら昼前に
なるかもしれんのか、皿うどんかちゃんぽんも
検討してほしいな」
草野君も残念そうです。

「せやけど、大阪通らんと兵庫に入るなんて
考えつかんかったな、裏ワザやな、隅におけんやっちゃ」
井川君がほめました。

すると山田君も
「大阪から三重を抜けてなんて新名神様様やけど
考える人少ないやろなぁ」と感嘆しています。

田川先生が尋ねました。
「大阪から三重に抜けるのに奈良を通らんと行けへんのと違うか、
それに、京都から兵庫に入って新幹線やったら
かなり早い時間に出発せんとあかんやろ」

「予定では4時か3時くらいかと思っていました
先生、大阪から奈良を通らんと三重に入る道はないんですか、
調べさせてください、これ以上通る県が増えたら
このコース諦めないとあかんので」

「そんなに早いんやったら3泊4日にしたらええのに」
中山さんが言うと、清田さんが
「中山さん、みんな2泊3日で考えてきてるんやから、
それはルール違反やで」

北川君も「あくまで2泊3日の修学旅行です、
費用も限られているし通る県も限られています、
ほか誰かありませんか?」

今の北川君の発言で、杉田さんは不安になってきました。
「あのー、先生、2泊3日て言うたら何時から何時までですか」

「どういう意味や、杉田」 田川先生が聞き返しました」

「今日は8月8日ですが、もし明日から2泊3日の旅行に
行くとしたら、9,10,11日ですが、明日の何時から
やったら出発できるんか、それから今夜の9時に出て
72時間後の11日の9時に帰ってきてもいいのか、それとも、
2泊3日やったら、10日には帰ってこんとあかんのか、
2泊3日というより最高72時間のコースを組んでも
いいのか教えてほしいんです」

「うーん、難しい質問やな、職員会議でもそのことは抜けてたわ。
これは北山校長に聞いてあとで報告するわ、ほかのクラスとの
兼ね合いもあるしな」

「杉田さん発表するんですか」
北川君が聞きました。
「プランはあるんですけど、今の質問の答えを
もらってからでないと発表できません」
普段と違って、きっぱり杉田さんは突っぱねました。

時々、彼女にはこういうことがあります。
妙に頑固というか、一つ違う所のスイッチが入ったというのか、
普段はかわいらしい人なんですけど・・・・・
もしかすると、最近、体つきが立派になったせいかもしれません・・・・。

それはそうと、彼女のすごい所は打たれ強いというか
立ち直りが早いというのか、およそ挫折とは無縁のように
見えます。一説には鈍感という説もありますが・・・・・。
真偽は・・・・・・。

「ほか、発表者はありませんか、杉田さんはさっきの
質問の答えをもらってから発表してください。
皆さんは今日出た、山田君と角田君のコースを
検討してください、次は8月20日9時30分から
委員会をします。都合の悪い人はいませんか。
次とその次の委員会で、できたらコースを
1本に絞りたいと思います、まだ新しいコースの発表
は間に会いますので、杉田さんだけでなく、ほかのみんなも
考えてください、最後に僕もコースを発表しようかな。
では、今日はこれで解散しまーす」


まだまだ続きます。

  
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2012年09月19日

9月議会一般質問と答弁③とイソップ物語⑫

三問目の質問に移ります。
このたびのいじめ問題で、大津市の名前は全国に発信され、
これまで、先人たちが、
営々と積み上げてきた大津市のイメージを大きく失墜させ、
苦労、苦心、努力の結果が水泡に帰しました。

このことは、大津市民の心から、
このまちに住む誇りや矜持も消失させたといえます。
越市長は、1月の当選以来、大津をもう一度活気あるまちにしたい。
笑顔あふれる大津にしたいと提唱されています。
しかし、今、教育委員会をはじめ、
この市役所には笑顔はほとんどありません。
市長ご自身からもトレードマークの笑顔が消えています。

