2022年09月29日
新・昔、昔あるところに②
銅板とパレット編
日本での銅の歴史は、弥生時代からと言われ、
古墳からは銅鐸や銅鏡が見つかっています、
日本各地で自然の銅石が見つかり比較的簡単に精錬できたことから、
古くから武器としても活用されてきました。
和同開珎も銅が原材料ですし、
奈良の大仏の建造で銅の加工技術も一段と進歩したと言われています。
アルミが1キロ100円ほどに比べて銅はその10倍ほどで
回収業者に引き取られています。
明治時代には栃木県の足尾銅山の鉱毒事件で、
流域の土壌が汚染され人や農作物に大きな被害が出ています。
当時、国会議員だった田中正造が国を相手に闘い、
環境問題について訴え続けた話は有名ですし、
城山三郎の辛酸という小説にもなっています。
前置きはこのくらいにして、工場で銅板は人や機械の手を経て製品になります。
10枚の銅板を紙にくるむのは機械の仕事です。
「おい、丁寧に巻けよ。むき出しになると錆びてしまうからな、
緑青は猛毒だぞ」
「はい、はい、丁寧に巻かせてもらいますよ、
錆びつかせたらこちらも社員から大目玉ですから」」
「その調子、その調子、きれいに巻けてるぞ、うん、うん」
「あのーもう少し右に寄ってもらえませんか、紙が足りなくなりそうなので」
「何~っ、お前は俺様に指図をするのか、
紙なんてお前の他にもいっぱいあるんだ、巻くのが嫌ならほかの紙に代われ!」
「すみません、そのままでいいです。頑張ってみます」
「丁寧に巻くんだぞ、丁寧に」
銅板はどれもみな傲慢です、巻き方が悪いと巻き直しを命じられますし、
途中で切られて使い物にならなくなる紙もたくさんあります。
「やれやれ、銅板にはいつも怒鳴られてばかりだよ」
「あいつら、自分は偉いと思い込んでいるからね、
世の中には銅板よりも偉い金や銀、それにプラチナもあるし、
錫もあいつらより珍重されているし、
もっと硬いチタン合金だってあるのにホントに傲慢な奴らだよ」
紙に巻かれた銅板は工場から出荷されますが、
パレットに乗せられてフォークリフトで運ばれます。
「やいパレット、お前の表面はいつもザラザラだな、
そのザラザラで紙を破いたら承知しないからな、
お前の代わりなんかいくらでもあるんだぞ」
「・・・・・」
毎日、毎日、銅板は偉そうにしていました。
そんなある日の深夜に工場で火災が起こりました。
銅板たちは大騒ぎをしています。
「おいパレット、早く工場の外に出せ!このままじゃ溶けてしまう」
パレットは自分では動けません、「ごめんなさい、
フォークリフトがないと動けないんです」
「何っ!動けないだと、俺様が溶けたら大損害だぞ」
「そんなことを言われても、動けないものは動けません」
そうこうしているうちに工場に火が回って、銅板は全部溶けてしまいました。
パレットは工場の外にいたので全部無事でした。
人間の禍福はあざなえる縄の如しのことわざは、人間だけでなく物にも通用するようです。
日本での銅の歴史は、弥生時代からと言われ、
古墳からは銅鐸や銅鏡が見つかっています、
日本各地で自然の銅石が見つかり比較的簡単に精錬できたことから、
古くから武器としても活用されてきました。
和同開珎も銅が原材料ですし、
奈良の大仏の建造で銅の加工技術も一段と進歩したと言われています。
アルミが1キロ100円ほどに比べて銅はその10倍ほどで
回収業者に引き取られています。
明治時代には栃木県の足尾銅山の鉱毒事件で、
流域の土壌が汚染され人や農作物に大きな被害が出ています。
当時、国会議員だった田中正造が国を相手に闘い、
環境問題について訴え続けた話は有名ですし、
城山三郎の辛酸という小説にもなっています。
前置きはこのくらいにして、工場で銅板は人や機械の手を経て製品になります。
10枚の銅板を紙にくるむのは機械の仕事です。
「おい、丁寧に巻けよ。むき出しになると錆びてしまうからな、
緑青は猛毒だぞ」
「はい、はい、丁寧に巻かせてもらいますよ、
錆びつかせたらこちらも社員から大目玉ですから」」
「その調子、その調子、きれいに巻けてるぞ、うん、うん」
「あのーもう少し右に寄ってもらえませんか、紙が足りなくなりそうなので」
「何~っ、お前は俺様に指図をするのか、
紙なんてお前の他にもいっぱいあるんだ、巻くのが嫌ならほかの紙に代われ!」
「すみません、そのままでいいです。頑張ってみます」
「丁寧に巻くんだぞ、丁寧に」
銅板はどれもみな傲慢です、巻き方が悪いと巻き直しを命じられますし、
途中で切られて使い物にならなくなる紙もたくさんあります。
「やれやれ、銅板にはいつも怒鳴られてばかりだよ」
「あいつら、自分は偉いと思い込んでいるからね、
世の中には銅板よりも偉い金や銀、それにプラチナもあるし、
錫もあいつらより珍重されているし、
もっと硬いチタン合金だってあるのにホントに傲慢な奴らだよ」
紙に巻かれた銅板は工場から出荷されますが、
パレットに乗せられてフォークリフトで運ばれます。
「やいパレット、お前の表面はいつもザラザラだな、
そのザラザラで紙を破いたら承知しないからな、
お前の代わりなんかいくらでもあるんだぞ」
「・・・・・」
毎日、毎日、銅板は偉そうにしていました。
そんなある日の深夜に工場で火災が起こりました。
銅板たちは大騒ぎをしています。
「おいパレット、早く工場の外に出せ!このままじゃ溶けてしまう」
パレットは自分では動けません、「ごめんなさい、
フォークリフトがないと動けないんです」
「何っ!動けないだと、俺様が溶けたら大損害だぞ」
「そんなことを言われても、動けないものは動けません」
そうこうしているうちに工場に火が回って、銅板は全部溶けてしまいました。
パレットは工場の外にいたので全部無事でした。
人間の禍福はあざなえる縄の如しのことわざは、人間だけでなく物にも通用するようです。
Posted by いとう茂 at 13:52│Comments(0)