2014年08月11日
英霊の言乃葉(第3集より)
英霊の言乃葉は靖国神社の社頭に毎月掲示された,
5年分60通の遺書を1冊にまとめられています。
活字も大きく読むのにそれほど時間はかからないはずですが、
命の叫びというのか、残していく家族たちへの気持ちが
ダイレクトに伝わる重たい文章ですので1字1字と行間から
にじみ出る思いで読むのに時間がかかります。
第3集は昭和48年1月から昭和52年12月までをまとめたものです。
その中から紹介します。
「人生二十年」 牧野海軍大尉 石川県出身 23歳
出撃の前日
御父上様、御母上様人生わずか五十年とは昔の人のいう言葉、
今の世の我等二十年にしてすでに一生といい、
それ以上をオツリという。
まして有三年も永生きせしはゼイタクの限りなり。
いささかも惜しまず、笑って南の果てに散る。
また楽しからずや。
金沢の備中町、材木町の小学校のころ、
一月おきぐらいに病気をして弱かったころ、
また千葉の家の前のグミの実など、潮干狩りのこと、
新潟の永き思い出、明大における生活、下宿、岐阜のこと、
寺の娘、釣りのこと、いろいろと断片的に思い出され懐かしく、
目を閉ずれば眼前に浮かび上がります。
ただただ御両親様の御健康を祈るのみ。
御父上様の例の御病気(何でもこわす短期病)は今後はお慎み下されたく、
御母上様の御心痛察するにあまりあり。
一緒に死ぬのは斉藤幸雄一等飛行兵曹とて、二十一歳の少年?
かわいい男です。
なぜか私を慕ってだいぶ前から一緒に飛んでいますが死ぬのも一緒です。
出撃の朝
散歩に行くような、小学校のころ遠足に行くような気持ちなり。
0300朝めし。
すしを食った。
あと三時間か四時間で死ぬとは思えぬ。
皆元気なり。
「一輪の花」 加藤出雲中尉 京都市出身 29歳
一方は畑で他方は傾斜していて泥が深い。
その畑を通っていたのだが、きれいな花が一輪泥の上に美しい顔を見せていた。
尖兵の将校がその花をよけて横の泥深いところを迂回して歩いていた。
花の上を踏んで歩くほうが泥も少なく近道でもあるのだが、
花を踏み砕くに忍びなかったのだ。
次を歩いている男もそれにならって花をよけて通った。
次々に兵隊はわざわざ泥の道を遠回りして歩いた。
部隊が通り過ぎた後にはきれいな花が泥の上に浮かんで
ほのぼのとした美しさを見せていた。
行軍に疲れた時、実際ぬかる道は倍疲れる。
たった一輪の花も踏まずに通っていった兵隊の心情が嬉しいのだ。
5年分60通の遺書を1冊にまとめられています。
活字も大きく読むのにそれほど時間はかからないはずですが、
命の叫びというのか、残していく家族たちへの気持ちが
ダイレクトに伝わる重たい文章ですので1字1字と行間から
にじみ出る思いで読むのに時間がかかります。
第3集は昭和48年1月から昭和52年12月までをまとめたものです。
その中から紹介します。
「人生二十年」 牧野海軍大尉 石川県出身 23歳
出撃の前日
御父上様、御母上様人生わずか五十年とは昔の人のいう言葉、
今の世の我等二十年にしてすでに一生といい、
それ以上をオツリという。
まして有三年も永生きせしはゼイタクの限りなり。
いささかも惜しまず、笑って南の果てに散る。
また楽しからずや。
金沢の備中町、材木町の小学校のころ、
一月おきぐらいに病気をして弱かったころ、
また千葉の家の前のグミの実など、潮干狩りのこと、
新潟の永き思い出、明大における生活、下宿、岐阜のこと、
寺の娘、釣りのこと、いろいろと断片的に思い出され懐かしく、
目を閉ずれば眼前に浮かび上がります。
ただただ御両親様の御健康を祈るのみ。
御父上様の例の御病気(何でもこわす短期病)は今後はお慎み下されたく、
御母上様の御心痛察するにあまりあり。
一緒に死ぬのは斉藤幸雄一等飛行兵曹とて、二十一歳の少年?
かわいい男です。
なぜか私を慕ってだいぶ前から一緒に飛んでいますが死ぬのも一緒です。
出撃の朝
散歩に行くような、小学校のころ遠足に行くような気持ちなり。
0300朝めし。
すしを食った。
あと三時間か四時間で死ぬとは思えぬ。
皆元気なり。
「一輪の花」 加藤出雲中尉 京都市出身 29歳
一方は畑で他方は傾斜していて泥が深い。
その畑を通っていたのだが、きれいな花が一輪泥の上に美しい顔を見せていた。
尖兵の将校がその花をよけて横の泥深いところを迂回して歩いていた。
花の上を踏んで歩くほうが泥も少なく近道でもあるのだが、
花を踏み砕くに忍びなかったのだ。
次を歩いている男もそれにならって花をよけて通った。
次々に兵隊はわざわざ泥の道を遠回りして歩いた。
部隊が通り過ぎた後にはきれいな花が泥の上に浮かんで
ほのぼのとした美しさを見せていた。
行軍に疲れた時、実際ぬかる道は倍疲れる。
たった一輪の花も踏まずに通っていった兵隊の心情が嬉しいのだ。
Posted by いとう茂 at
12:27
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