さらに、大津市民から笑顔が消えたといっても過言ではないと思います。
昨年の東日本大震災では「がんばろう日本」を合言葉に
被災地と支援する地域が強い絆で結ばれました。
越市長におかれては、失墜したイメージ回復のために、
今後どのような施策をお考えなのかお尋ねします。

答弁
ご質問にお答えします。
初めに失墜した大津市のイメージの回復と市民の誇りや矜持の
回復についてのうち、
大津市のイメージ回復についてでございますが、
まず、徹底的に今回の事件の事実を解明することが
必要であると考えております。


そのために外部有識者による第三者調査委員会を設置し、
詳細な事実関係の再調査をお願いしているところです。
学校で何があったのかの事実を明らかにし、その事実に基づき、
生徒が自ら命を絶った原因や学校及び、
教育委員会の対応が適切であったかについて考察するとともに、
これらの事実及び考察から、
再発防止に関する提言を報告書としてまとめていただきます。
このような本市の取り組みが、
本市のイメージ回復につながるものと考えております。


今、大津市民も夢や希望を求め、
何かにすがりたい感情が溢れていると感じます。
そんな中で、9月に入り、ようやくいくつかの新聞で報道されましたが、
8月20日から23日まで東京で開催された
第42回全日本中学校バレーボール選手権の男子の部で、
滋賀県代表として出場した大津市の中学校のバレーボール部が、
決勝で、平成20年から4連覇をしている
強豪の中学校にストレート勝ちで見事初優勝を果たしました。

ご子息がバレーボール部に在籍しているお母さんは
「このメンバーは、みんな辛い時期を大会前に乗り越えて、
こうして、いじめのあった市内の中学校、大津市、滋賀県のイメージも
絶対いい方向に!と思って立ち向かいました。親もです。」
とコメントされていますし、
12名の選手権の優秀選手の中にこの中学校から2名が名前を連ねています。

我々が、中学校の生徒や保護者を励まさなければならないのに、
逆に背中を押されている状態です。
大津市政に係わるものとして、一人の大人として強く感じます、
子どもたちがこんな思いで頑張っている、
私たち大人も笑顔になれるメッセージを発信しなければと。

武者小路実篤さんが言った、
夢を見つける 夢を育てる 夢を実現するという言葉ではありませんが、
越市長が提唱される笑顔、
スマイルを市内中学校の生徒や関係者だけでなく、
全市民が笑顔を取り戻し誇りや矜持を持って元気に生きられるために、
夢や希望が持て、
市民の心を一つにするメッセージをわかりやすく
発信していただく必要があると思いますが、
越市長の見解お伺いするとともに具体的に、
この場で発信をお願いしてこの項の質問を終わります。

答弁
私が市民の心を一つにするメッセージを
わかりやすく発信することについてでございますが、
議員の質問の中にもありました通り、本市の多くの市民の方は、
ご活躍されていることを思うと、
市民の方々と行政が近い距離にあって協働することが大切である。

その事が大津のまちづくりにつながっていくと思います。
先ほどらい、申しあげました通り、
私といたしましては市民の誇りや矜持を回復するためには、
今回の事件について徹底的に真相を究明していくことが
重要であると考えており、
第三者調査委員会の運営に全力を傾注してまいります。


再質問
メッセージにつきまして、
若干、私が期待していた部分と違いますので再質問をします。
先週の土曜日、越市長もご臨席でございましたけれども、
滋賀県下のロータリークラブの会員が一堂に集う会がありました。
その席上で嘉田知事が、
その席では宗教学者の講演があるということで、
前段でも宗教の話が出ましたし、知事のごあいさつの中にも3・11を受けて、
悪いことばかりではない、いいこともきっとあるということで、
法にのっとり理にのっとることは行政として基本であるけれども、
今後は、情にのっとる、そういった行政も必要であるという話がありました。

