2021年06月06日

誰かに出す手紙④

去る者は日々に疎し 、そんな言葉があります。
地域ではあなたのことを話す人も減り、過去の人になっているかも
知れませんが、長年親しく家族のような関係にあった者にとっては
必ず話題に上ります。
思い返せば、あなたは代表を務めていたのに、表に出ることは少なく
縁の下の力持ち、そんな存在であったことに今更ながら気づかされ
同じ事をしろと言われても・・・・・・・。

あなたが亡くなってあなたのパートは私が務めるようになりました。
25年以上一緒に活動をしてきたメンバーは5人、
いつの間にか2名になり、いつもないものねだりで「あと1,2名
何とかならんかなぁ」と嘆いています。
長い説明なしで、こうしてこうしょう、それだけで分かりあえた仲間が
一人、また一人と減っていき、年齢から行けば次は私の番になります。
黙々とひとりで準備をしていたのですね、みんなが来るとすぐに活動が
始められるように。

虎は死して皮を残し人は死して名を残すと言います、大きな名は
残らないかもしれませんが、真似のできない名は残っています。
物事を決めるときの口癖は「どうする?」でした。
私に意見を求めているようでもあり、決断を人に任せている、
そんな風にも取れました。
時として決断力のない人間やなぁ、と感じたこともありましたが
周りに配慮してのことだったんだと思います。

忘れませんという言葉を耳にしますが、人は忘れることで生きていける、
そんな部分も持ち合わせているように思います。
私の中からも少しずつあなたが消えていく、聞きたいこと確かめたいことも
ありますが、もう叶いません。

消えていくのならなるべく早く
消えてやるのが亡くなった人間が残された人間にできる思いやり。
そんなことを生前から考えていたのですか。
  
Posted by いとう茂 at 12:18Comments(0)