これは、そこに参加している我々だけではなしに、
ご臨席いただきました越市長に対しても言われた
言葉だと私自身勝手に解釈をしていました。
こういった中で、今、全市民といいましたのは、
この市役所の職員も含めてということで、
昨日も塚本議員の方から少し発言がございましたけれども、
職員さんに元気がない、私もそういったことを感じます。

ある意味行財政改革ということで、法にのっとり理にのっとるような、
そういった部分の改革は進んでいるのかもしれないが、
もう少し、情にのっとったような職員への思いやり、
いたわり、ねぎらいそういったことも含めて、
当然、そこから広がっていく大津市民に対しても、
そういった情の部分の、
情にのっとった行政を実践していただきまして、
そうした中から出てくるメッセージを期待していましたが、
情にのっとったメッセージがご発信いただけないか、
もう一度確認させていただきます。

答弁
今、お話がありました情にのっとった行政
というものも大変大事だと思っております。
ただ、現在は第三者委員会の運営、
事実の解明に全力を尽くしていければと思っております。


最後の質問に移ります。
越市長におかれましては、今回の市長選挙で、
民主党をはじめ他の政党の推薦を受けて出馬されて
当選されたわけでありますが、他の2名の候補者についても、
越市長を推薦した政党以外の推薦、支持を受けて立候補されました。

どの政党の推薦があったにせよ、
市長となられた以上は34万市民のトップリーダーとして、
特定の政党に偏ることなく、
公平、公正な市政運営が求められるのは申すまでもないことで、
越市長におかれましても、
その事は十分ご承知のことだと認識していますが、あえてお尋ねします。

この先予定されています衆議院、参議院の国政選挙において、
越市長を推薦した民主党をはじめとする政党からも
立候補される方もおいでになるでしょうが、首長については、
一切の選挙応援をせず、公平、公正、中立を貫くべきだと思います。
越市長の見解をお伺いします。

答弁
この先の衆議院、参議院選挙における私の態度について、
市長としては公平、公正で中立な態度を堅持し
、職務遂行に当たっては、選挙応援活動はございません。
ただし、ひとりの私人といたしまして、
現時点では応援することもありうると考えています。


再質問
確認をさせていただきます。

露骨な行動は露骨な反発を生むということわざがあります。

まずもって、公人、私人の判断は誰がするのかということを感じます。
ある意味、国民、市民の審判を受けて市長なり議員もそうですが、
そういった職責についた者につきましては、
その段階で、私は公人なのかなと思っています。
その事について、今市長が申された私人という部分について、
どの部分が公人であって、どの部分が私人なのか、
そのあたりは判断が分かれるところですが、市長の見解を伺います。

答弁
私としては、一個人の立場というのは、
まさに市民の方々に市長として選挙活動を
していると思われないような立場だと思っています。
市長としての職務に乗じて選挙活動をするようなことはございません。



「うそつきの子ども」

羊の番をしている子どもがいました。
それというのも、時々オオカミが来て、
ヒツジを襲うからです。
でも、ヒツジの番は退屈でした。

(何か面白いことはないかな)
子どもは、この仕事にあきあきしていました。

(もし、本当にオオカミが来たらどうなる。
ためしに村人を呼んでみよう)

そこでヒツジ番の子どもは、大声で叫びました。
「助けて!オオカミが来た!」
その声を聞いて、村の人たちが手に手に、
棒や石を持って駆け付けました。
でも、オオカミはどこにもいません。

「どうしたオオカミは?」
村の人たちが尋ねました。
するとヒツジ番の子どもは、ケロッとして言いました。
「ウソだよ。みんなをよんでみたかっただけ」

村の人たちはあきれるやら、腹が立つやら。
それでも、ほっとして戻っていきました。

何日かすると、ヒツジ番の子どもはまた、
大声で村の人たちをよびました。
「助けてくれ!オオカミがきた・・・・・」
村の人たちは、あわてて駆けつけましたが、
やっぱりオオカミなんてどこにもいません。

「ウソをつくのもいい加減にしろ」
村の人たちがおこりました。
するとヒツジ番の子どもは、笑いながら言いました。
「もし、本当にオオカミが来たらどうなるかと思ってさ」

ヒツジ番の子どもは、それからも、退屈になると、
大声で村の人たちを呼びました。

ウソかも知れないと思っていても、もし本当なら大変と、
そのたびに、村の人たちは駆けつけました。

そのうちに、村の人たちは、すっかり腹を立てました。
「あいつは、とんでもないウソつきだ。もう二度とだまされはしないぞ。
いくら大声を出しても、ほっておけ」
ということになりました。

しばらく日がたって、ヒツジ番の子どもが、
そろそろ村の人たちをよんでみようかと考えていたら、
何んと本当のオオカミがやってきました。
ヒツジ番の子どもは、青くなって叫びました。

「助けてくれ!オオカミだ!」
でも、その言葉を信用する人はいません。
村の人たちは知らん顔で、誰ひとり駆けつけては来ませんでした。

オオカミは安心して、ヒツジを次々に殺して食べました。
ヒツジ番の子どもが泣き泣きやってきて、
村の人が駆け付けた時には、ヒツジは残らず死んでいました。



教養のある先生はこのヒツジ番の子どもに、
どんな言葉をかけられるのでしょう。

自業自得。ヒツジが子供の持ち物なら
それでもいいでしょう。

誰が悪いのでしょう。
子どもの頃は、この話を聞かされて、
嘘をついてはいけないと、教えられました。

悪いのは子どもだと刷り込まれていた気がします。
ヒツジ番の子どもが青ざめている様子に喝さいを送った気がします。
しかし、本当に悪いのは子どもだけでしょうか。

ウソの情報に腹を立て、子どもの叫び声を無視した
大人は悪くなかったのでしょうか。

ヒツジ番を置く目的は、村の人が腹を立てるためではなく、
大切なヒツジをオオカミから守るためだったはずです。

ならば、何度かウソをついた段階でヒツジ番を
交代させることをしなかった村の人たちにも
責任はあるでしょう。

形あるヒツジを村の財産の象徴だと考える時、
私たちにとって形ある財産の象徴は何でしょう。

家、お金、株券、貴金属・・・・・。
それらを、その大切さも理解せず、自分に与えられた
使命の大きさを感じない人間に任せることの危険さは
凡人にも理解できます。

自業自得というなら、それは村の人に発すべきで、
ヒツジ番に発する言葉でないことに気が付きます。

かけがえのないヒツジを守ることの大切さを教えなかった、
大人の責任こそ問われるべきなのです。

だからと言ってヒツジ番のウソが肯定されることもありません。

ウソをついてはいけないのはヒツジ番だけではありません。
ウソをついてもいい人も、基本的にいるはずもありません。

そのことを許す言葉も許す人もないでしょう。

いくら過去を振り返っても・・・・・、
死んだヒツジは生き返りません・・・・・。
死んだ・・・・・・・・・・・・・・・も。

そこから、私たちがしなければならないことは、
みんなわかっているのでしょ、本当は・・・・・。

まさか、オオカミが悪いなんて言わないでください。
  
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2012年09月18日

6年4組物語②

この物語はフィクションであり、
登場人物等は架空の人物です。


修学旅行の検討委員会まであと二日です。
古谷君が自転車で走っていると、
向こうから杉田さんが歩いてきます。

「こんにちわ古谷君、どう、コース考えてる」
「考えてるんやけどなぁ、9県の壁があるねん」
古谷君はどうやら苦戦をしているようです。
「あんなぁ、古谷君この前、旅行社の人の話聞いたやんか、
あの時な、高速バスはあかんて言うてはったけど、
観光バスとか路線バスのこと言うてはらへんかったなぁ」

「そうやったか、僕、記憶ないなぁ」
古谷君は説明の時にボールペン回しをしていたのです。
「なんや、杉田、ええコース考えたんか」
「今、ちょっと考えてることがあるねん
私を支持してくれた塚田君や佐々君それに
岸田さん、ほかの二人からも意見聞いて
ええ考えが浮かんだんよ、ちょっと気になる
ことがあるんやけど・・・・・」

「ほんまか、8日期待してるで、今まで誰も
行ってへんコース考えてや、ヤッホー」

「ちょっと喜ぶん、早すぎや、古谷君は早とちりやなぁ」
杉田さんは一人でそんなことを思いながらも秘策が
あるようで、細い目を丸くしていました。

藤田君と中山さんと山田君は塾が一緒なので
しゅっちゅう顔を合わせています。
「山田君ええコースあった」
中山さんがニコニコしながら尋ねました。

(自分で考えや、人ばっかり頼ってんと、
ほんで、時々トンチンカンなこと言うて・・・・)
心の中で山田君はつぶやきました。

「僕な、考え方をちょっと変えたんや、
県の壁とか費用抜きにして行きたいところとか、
食べたいものとか泊まりたいところを書き出して
つないでいったらどうかと思って」

「どういうことっすか」藤田君が聞きました。

「あんな、食べたいものやったら僕ウナギが好きやねん」
「ウナギっすか、僕も大好きっす、最高っす」

「しまいまで聞いてぇな、藤田君。ウナギやろ、それに中華
も好きやねん」
「マジっすか、中華、最高っす」
「藤田君、まだ続きがあるねん、黙って聞いてくれる、
泊まるところは場所とちごうて温泉とかホテルとか民宿とか
そんで、僕的には旅館か民宿がええねん、地図に
食べるものは〇泊まるところは■行きたいところは△
つけてコースを考えてみたんや」

「ほんで、ほんで、コース組めたん、さすが、山田君やわ」
「まぁ一応、今度の委員会で発表するわ、
せやけど多数決になったら
谷口君と2票しかないし、誰かと組まんとあかんけど」

「コースがよかったら組むで、うちは園山君と泉谷くんもいるし」

(誰でもコースが良かったら組んでくれよるの決まってるやん)
おなかではそう思いながらも笑顔で山田君は
「ありがとう、頼むわ」

いよいよ8月8日です。
北川君はみんなにコースを考えたか確認をしました。

「北川君、この前の説明会で、高速バスはあかんて
旅行会社の野口さん言うてはったけど、
観光バスの貸切や、路線バスはええんやろ」

「それは、問題ないと思います、発表の前に
確認や質問ありませんか・・・・・・。では、発表して
くれる人、手を挙げてください」

1番に手を挙げたのは山田君です。
「山田君ええのできたか、発表してくれる」
山田君はノートを開きました。
その時です、ガラッと教室のドアが開き
田川先生が入ってきました。
「おはようございます」
「オーおはよう、暑いのにご苦労さんやね」
「先生、これから山田君が発表してくれはります」
そう言ったのはひょうきんな古谷君です。

「そうか、そうか先生にも聞かせてくれ」

「じゃ、発表します。米原からこだまに乗ります、
1時間30分くらいで浜松につきます。そこで昼食は
ウナギ三昧です。静岡まで行って登呂遺跡の見学をして
ネットで調べたら、駿府匠宿というところで体験学習で
陶芸、竹細工、木工細工、染色の体験コースの
どれか好きなものに参加して、宿泊は海の近くの民宿か旅館。

2日目は横浜まで新幹線で行き、中華街で昼食。その後は、
外人墓地や博物館見学で時間があれば鎌倉の大仏見学。
朝早く出れば、鎌倉を先にして中華街でもいいと思います。

3日目は東京に入って銀座や浅草を散策して、途中は築地市場で
お寿司のランチ、東京スカイツリーは多分のぼれないだろうから
東京タワーと増上寺か靖国神社参拝で羽田から伊丹まで帰ってきます。
通る県は岐阜、愛知、静岡、神奈川、東京、大阪、京都で7県です。
以上で発表を終わりますが、費用が足りるかどうかです」

みんなが拍手をしています。
そんな中、黙って聞いていた草野君が言いました。
「いい案やと思います。問題は費用ですね、
新幹線と飛行機の組み合わせは無理ではないですか、
浜松まで新幹線にして静岡横浜は在来線の乗り継ぎ
という選択肢もあると思いますが、時間がかかりますが、
いずれにしてもこのコースの組み方だと帰りは飛行機しか
無理ですからその費用を考えないといけないと思います」

「ウナギっすか、中華っすか、僕は大賛成です」
すっかり藤田君は山田君のプランが気に入ったようです。

「山田君のプランを考えるのはあとにして、プランのある人
全員から聞いて比較していこうと思います」
北川委員長は民主的に全員から
意見を出させようと考えているようです。
「ほか誰かありませんか」

「角田君あるんやろ」
清田さんが声を飛ばしました。

「角田君あったらどうぞ」

「うーん、山田君みたいに詳しくはまだぁー
できてないんですけどー」

「大丈夫だよ角田、コースを考えるのはみんなの
心を一つにして楽しい、思い出に残る
修学旅行にするためでもあるんだ、
君たちが自分で考えて旅行に行くということに価値があるんだ、
先生や学校、教育委員会で考えたら早いけれどそれでは意味がないんだ
さぁ、自信を持って発表しなさい」

田川先生に促されて角田君は前に進みました。


ちょっと忙しくなってきましたので続きは次回・・・・



  
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2012年09月17日

9月議会一般質問と答弁②

二問目の質問に移ります。
大津市のホームページの感想欄について、
改善状況を確認させていただきたいと思います。
昨年9月議会で、大津市のホームページの各項目の
最後に出てくる感想欄をもう少し市民が
答えやすいように具体的な聞き方にする方が、
各課に対応を依頼するときにも、
迅速な対応が望めるのではないか質問をしました。
以下、その時の政策調整部長の答弁の抜粋です。

「大津市のホームページについてのうち、
ページ感想についてでございますが、
寄せられたご意見につきましては、集約は致しておりますが、
その結果を各ページの所管課にフィードバックし、
ページ作りに活用していくまでには現在のところ至っておりません。
今後は、市民の方々からいただきましたご意見を所管課にフィードバックし、
活用していくとともに、
議員お述べの市民の方々が答えやすい具体的な内容とするなど、
ページ感想欄の充実を図り、
市民生活に役立つホームページの運営により一層努めてまいりたいと存じます。」
この答弁をもとに質問をいたします。

およそ1年が経過していますが、
ホームページの感想欄は改善されたようには見えません。
このことについて、これまで、内部でどのような検討がされたのか
経緯をお尋ねするとともに、
今後の予定、さらには所管課へのフィードバックの方法等、
現時点での市民からの意見や感想の具体的な活用方法をお尋ねします。

また、この時期まで改善されなかった問題点はどこにあったのかお尋ねします。

さらに、寄せられた意見や感想を所管課にフィードバックするだけでなく、
越市長が提唱されています行財政改革を進める一助として、
市民の声を一元管理し、精査を行い、所管課の業務の改善に
どのように反映されたのか検証することも重要なことだと考えます。
ついては、精査した市民の声で市役所全体がどう変化したか
市民に示すことを提案したいと思います。
そのことについての見解をお尋ねします。
以上でこの項の質問を終わります。

答弁
昨年9月以降、他の中核都市の状況調査のほか、
感想欄の掲載場所、掲載内容の検討をしシステム機能の精査、
及び回収経費等の検討を行ってきました。
今後の予定につきましては、平成25年度に予定しています
ホームページのリニューアルに合わせて
感想欄の改善を実施してまいります。

次に、感想内容の所管課へのフィードバックの方法と
現時点での具体的な活用方法について、
平成23年10月よりページごとの感想結果を、
毎月、庁内の掲示板に掲示し全職員に周知するとともに、
ページ感想の結果を検証し必要に応じて
所管課のホームページを修正しています。

次に、感想欄がこの時期まで改善されなかった理由として、
平成25年度にリニューアルを予定していることから、
今年に先行して実施した場合経費の二重投資になると判断したからです。
尚、今年度は感想欄も含めた機能要件の整備や
デザイン、サイト構成の検討を進めます。

一元管理し精査した市民の声で市役所全体がどう変化したか
市民に示す提案については、
現在、本市の市政に対する広聴活動は集団広聴と個別広聴があり、
多くの市民や団体から寄せられる様々な意見等を
速やかに担当部署に伝達し、問題の早期解決、
早期改善に努めています。
今後は、昨年12月策定の大津市広報広聴方針に基づき、
副市長を本部長とする大津市広報広聴推進本部を設置しましたので、
同本部において市民の声が、
市政にどのように生かされたか
広く市民の皆様に示すことを検討したいと思っています。
  
Posted by いとう茂 at 14:53Comments(0)

2012年09月16日

イソップ物語から⑪

人のふり見て・・・・・。
思い当たるところありませんか。
2500年以上、昔の話ですが、現代にも通用する
話です、自戒と反省のために・・・・。

クジャクとツル
 クジャクがツルを軽蔑している。
「私は金やむらさきの着物をきているのに、
おまえは羽にきれいなところがちっともないじゃないか。」
とツルの羽の色を馬鹿にした。
 すると、ツルは言い返す。
「ツルは、夜空に高く飛んで星のすぐそばまで行き、
星に歌を聞かせたり、昼も大空高く飛び、楽しむ事ができる。
クジャクなんかは、ニワトリのように、
ヒヨコと一緒に並んで地べたをよたよた歩いているだけじゃないか。」

 この様に言い争っているときにはどちらも幸せではない。
相手の足りないところをけなすときには、
その人の心が満たされていないときである。
 甘いおまんじゅーを食べている人が、
塩せんべーを食べている人を見て、
「そんな塩っぽいものを食べてどこがいいの?」
と言ったときには、塩せんべーが気になっている時である。
甘いおまんじゅーを食べて満足している人は、塩せんべーをけなさない。

 だいたい自分の欠点を認めればそれを補う人が周りに集まる。
そしていろいろのことがうまく行く。
その欠点を認めないと、その人と同じ種類の人が周りに集まる。
それは端から見ていて何ともみっともない集団である。
 自分の欠点を認めない人は、
その欠点が自分にないと思ってくれる人を好きになる。
そしてそういう人は、たいていその欠点のある人を利用しようとしている人である。

 ところでもしツルがクジャクのように美しさで空を飛んだら、
たちまち狙われて撃たれる。クジャクはツルの羽を馬鹿にするが、
これがツルを守っているのである。
人が自分の何かを馬鹿にしたらそれが自分の長所であり、
自分を守っていると気付くことである。


熊と狐

森のおくである日、熊と狐が、いろいろはなしをしていましたが、
熊はさもとくい気に、 「とにかく、あらゆる動物のうちで、
一番人間に対して礼儀正しいのはおれだよ。
なぜって、おれは人間をうやまってその死がいには、
爪一つさわらないんだからな。」 と、申しますと、
狐はこれをきいて、 「しかしねえ熊さん。
君のその言葉を人間がきいたら、
きっとその反対に、
『死んだ人をたべて、生きてる人にさわらないでくれ。』
というだろうと思うよ。」 と、こたえました。


熊と人間とどこが違うのでしょう。
俺は熊を敬って、その死がいには
爪ひとつ触らないんだからな。

熊は言うでしょう。
「死んだ熊を食べて、生きてる熊には触らないでくれ」
って。

牛や豚、魚やニワトリ。
すべて、人間が、それらの命を絶って
スーパーや小売店の店頭に並べて販売されています。

誰が熊を笑ったり、笑い話だと言えるでしょう。
  
Posted by いとう茂 at 11:46Comments(0)